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第66話 スタートライン
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エリクサラマンダーのリーダーはゆっくりと俺たちに近づいてくる。そして、とうとう俺たちの目の前に立つことになる。
俺たちは、最後の時を覚悟し、様々な思い出が走馬灯のように巡っていた。
『主よ。やっと追い付けました…』
なんと、エリクサラマンダーのリーダーは人間の言葉で喋り出したのだ。
『このように囲むことになり、申し訳ありませんでした。
主たちがここから去ろうとしているようでしたので、その前に私とゆっくり話す時間をどうしても作って欲しかったので、このような強硬な手段を取らせて頂きました。
驚かせたこと、お許し下さい。』
俺も、ヘレンも、ましろさえも、今の状況についていけずにいた。
『えっと…主ってもしかして、俺のことを言っている?』
俺は、今までの数々の経験からもしかして、そういうことかと思い、状況を把握し始めていた。
『私の主はあなた様しかあり得ません。あなた様から認めて頂けるのでしたら、生涯の忠義を誓わせて頂きます。』
『やはりそうか!良かった!!
俺たちを食べようというわけではないんだね?』
『勿論です。私の子供たちが勝手に主を攻撃したことお詫びします。その怪我は先程主が持っていかれた私の尻尾を食せば、治るはずです。
私は、他の者たちより魔物としての格が遥かに上ですので、その回復の効果も遥かに優れているのです。
是非お試し下さい。』
『それは本当か?助かる。
それと…俺たちにも理由があったとはいえ、勝手に尻尾切っちゃってごめんな。。痛くなかったか?』
『滅相もありません。痛いどころか、気持ちよすぎて、何度絶頂したことか…あのような幸せが、この世にあったことを知れて、私は今までの長い魔生で、一番の幸せでした。』
『ませい?』
『私たちのような魔物として生を受けたものの、人間で言うところの人生を表す言葉です。
それと、尻尾のことは心配なさらなくても大丈夫です。
私たちエリクサラマンダーの身体は、仲間や自身の尻尾を摂取しても回復できないのですが、私たちには生まれながらに優れた回復能力が備わっているため、他の生物よりも遥かに回復能力が高いのです。
私の場合は、その速度も他の個体の何百倍も早いはずです。おそらく1日もあれば完治しているはずです。』
『そんなに早く!?凄い回復能力だな?でもそれだからこそ、尻尾に他者を回復させるような能力が備わるんだろうな…
有り難く、尻尾を食べさせて貰うよ。』
俺は、ヘレンから預かっていたマジックバッグから尻尾を取り出し、ナイフに魔力を帯びさせ、一口大に切る。それを、迷わず口に入れ食する。
すると、みるみるうちに体の再生が始まる。
『主よ、完全に身体が回復するまで食べ続けて下さい。』
俺は言われた通りに、次々に食していく。そして、5分もする頃には欠損していた、手足は完全に元に戻っていた。
『ダーリンの手足が元に戻ったにゃん!良かったにゃ…』
ましろも状況を把握し、俺が元に戻ったことにより緊張が解けたのか、脱力したようだ…
『ありがとう。君の強い生命の力を感じたよ!
恩人だな!いや…恩魔とでもいうのかな?』
『滅相もありません。主のお役に立てたのなら、それだけで幸せというもの。これからも、どんなことでも私を頼って頂きたい。
もし褒美が頂けるのでしたら、またあのように時々気持ちよく愛でてもらえれば、それが最大の褒美であります。』
『そこも、ましろと同じなんだな?たまにでいいなら、ましろと一緒に愛でさせてもらうよ!
でも、俺はここには残らないぞ?エリクサラマンダーは岩山でなくても、生活できるのか?』
『勿論です。高温、低温、乾燥、どのようなところでも生きていけます。私たちがここに住んでいるのは、岩山は他の生物には生きていくためには厳しい環境のため、一番のんびりと暮らせるからです。』
『なるほど、それじゃー!君は俺たちについてくるんだね?群れのリーダーをしているようだけど、本当に大丈夫なのかい?さすがに他のエリクサラマンダーたちは連れていけないぞ!』
『勿論です。私だけ、主についていかせてもらいます。群れは他の者に統率させるので、心配いりません。』
『分かった!それじゃ、これからよろしく頼む!!』
『ちょっと待ってください!
