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第74話
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「ママっ!呆けてないで早くパパの治療してーーー!!」
ひかりの叫び声に浩美が慌ててヒールを開始した。
「ママ、パパを絶対に死なせないでね!あかりはこんなことをした奴をやっつけてくる!!」
あかりは風の魔法を纏い、空高くへと飛んだ。目的の空に到着すると、漂う煙を強風で吹き飛ばした。
煙の中にいたのは…1つの小さな石だった。いや、スライムのように柔らかい石だった。
「これは…パパの言っていた魔力の石…!?これがさっきの攻撃をしたとでもいうの?」
すると驚くことにそのスライムが叫びだした。
「修三が死んだ!修三が死んだ!!修三が死んだんだーー!!!」
「阿武さんは死んだんだ…?でもそれなら何故パパへ攻撃をしたの?」
「僕は社さんを狙ったんじゃない!修三を殺したお前を殺そうとしたんだ!!
どうやったかは分からないけど、あの攻撃を放ったのはお前だろ!?僕には魔力の質で分かるんだ!!
僕はお前の攻撃で何度も何度も消滅しかけた…消滅を逃れる為に大量の魔力を使って超回復をし続け、何とか生き残った。
耐えた筈だったのに…残ったのは僕だけだった…修復しようにも修三の体はもう細胞の1つも残ってないんだ!!!
こんなことならあの時に修三と一緒に死んでればよかった!
僕にはもう生きる目的は何もない…なのに僕はもう消えることもできないんだ!修三の魂が消えたから…
せめて思い付くのがお前に修三の復讐をすることだけだっ!」
「そっか…でも私もすっごく怒ってるもん!!パパを傷つけたのを許さないもん!!このままあなたなんてやっつけちゃうから!!!」
あかりは風の魔法でスライムの体を切り刻んだ!しかし、切ったそばから繋がっていく。ダメージを与えられてるかすらも怪しい…
「なら、一気に消滅させちゃえばいいことだもんー!」
あかりは魔力のレーザーを放った!あの時阿武さんの足を消滅させた魔法だ。
この魔法は魔力の塊であるレーザーを風の魔法と氷の魔法で圧縮し、さらに聖属性の浄化の力をベクトルを変えて〈強制消滅〉の力に変えてしまったものだ!
…といっても使ってる本人もそんなこと理解すらしていない。天性の勘のようなものでこれだけのオリジナル魔法を生み出し、使いこなしてるのだ。
スライムも同じく魔力のレーザーを放ち対抗しようとするも、あかりのレーザーに掻き消され押し戻されていく。
「くそっ!何故なんだ!!僕の方が魔力は上の筈なのにーー!!!」
その叫び声と共にスライムの体の大半が消滅してしまった。
僕はこのまま死んじゃうの?それじゃー僕は何の為に生まれてきたというんだ!?修三の願いは叶えることができず、修三まで死なせてしまい、修三の復讐すら果たせずに消えていくのか?
そんなこと許せる筈がないじゃないか!!
「僕は何も叶えられずに死ぬなんて嫌だー!!」
小さくなったスライムは真っ黒な炎を纏い、あかりに体当たりをしようとしていたが…あかりの風の魔法にあっさりと阻まれ動けなくなってしまう!
「これで終わり…」
あかりが魔力のレーザーでスライムを消そうとしたところ、
《あかり、待て!まだそいつを殺すな!!最後に話があるんだ!!!》
という俺のテレパシーによって遮られることとなった。
《パパ!良かった…生きてるんだね!》
《もちろんだ!ママが頑張ってくれたんだ!!》
「何故止めたんだ?」
「パパが最後に話があるんだって!」
あかりはスライムを風の檻に入れて俺のところに戻ってきた。
「パパっ!大丈夫?」
「ああ…何とか生きてはいるよ!心配をかけてすまなかったな!!それによく阿武さんを止めてくれた!」
「ママが頑張ったんだよー!全魔力を使ってパパを回復させたんだよ!!回復にチューまでしてたんだから!」
「それは生命力を注ぐためにしてたの!わざわざ言わなくていいの!!」
「で?僕に話があるんだろ?今さらそんな体にしたことを文句でも言いたかったのかい?」
「お前にどうしても1つだけ伝えておきたいことがあったんだ!
俺たちは結果阿武さんに勝った!だが、不思議に思わなかったか?何故こんな小さな子供であるあかりがこんなにもすごい力を持っているのかって?
あかりの能力は応援を受ければ受けるだけ能力以上の力を発揮できるというものだ!
この戦いの途中からあかりは世界中の人々から応援を受けて、実力を遥かに越えた力を奮っていたんだ!
