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木曜日のパペットさん

元演劇部のパペットさん 14

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週が明けると期末試験1週間前で、一部の部活が試験が終わるまで休部となった。
それは、ボランティア部も活動なしということ。

田波先輩とは校内で会えば挨拶してくれたけど、何となく視線が合うことはなかった。

『事情が知りたかったら本人に教えてもらえ』と細田先生に言われたオレはちょっとだけモヤモヤしてる。
人を呼んでおいて肝心な話はボカされ、結局、田波先輩が言ってもらうのを待つしかないって。
なのに、試験の結果が悪かったら放課後の美術室は出禁にするって言われたし。
というか、そもそも田波先輩が話す気にならないと教えても貰えないという事実を、3日後、先輩の顔を見て気づいた。

兎に角、テストの結果が悪いと会いにも行けないから、今週は泣く泣く勉強を頑張ることにした。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

期末試験の最終日は木曜日。

午後の授業が終わると南校舎3階の美術室へダッシュで向かった。


「こんちわぁ……って、居ない……」

オレが早過ぎたのか、田波先輩が休みなのか、美術室には誰も居なかった。
トボトボと机1つと椅子2つを教室の真ん中に置いて、いつもの席に座ると机に突っ伏した。
珍しくテスト勉強頑張り過ぎてものすごく眠かったオレはそのままウトウト夢の中にダイブした。


「ハジメくん寝てるね。グッスリだね~」
「そうだね、リスくん」
「起こさないの?お話したいんでしょ?」
「うん、そうだけど……もう少しだけ……」

あれ?
リスくんが誰かと話している?
誰と話してるんだろう。
声がすごく心地良くて目が開かないや……。


ツンツン

ん?

ツンツンツン

んんっ?

グイッ

「いっだぁーっ!禿げるー!」

鷲掴みにされた頭頂部の髪を思いっきり引っ張られた痛みでオレは目覚めた。

「ぬおおっ。オレの頭皮は無事かぁ?」
「無事だよ。何本か抜けちゃったけど」
「……ぁ」

強制的に目覚めさせられたオレの目の前で髪の毛をパラっと落とすリスくんがいた。

「おはよう。目、覚めた?」
「オハヨウゴザイマス。オメメバッチリデス」
「プッ、何で敬語?」
「あ……いや」
「真っ赤だよ」

久しぶりに見た三日月の笑顔を目にしたオレの顔は真っ赤になった。
慌てて両頬をバシバシ叩いて誤魔化すと益々笑われた。

「気持ち良さそうに眠っていたからもう少しだけって思ったんだけど……起こして、ごめん」
「あ……いやぁ、寝てたオレがいけないんで。起こしてくれてありがとうございます」
「ぁ……」

先輩はオレから目を逸らした。
肩を揺らし、リスくんもソワソワしてるように見える。

「あの、たなーー」
「手首……治った?」
「あ、はい。この通りバッチリです」

右手をブラブラさせると田波先輩は安心したのかホッとため息をついた。

「あのっ、ね。ボクの話、聞いて、くれないかな?……ボクが演劇部を辞めた話」

そう言ったリスくんが震えていた。


____________________

次回は0時更新予定です。
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