真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

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第73話 閑話 エメラルドの伝説5

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エメラルドは、久しぶりに王都に戻ってきた。


ゼストのみんなの死後既に3年の月日が経っていた。エメラルドは、拠点の屋敷へ戻り墓参りをする。

しばらくライルとの思い出に浸っていたが、エメラルドはこの世にライルがもういないことを改めて認識し、虚しくなるだけだった。

屋敷は3年も放置されていたため、埃っぽくなっていた。

エメラルドは心の中で、幸せだった自分自身と決別をしていた。

『もうここには戻らない…。
ここはもう、私の帰るところではなくなったの…

みんなとの思い出はここに置いていくわ…

仇はとったわ…!
私は前に進む…全てを手に入れてくるわ!!

ありがとう、みんな。。
さようなら…』


それからエメラルドは、8ヶ月という長い月日をかけて、普段と何の変化も感じられないほど自然に王都の男たちを少しずつ下僕へと変えていった。


今では、街の男の半分以上はエメラルドの下僕である。残りの半分はエメラルドの生まれた頃に住んでいたような、底辺と呼ばれる場所の住人のみ。

王宮内ですら、一部の権力者を除き、下僕と化していた。既に王都の経済、武力、情報の全てがエメラルドのものとなっていた。



この日、とうとうエメラルドは動いた。

国の中でも特に武力に秀でた者たちを引き連れ、美しく堂々と王宮へと歩みを進める…

そして、門はエメラルドを歓迎するように開かれ、止めようとする女の兵たちは、信頼していた仲間たちからことごとく斬られ、刺され、殺された。

その歩みを止められる者は誰もいなかった。一度も歩みを邪魔されることなく王の謁見の間に到着する。


扉は兵により開かれ、王の元へ案内される。

王は、突然現れた美しい女性に驚いたが、武装したままの男たちを連れていることに怒りを露にする。


『不敬なるぞ!!我はこの国の王!武装したまま我の前に立つとは、反旗の意と取るぞ!?』


『不敬は王の方ですわ…私はエメラルド!
全ての上に立つ存在!!

王よ…我の前にひれ伏しなさい!!』


王はエメラルドのあまりな暴言に怒りで震え出す。


『反逆者どもだ!この者どもを引っ捕らえよ!!』



しかし、誰も来ない…

エメラルドは調教のスキルを使い、鞭を持つ。


『ひれ伏せと言ってるのです!』

王に鞭を叩きつける。
徹底的に調教するために、何度も何度も叩きつける。

王の服は破け、顔は腫れ上がり、体中水ぶくれになり、
痛みの快感に泣いて喜んでいる。


王の調教中、ライドウ、カイドウ以外の者は王宮中の調教の済んでない男を探しだし、謁見の間に連れてこられる。

逆らう女は全て殺されていった。その中には、王女、王妃もいたが、身分に関係なく全てが等しく死を与えられた。



エメラルドは、王宮の占拠が終わると、王宮の下僕たちは、仕事に戻し、スキルの回復を待つ。

次は王を連れて神殿に向かう。そこでも殆どの男は既に下僕と化していた。

王の名のもと、教皇や上の立場の者を集められる。

そこで、再び調教の時間である。皆が調教される中、王は終始エメラルドの椅子となっていた。

屈強な下僕たちは、同じように下僕と化していない男たちを探しだし、エメラルドの元に連れていかれ、調教されていく。


本当に静かな、クーデターだった。気づけば全てがエメラルドのものになっていた。


しかし、エメラルドのクーデターはこれで終わりではなかった。王国内の全ての村や街の権力者を地域毎に王宮へ訪問させ、新しい女王へ挨拶に来させた。

目的は男は全員下僕とし、女はエメラルドに逆らう行動をとった場合命を捧げると、全員に誓約させた。勿論拒否するものも多くいたが、その者たちはその時点で物言わぬ死体に変わっていった。

王都への挨拶を拒否した村や街には、王都から正規軍が出て行き、逆らった権力者たちは家族もろとも皆殺しにし、街にあった財産を全て没収した。

その財産には、その街に住む住人そのものも含まれており、全て犯罪奴隷とし、鉱山に送られた。仕事も出来ぬ幼い子供や老人は、慈悲などなく、その場で殺されていった。


こうして、王女となったエメラルドに逆らえるほどの力を持った権力者は、王国内からいなくなった。



そうなると、エメラルドの予想していた通り、暗殺者ギルドに暗殺を依頼する者たちが現れ始める。賭けに破れたゼロからは、その依頼した者たちの情報が、エメラルドへ届けられ、全て根絶やしにされた。


逆らえる人間など皆無の、完全なる統治である。


エメラルドは、決して重税などしない。逆らう者には容赦しないが、従順な者にはそれなりの権利を与える。何故なら、その国民の殆どがエメラルドの下僕だからだ。

エメラルドの優秀な下僕たちで国を問題なく統治をすることで、国全体は潤い、誰も私利私欲のために動かない。その利益は全て国民の懐ではなく、皆が喜んでエメラルド個人へ献上するのだ。