アランさん、状況を受け入れるの早過ぎないですか?何でこの訳分からない展開をアッサリと受け入れてるんですか!?』
突っ込みを入れてきたのは、今までの展開に全くついていけずに固まり続けていたヘレンである。
さすがに、稀少種のエリクサラマンダーを従わせ、これからの旅に連れていくことをアッサリと受け入れた俺に、色々と疑問が生まれたのだろう…
『こういう展開に慣れちゃったからですかね?』
考えたら、俺の人生このパターンだらけじゃね?
最初は、ましろ。
次に、アクティー。
その次が、ナディアとマリンか。あれはちょっと違うのかな?
次は、マリア王女。
そして、このエリクサラマンダーの稀少種。
(教皇ロメロが言ってたように、絶技には、本当に魅了の効果もあるのかもしれない。むやみやたらに使うのは、今後も控えた方がいいのかもしれないな…
まあ、俺や身内のためにだったら、躊躇いなく使うけどな!)
『慣れたって!?全然理由になってません!さっき殺されかけた相手のリーダーに、何故簡単に心を許せるのですか?』
『俺には、あの子が嘘をついてないことも理解できるし、俺の人生はこんなことばかりなんです。
俺とましろの最初の出会いも、俺を殺そうと襲ってきたのがきっかけですし、他にも様々な敵対してた人が今では味方になってくれました。
ちゃんとこうやって、言葉を交わせて、相手が俺に歩み寄ってくれてるのが分かるのに、いつまでも過去に拘って敵対し続ける理由が逆にありません。』
『そんなの分かりません。一度信頼を失ったら、どんなに仲良くなろうと努力しても、ずっと陰口を言われ続けたんです。
裏切り者と言われ続けたんです。』
(なるほど、ヘレンさんが今拘ってるのは、過去の街の人との確執か…)
『ヘレンさん、少しきつい内容を話すかもしれません。
人間というのは、自分の利益を求める生き物です。
本当に大切な関係である、家族や恋人ならば、ただ相手が存在してくれてるだけで、幸せだという大きな利益を感じられます。
赤ちゃんが、ただ、たまに笑いかけてくれるだけで、家族がその子のために命を捧げてもいいと思えるほどの愛情を、言い方は悪くなりますが一緒にいられて…この子の成長を見ることができて幸せだという利益を感じることができるのです。
ヘレンさんが、アルマさんのために、勇者として旅に出れなかったこと、それは仕方ありませんし、誰にもそれを否定する権利はありません。
しかし、街の人との人間関係の構築の考え方は間違えていたのです。
街の人は、アルマさんのように、ヘレンさんがただ存在すれば幸せを感じ、利益と感じる存在ばかりではありません。
勇者のジョブを手に入れたことを知ってしまった他人からすると、成人前と同じように、いくら真摯に対応しても、仲良くしようと努力しても、勇者のジョブを持つものとして、何らかの利益を求めてしまうのが人間という生き物です…
もし、そのままの変わらぬ関係を望むなら、勇者のジョブを得たことは誰にも言うべきではなかった。
知ってしまえば、相手は「勇者ヘレン」のフィルター越しに、ヘレンさんを見るようになりますから…
ヘレンさんが勇者のジョブを得て、最初に街の皆が求めたのは、おそらく強力な魔物を退治したり、伝説になるような冒険を達成して有名になって、街の自慢になってもらうことです。
しかし、実際にそれを叶えていたとしても、実は街の人たちには、大した利益はありません。
どんなに世界全体やその冒険の現地に住む者には、崇高な利益を生もうと、ヘレンさんの街の人間にはたいして関係ないのです。
ヘレンさんは、1人努力し、強くなり、勇者として誰にも恥じる必要のない力を持っています。
なのに、住んでいる街のために利益になっていることを、何のアピールもしなかった。そこが間違いだったんです。
どんな経緯があったかは分かりませんが、勇者のジョブを得たことを皆に公表した以上、ヘレンさんに力があることをアピールして、いざ何かあった際には、率先してそのトラブルを解決する。
そう公言さえしていれば、「世界の勇者」にはなれなくても、「街の勇者」として尊敬される存在になれていたのです。
実際に、街のトラブルなんて、ゴブリンやオークの集落が側に見つかった程度がほとんどです。
それらを1度でも解決し、皆にアピールしていれば、街の人間はヘレンさんが街にいることに利益を感じます。
そうすれば、逆に冒険に行って欲しいなんて思わず、街に居続けて欲しいに変わるのです。
お互いに利益を感じられる、もしくは今後も関わっていきたいと思える関係があって、
