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第33話 会談 中編

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レオナルドが、エリスに問いかける。

『どういうことだ?

なぜ、マリア王女の雇った暗殺者が、エリス王女の前に現れ、さらにそいつを味方に引き込めるんだ?』

『その答えは、この会談の始まる前に、ハリー王子とアランが見せつけた通り、2人が仲の良いことを暗殺者が知り、アランにハリー王子を紹介してくれと頼んできたことがきっかけだ。』

『2人が、仲良いことをその暗殺者は、どうして知ってるのだ?2人が出会った時、実際に会ってる俺ですらそこまでの仲とは分かってなかったんだぞ。』

『近衛兵の御披露目会の時に、ハリー王子がアランに向けて一生懸命、手を振っていたそうだ。それをアランも手を振り返した。

それを見た暗殺者は、アランに近づいた。色仕掛けをすればすぐ紹介するだろうと思ったそうだ…』

エリスが語るように、この会談より前に、エリスとイアンには、アクティーを会わせている。アクティーが、愛を語りながら、終始俺への忠誠を熱く語っていたのをイアンが驚愕の表情で見ていたのを思い出す…


『なるほど…アラン君に近づいた理由までは分かった。しかし、その流れからエリス王女の味方になるというのが解せんな!』


『そこからは説明が難しいのだが、正確にはその暗殺者は、私の味方になったのではなく、アランのスキルによってアランに服従させられたのだ。

アランの命令ならば、いつでも喜んで死ぬと嬉しそうに言っていた。』


『…!?なんだ、その訳の分からない話は。。君たちは、俺たちをからかっているのか?』


『あー。そう思っちまいますよね…俺も実際にこの目でその様子を見ていても、狐につままれたような話です。

…だが、アランのスキルの力は本物だ!』

誰しも信じることが出来ないであろう話を、イアンがフォローしてくれる。


『まあいい、ではアラン君、そのスキルについての詳細を聞かせて貰えないだろうか?そうでなければ、とても信じられるような話ではないのは理解してもらえるね…?』

『レオナルドさん、俺のことはアランと呼んで下さい。出来るだけこのスキルのことは秘密にしたい内容なので、ここにいるメンバーだけの秘密にして貰えませんか?』

『ここにいるメンバーは、ハリー王子が生まれたときから、ハリー王子に仕えるメンバーだ。秘密を遵守することは、約束させよう。2人もそれでいいな?』
ナディアとマリンが頷く。


『ありがとうございます。

このスキルは、スキルを発動させた状態で異性に触れると、あり得ないくらいの快楽を与えるようです。その効果がちょっと強過ぎるようで、触り過ぎると、心が折れ、俺に屈服してしまうようです。』

『…!?話を聞いても益々信じられないのだが、アラン君…いや、アランのそのスキルを実際に見せて貰うことは可能か?』

どうしても皆、言葉だけでは、俺のスキルのことを信じることが出来ないらしい…

『使うことは可能なのですが、同姓には効果がないので、レオナルドさんには効果がありません。もし、試すとすればナディアさんかマリンさんで試すしかないのですが、良いのでしょうか?

…あっ!でも、ほんの短時間でしたら、そこまですごい効果ではないはずです。先日もエリスさん自身が、短時間触れましたが大丈夫だったようですので。』


エリスは、心の中で少し焦っていた。

あれを短時間なら大丈夫と言っていいレベルなのかに、疑問を感じずにはいられなかったからだ。しかし、それを今言うのは自分がそんなに感じていたことを自ら暴露することになり、さらには、エリスがスキルを試すことを止めることは、こちらの陣営の言葉に信憑性が失われることにも繋がりかねない。

エリスが心の中で色々と議論してる間にも、話は進んでおり、念のため2人とも少しだけ触れてみての感想を基に、スキルを検証することとなった。


『では、使いますよ!?絶技…』

シーンと数秒ほど時間が過ぎる…ちなみにましろはとっくにビアンカのとこに避難している。


『何も変わった感じはしないみたいだが…』
レオナルドが俺を見て、触ってくるが何も変化はない。


『はい。男性には全く効果はありません。では、ナディアさんとマリンさんの掌を10秒ほど触りますね!?念のため、足に力が抜けてしまってもいいように、座った姿勢で始めましょうか?』



ナディアとマリンは素直に、2人並んで座った。正直いうと、この話はあり得ないとしか言いようがないのだが、こちらから検証もせずに一方的に嘘つき呼ばわりするのは、今後の関係を悪くするのも分かっているが上の協力であった。

そんな効果のスキルは、かつて聞いたこともないし、仮に効果があったとしても、男性経験豊富な自分たちに、掌を10秒触れた程度で感じさせることなど、どんなテクニシャンでも不可能だと思ったからだ。