エメラルドは、日々贅を極めたが、お金はとても使い切れるものでもなく、貯まる一方だった。

 
そして、エメラルドはすることがなくなっていた。国は下僕に任せていても問題なく動き、対抗勢力も王国内には既にいない。

前世の記憶から権力とは、手にすることよりも、守り続けることの方が難しいということを嫌というほど知っていたため、慎重に動きすぎたことと、女王の「調教」のスキルがあまりに優秀過ぎたのだ。


この国の最高の権力を得て、使いきれぬほどの財を得て、使いきれぬほどの自由な時間も得た。

しかし、あまりに調教のスキルに頼ったため、下僕はいくらでもいるが、友と呼べるような存在も、恋をするような相手も皆無なのだ。


そうなると、どうしても思い出されるのはライルのとこだった。

『今なら、私たちの愛を邪魔するような不届き者は、何処にも存在しないのよ…金も時間もいくらでもあるわ!』


そこで、暇潰しに入った王や教皇など一部の人間にしか入ることを許されていない秘密の蔵書を管理している図書館で面白い本を見つけた。

「禁書【悪魔召喚の儀式の全て】」という本である。

悪魔なら、もしかするとライルを生き返らせられるかもと思い早速召喚を試みる。

現れたのは、猿のような顔の悪魔「マモン」。

『我は上級悪魔のマモン。我を呼び出したのはお前か?望みは何だ?』

『私の最愛の男「ライル」を生き返らせなさい!!』

『私の力では死んだものは蘇らせることは叶わぬ!他の望みに変えろ!!』

『出来ないのね…ここまでして呼び出したのに、とんだ役立たずだったわ。

もういいわ…帰っていいわよ!』


『何だと!?呼び出しておいて、他の望みはないのか?人間は権力や金を求めるものではないのか?

それとも、誰か殺して欲しい者はいないのか?』


『そんなもの自力で全部やり終えたわ!!この国で私に逆らえる人間はもう誰もいないわ…

金も腐るほどある。
仇も自分でとった。

私に足りないのは、愛する男の存在だけなのよ!』


『・・・その若さで既に全ての望みを叶えたのか?しかし、我は呼び出されたからには、何か望みを叶えねば地獄へ戻ることは叶わぬ…もしくは我を消滅させること!いくら仮初めの体とはいえ、そのような力を持つものがいるとは思えぬが…』

『願いを叶えたらいいのでしょ?あなた…何ができるの?』

『火の魔法と魅了魔法を使える。』

『魅了が使えるなら、私には魅了できない同性の魅了を担当して貰おうかしら。私が生きている間私に仕え、私が指示する相手を魅了していく。それがあなたの仕事よ!』


それは、マモンにとって本当につまらない仕事だった。

何故なら、エメラルドがこの時20歳、享年86歳で亡くなるまでの間の66年の間に、マモンが魅了した相手は、僅かに数えるほど…

エメラルドを狙った、強者、例えば勇者や賢者のジョブを持つものが暗殺に訪れるも、エメラルドの周りには国の強者が揃っている。

エメラルドに、近づく前に発見され、男ならエメラルドに調教され、女ならマモンに魅了され、さらにエメラルドの部下の強者が増えるのだ。


さらに、エメラルドは、王国中の下僕たちに新たな目立った存在が現れたら、必ずエメラルドに報告するように指示をしていたため、そのほとんどは力をつける前に、エメラルドの下僕と化していった。



エメラルドが30歳を迎える頃までは、国は現在でいう社会主義国の理想形を魅了という洗脳により、実現されている平和な国だった。

しかし、エメラルドは有り余る時間と金の使う方向性はやはり自身に足りないものを求めることに使われることになる。



ある時からエメラルドは、邪法や魔術の研究に没頭し、ライルを蘇らせることのみに固執するようになっていく。

誰しもが創造の物語と分かるような書物を読んでは、

ときには100人の妊婦を生け贄にしたり…
ときには1000人の人間を生け贄にして、自らを神へと進化させようとしたり…

次々と怪しい儀式を行うのであった。


悲しいのは、周りにいるのはエメラルドに忠実な下僕であり、その愚かな行いを諌める者が誰もおらず、また、どんな与太話であろうと実現出来るだけの権力とお金を持っていたことであろう。



エメラルド…

僅か18歳でこの世の権力の頂点に立ち、愛するもの以外の全てを手に入れた女。

86歳…平均寿命が50代のこの世界では稀にみる長生きまでして、手にしたものは何だったのだろう?



エメラルドがその生涯を終えたとき…


ライルと再び会うためだけに行ったそのあまりの鬼畜な所業の数々が原因となり、エメラルドの一番求めていたはずの天国にいるライルとの幸せな生活は…


死後の世界ですら、叶えることは出来なくなっていた…


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