そこがやっと人間関係のスタートラインです…
こんな話をしたら、街の人たちが酷いみたいに思えるかもしれませんが、それだけ街の人たちがヘレンさんに期待していた証拠でもあるのです。
ヘレンさんなら、勇者のジョブを正しく使ってくれるという期待が大きければ大きかったほど、それを使ってる様子がみえないだけで裏切られたように感じるものです。今後も関わりたいと思えなくなるほどに…
長くなりましたが、今回のことも、あの子にとって、俺のスキルの存在が利益になったんです。そして、話すことによって、俺にもあの子の存在は今後も関わり続けてもいいと思えたんです。
俺とあの子の信頼関係はまだありません。でも、それを築くためのスタートラインには立てたんです。
だから、俺はあの子を受け入れることが出来た。それだけです。』
『そんな…私は街の皆と向き合った上で、裏切られ続けたと思っていたけど、まさか私の方が仲良くなるためのスタートラインにすら立とうとしていなかったというのですか。。?』
『詳細は知らないので何とも言いがたいですが、先程のヘレンさんの発言からはそう感じさせられました。』
『そんな……』
『ただ、本当に街の人と仲良くしたいのでしたら、今からでも多少の努力をするだけで、すぐにきちんと向き合えると思いますよ。
あの街には、乗り合い馬車のおばちゃんのように優しい人が多くいると思うからです。なにより、ヘレンさんのような優しい人を育てた街なんですから!』
『…アランさん…
少し考えさせて下さい…』
(伝えたいことは伝えた。。後はどうするかはヘレンさん次第だ。)
こうして、俺はエリクサラマンダーの稀少種を仲間に迎えることになったのだった。
俺たちは、最後の時を覚悟し、様々な思い出が走馬灯のように巡っていた。
『主よ。やっと追い付けました…』
なんと、エリクサラマンダーのリーダーは人間の言葉で喋り出したのだ。
『このように囲むことになり、申し訳ありませんでした。
主たちがここから去ろうとしているようでしたので、その前に私とゆっくり話す時間をどうしても作って欲しかったので、このような強硬な手段を取らせて頂きました。
驚かせたこと、お許し下さい。』
俺も、ヘレンも、ましろさえも、今の状況についていけずにいた。
『えっと…主ってもしかして、俺のことを言っている?』
俺は、今までの数々の経験からもしかして、そういうことかと思い、状況を把握し始めていた。
『私の主はあなた様しかあり得ません。あなた様から認めて頂けるのでしたら、生涯の忠義を誓わせて頂きます。』
『やはりそうか!良かった!!
俺たちを食べようというわけではないんだね?』
『勿論です。私の子供たちが勝手に主を攻撃したことお詫びします。その怪我は先程主が持っていかれた私の尻尾を食せば、治るはずです。
私は、他の者たちより魔物としての格が遥かに上ですので、その回復の効果も遥かに優れているのです。
是非お試し下さい。』
『それは本当か?助かる。
それと…俺たちにも理由があったとはいえ、勝手に尻尾切っちゃってごめんな。。痛くなかったか?』
『滅相もありません。痛いどころか、気持ちよすぎて、何度絶頂したことか…あのような幸せが、この世にあったことを知れて、私は今までの長い魔生で、一番の幸せでした。』
『ませい?』
『私たちのような魔物として生を受けたものの、人間で言うところの人生を表す言葉です。
それと、尻尾のことは心配なさらなくても大丈夫です。
私たちエリクサラマンダーの身体は、仲間や自身の尻尾を摂取しても回復できないのですが、私たちには生まれながらに優れた回復能力が備わっているため、他の生物よりも遥かに回復能力が高いのです。
私の場合は、その速度も他の個体の何百倍も早いはずです。おそらく1日もあれば完治しているはずです。』
『そんなに早く!?凄い回復能力だな?でもそれだからこそ、尻尾に他者を回復させるような能力が備わるんだろうな…
有り難く、尻尾を食べさせて貰うよ。』
俺は、ヘレンから預かっていたマジックバッグから尻尾を取り出し、ナイフに魔力を帯びさせ、一口大に切る。それを、迷わず口に入れ食する。
すると、みるみるうちに体の再生が始まる。
『主よ、完全に身体が回復するまで食べ続けて下さい。』
俺は言われた通りに、次々に食していく。そして、5分もする頃には欠損していた、手足は完全に元に戻っていた。
『ダーリンの手足が元に戻ったにゃん!良かったにゃ…』
ましろも状況を把握し、俺が元に戻ったことにより緊張が解けたのか、脱力したようだ…
『ありがとう。君の強い生命の力を感じたよ!