しかし、目の前の男が自分に触れた瞬間、2人は全てが本当であったことを悟った。

掌から徐々に広がる快感がまともに言葉を発することすら許さない。まるで全身の感覚を何万倍も敏感にされ、セックスの一番気持ちいい瞬間を全身のあらゆる場所で繰り返し刺激されイカされ続ける。イッタはずなのに、また次の刺激でイカされる。終わりのない絶頂を繰り返していくうちに絞り出せた言葉は…

『んくっ。んあっ…あーーー!イク…イク、イキ過ぎて…もう…こんなの…がっ…「ビクンっ!ビクン」…んあああああああ!!』
ナディアはついには、失禁までしてしまう。

『あぁあああ~!ぎぼぢ…んあっ…いいいっ!おがしぐなっちゃう…んあっ。あーっ!』
マリンはビクッと体が大きく跳ね、痙攣を起こし、やはり失禁してしまう。

俺は10秒はまだ経ってないが、慌てて手を離すも、そこには先ほどまでの貴族の凛とした姿はどこにもなく、ただのメスと化してしまった2人の姿があった。


ナディアとマリンの卑猥な息づかいだけが響き渡る部屋に、イアンの声が響いた。

『実際にその目で見ても、やっぱり、この様子は現実味ない、きつねにつままれたような気分になるだけなんですよね…』

ハリーとレオナルドは口を大きく開けたまま固まっていたが、イアンの声で始動する。

『これは驚きました…屈強な兵士である2人を同時に、あのように軽く触れるだけで、このような姿へ変えてしまうとは!アランはやっぱりすごい!』

ハリーは、まだ性的な意味合いは学んでないのか、これも武力の一種のように感じてるようだ。俺のことを尊敬の目で見つめている。


『疑ってすまなかったな。これを見せられては流石に疑いようがない…未だに夢を見てる気分だが…』
レオナルドは、長年付き合いの長い2人の、見たことないあまりな姿に、どう言葉を表現していいのか迷っていた。

既にアランが手を離してしばらく経過しているが、ハリー王子や俺、他候補者まで側にいるというのに、まるで周りのことなど気にすることもなく、失禁したことすらどうでもよいことだと、快楽の余韻に浸り、未だに喘いですらいる。

どうやったらこんなことが出来る?目の前の、どう見ても、のほほんとした少年が急に得体の知れない化け物にしか見えなくなってくる…

『アラン…君は何者なんだ?

このような能力は今まで聞いたことない…悪魔が人間に擬人化しているのか?』

俺は、理解出来ない存在への恐怖から、無意識に剣に手が伸びてしまう。部屋に一気に緊張が走る。


『レオナルドさん!?人をそんな怖い存在にしないで下さいよ!俺は普通の人間です。』

俺の言葉に驚いたように、気の抜けた声で言ってくる…これも演技なら大した道化だが…


『普通という理からはかなり外れているのは間違いないが、今は敵ではなく、味方として存在しているということで、アランの存在への疑問はひとまず飲み込むことにしよう…』
ひとまず剣から手を離すが、

『しかし、ハリー様や、王家、さらには王国そのものを脅かすと私が判断した場合は、遠慮なく君を滅ぼさせて貰う。それほどに君という存在を危険な力を有しているということを自覚するべきだ!』

俺は普通の人間なら意識を保つことも苦しいほどの殺気を込めて言い放った。

にも関わらずこの普通の少年の姿をした存在は、平然とした様子で返事をしてくる。

『俺は、そんな大それたことしませんよ。それに、そんな王国を脅かすような力が、俺にあるわけないじゃないですか?』

周りを見回すと、直接殺気を送ったわけでもないが、エリス、イアン、ビアンカはかなり苦しそうにしている。


(この存在が普通なわけあるか!一体何者なのだ…この国の平和にとって一番の驚異はこの少年なのかもしれないな…)



レオナルドは、この時、アランの存在を大いに勘違いした。アランはこの3日、常にましろの猛攻に晒され続ける訓練をしていた。ましろの本気の力はレオナルドの比ではない。

アランがましろと出逢ったばかりのときとは違うのだ。

500年、元のダーリンとただイチャイチャしかしてこなかったましろは、当初走り方すら忘れていた。

せっかく長くダンジョンマスターをしていたことで、圧倒的なステータスを得ていたにも関わらず、全く使いこなせてなかったのだ。

例えるなら、年を取ったお父さんが久しぶりに運動会で走って見事にコケてるようなものだ。内容は真逆であるが…ましろは、力が思っていたよりありすぎて、どう動いていいか分からなかったのだ。


本来、あの時のアランなど、瞬殺して当たり前!一撃を耐えることなどできるはずもないほど圧倒的な存在の差があった。

アランが王都に来てから、アランと合流するまでの2週間での冒険で、自身の体を動かすコツを掴んだましろのプレッシャーは、手加減をしていても、アランの精神や肉体に、常に死の恐怖を与え続けるには十二分なものだった。

それに3日耐えきった今のアランには、この時レオナルドの放った殺気など慣れしたんだ感覚でしかなかったのだ。

それが、アランにとって、よい結果となったかは定かではないが、これがアランの未来を書き換えたことは間違いないだろう。


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