恩人だな!いや…恩魔とでもいうのかな?』
『滅相もありません。主のお役に立てたのなら、それだけで幸せというもの。これからも、どんなことでも私を頼って頂きたい。
もし褒美が頂けるのでしたら、またあのように時々気持ちよく愛でてもらえれば、それが最大の褒美であります。』
『そこも、ましろと同じなんだな?たまにでいいなら、ましろと一緒に愛でさせてもらうよ!
でも、俺はここには残らないぞ?エリクサラマンダーは岩山でなくても、生活できるのか?』
『勿論です。高温、低温、乾燥、どのようなところでも生きていけます。私たちがここに住んでいるのは、岩山は他の生物には生きていくためには厳しい環境のため、一番のんびりと暮らせるからです。』
『なるほど、それじゃー!君は俺たちについてくるんだね?群れのリーダーをしているようだけど、本当に大丈夫なのかい?さすがに他のエリクサラマンダーたちは連れていけないぞ!』
『勿論です。私だけ、主についていかせてもらいます。群れは他の者に統率させるので、心配いりません。』
『分かった!それじゃ、これからよろしく頼む!!』
『ちょっと待ってください!
アランさん、状況を受け入れるの早過ぎないですか?何でこの訳分からない展開をアッサリと受け入れてるんですか!?』
突っ込みを入れてきたのは、今までの展開に全くついていけずに固まり続けていたヘレンである。
さすがに、稀少種のエリクサラマンダーを従わせ、これからの旅に連れていくことをアッサリと受け入れた俺に、色々と疑問が生まれたのだろう…
『こういう展開に慣れちゃったからですかね?』
考えたら、俺の人生このパターンだらけじゃね?
最初は、ましろ。
次に、アクティー。
その次が、ナディアとマリンか。あれはちょっと違うのかな?
次は、マリア王女。
そして、このエリクサラマンダーの稀少種。
(教皇ロメロが言ってたように、絶技には、本当に魅了の効果もあるのかもしれない。むやみやたらに使うのは、今後も控えた方がいいのかもしれないな…
まあ、俺や身内のためにだったら、躊躇いなく使うけどな!)
『慣れたって!?全然理由になってません!さっき殺されかけた相手のリーダーに、何故簡単に心を許せるのですか?』
『俺には、あの子が嘘をついてないことも理解できるし、俺の人生はこんなことばかりなんです。
俺とましろの最初の出会いも、俺を殺そうと襲ってきたのがきっかけですし、他にも様々な敵対してた人が今では味方になってくれました。
ちゃんとこうやって、言葉を交わせて、相手が俺に歩み寄ってくれてるのが分かるのに、いつまでも過去に拘って敵対し続ける理由が逆にありません。』
『そんなの分かりません。一度信頼を失ったら、どんなに仲良くなろうと努力しても、ずっと陰口を言われ続けたんです。
裏切り者と言われ続けたんです。』
(なるほど、ヘレンさんが今拘ってるのは、過去の街の人との確執か…)
『ヘレンさん、少しきつい内容を話すかもしれません。
人間というのは、自分の利益を求める生き物です。
本当に大切な関係である、家族や恋人ならば、ただ相手が存在してくれてるだけで、幸せだという大きな利益を感じられます。
赤ちゃんが、ただ、たまに笑いかけてくれるだけで、家族がその子のために命を捧げてもいいと思えるほどの愛情を、言い方は悪くなりますが一緒にいられて…この子の成長を見ることができて幸せだという利益を感じることができるのです。
ヘレンさんが、アルマさんのために、勇者として旅に出れなかったこと、それは仕方ありませんし、誰にもそれを否定する権利はありません。
しかし、街の人との人間関係の構築の考え方は間違えていたのです。
街の人は、アルマさんのように、ヘレンさんがただ存在すれば幸せを感じ、利益と感じる存在ばかりではありません。
勇者のジョブを手に入れたことを知ってしまった他人からすると、成人前と同じように、いくら真摯に対応しても、仲良くしようと努力しても、勇者のジョブを持つものとして、何らかの利益を求めてしまうのが人間という生き物です…
もし、そのままの変わらぬ関係を望むなら、勇者のジョブを得たことは誰にも言うべきではなかった。
知ってしまえば、相手は「勇者ヘレン」のフィルター越しに、ヘレンさんを見るようになりますから…
ヘレンさんが勇者のジョブを得て、最初に街の皆が求めたのは、おそらく強力な魔物を退治したり、伝説になるような冒険を達成して有名になって、街の自慢になってもらうことです。
しかし、実際にそれを叶えていたとしても、実は街の人たちには、大した利益はありません。
どんなに世界全体やその冒険の現地に住む者には、崇高な利益を生もうと、ヘレンさんの街の人間にはたいして関係ないのです。
ヘレンさんは、1人努力し、強くなり、勇者として誰にも恥じる必要のない力を持っています。
なのに、住んでいる街のために利益になっていることを、何のアピールもしなかった。そこが間違いだったんです。
どんな経緯があったかは分かりませんが、勇者のジョブを得たことを皆に公表した以上、ヘレンさんに力があることをアピールして、いざ何かあった際には、率先してそのトラブルを解決する。
そう公言さえしていれば、「世界の勇者」にはなれなくても、「街の勇者」として尊敬される存在になれていたのです。
実際に、街のトラブルなんて、ゴブリンやオークの集落が側に見つかった程度がほとんどです。
それらを1度でも解決し、皆にアピールしていれば、街の人間はヘレンさんが街にいることに利益を感じます。
そうすれば、逆に冒険に行って欲しいなんて思わず、街に居続けて欲しいに変わるのです。
お互いに利益を感じられる、もしくは今後も関わっていきたいと思える関係があって、
そこがやっと人間関係のスタートラインです…
こんな話をしたら、街の人たちが酷いみたいに思えるかもしれませんが、それだけ街の人たちがヘレンさんに期待していた証拠でもあるのです。
ヘレンさんなら、勇者のジョブを正しく使ってくれるという期待が大きければ大きかったほど、それを使ってる様子がみえないだけで裏切られたように感じるものです。今後も関わりたいと思えなくなるほどに…
長くなりましたが、今回のことも、あの子にとって、俺のスキルの存在が利益になったんです。そして、話すことによって、俺にもあの子の存在は今後も関わり続けてもいいと思えたんです。
俺とあの子の信頼関係はまだありません。でも、それを築くためのスタートラインには立てたんです。
だから、俺はあの子を受け入れることが出来た。それだけです。』
『そんな…私は街の皆と向き合った上で、裏切られ続けたと思っていたけど、まさか私の方が仲良くなるためのスタートラインにすら立とうとしていなかったというのですか。。?』
『詳細は知らないので何とも言いがたいですが、先程のヘレンさんの発言からはそう感じさせられました。』
『そんな……』
『ただ、本当に街の人と仲良くしたいのでしたら、今からでも多少の努力をするだけで、すぐにきちんと向き合えると思いますよ。
あの街には、乗り合い馬車のおばちゃんのように優しい人が多くいると思うからです。なにより、ヘレンさんのような優しい人を育てた街なんですから!』
『…アランさん…
少し考えさせて下さい…』
(伝えたいことは伝えた。。後はどうするかはヘレンさん次第だ。)
こうして、俺はエリクサラマンダーの稀少種を仲間に迎えることになったのだった。
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