俺は阿武さんがお前を取り込む時に一緒にいた。だから阿武さんの願いを聞いている。あの時阿武さんは自分が人類の敵となることにより、人類が国、人種なんかに左右されず1つになれることを願っていた。
正に今日のあかりこそがその集大成だ!世界中が1つになり、お前という敵に立ち向かった!その結果、お前は破れた!!
つまりは魔力の石、お前は阿武さんの願いを既に叶えていたんだ!
正直お前のしたことは悪だし、褒めてやることはできない!しかし、結果はお前が生まれてきたことには意味があった!
せめてそれだけは自覚して死んでもらいたかった!」
「社さん、それは本当かい?僕の生まれたことにも意味があったのかい?」
「そうだな!もう人間はお前のお陰で1つになれた!!お前の願いは叶ったんだ!もうこの世界でお前の力を振るう必要はないんだ!」
「良かった…僕はこれで安心して死ねるよ!社さん、最後まで優しくしてくれてありがとう!
あかりちゃん、抵抗なんてしないから、もう僕を殺してくれ!!」
スライムは目を閉じ、静かに最後の時を受け入れようとしていた。
「分かった!じゃー消しちゃうよ!!」
あかりが最後の魔力のレーザーを放とうとした時、突然何者かが現れ、魔力の石を飲み込んでしまった!
「なっ?何が起きた?」
それはまさかの存在だった!
ひかりの叫び声に浩美が慌ててヒールを開始した。
「ママ、パパを絶対に死なせないでね!あかりはこんなことをした奴をやっつけてくる!!」
あかりは風の魔法を纏い、空高くへと飛んだ。目的の空に到着すると、漂う煙を強風で吹き飛ばした。
煙の中にいたのは…1つの小さな石だった。いや、スライムのように柔らかい石だった。
「これは…パパの言っていた魔力の石…!?これがさっきの攻撃をしたとでもいうの?」
すると驚くことにそのスライムが叫びだした。
「修三が死んだ!修三が死んだ!!修三が死んだんだーー!!!」
「阿武さんは死んだんだ…?でもそれなら何故パパへ攻撃をしたの?」
「僕は社さんを狙ったんじゃない!修三を殺したお前を殺そうとしたんだ!!
どうやったかは分からないけど、あの攻撃を放ったのはお前だろ!?僕には魔力の質で分かるんだ!!
僕はお前の攻撃で何度も何度も消滅しかけた…消滅を逃れる為に大量の魔力を使って超回復をし続け、何とか生き残った。
耐えた筈だったのに…残ったのは僕だけだった…修復しようにも修三の体はもう細胞の1つも残ってないんだ!!!
こんなことならあの時に修三と一緒に死んでればよかった!
僕にはもう生きる目的は何もない…なのに僕はもう消えることもできないんだ!修三の魂が消えたから…
せめて思い付くのがお前に修三の復讐をすることだけだっ!」
「そっか…でも私もすっごく怒ってるもん!!パパを傷つけたのを許さないもん!!このままあなたなんてやっつけちゃうから!!!」
あかりは風の魔法でスライムの体を切り刻んだ!しかし、切ったそばから繋がっていく。ダメージを与えられてるかすらも怪しい…
「なら、一気に消滅させちゃえばいいことだもんー!」
あかりは魔力のレーザーを放った!あの時阿武さんの足を消滅させた魔法だ。
この魔法は魔力の塊であるレーザーを風の魔法と氷の魔法で圧縮し、さらに聖属性の浄化の力をベクトルを変えて〈強制消滅〉の力に変えてしまったものだ!
…といっても使ってる本人もそんなこと理解すらしていない。天性の勘のようなものでこれだけのオリジナル魔法を生み出し、使いこなしてるのだ。
スライムも同じく魔力のレーザーを放ち対抗しようとするも、あかりのレーザーに掻き消され押し戻されていく。
「くそっ!何故なんだ!!僕の方が魔力は上の筈なのにーー!!!」
その叫び声と共にスライムの体の大半が消滅してしまった。
僕はこのまま死んじゃうの?それじゃー僕は何の為に生まれてきたというんだ!?修三の願いは叶えることができず、修三まで死なせてしまい、修三の復讐すら果たせずに消えていくのか?
そんなこと許せる筈がないじゃないか!!
「僕は何も叶えられずに死ぬなんて嫌だー!!」
小さくなったスライムは真っ黒な炎を纏い、あかりに体当たりをしようとしていたが…あかりの風の魔法にあっさりと阻まれ動けなくなってしまう!
「これで終わり…」
あかりが魔力のレーザーでスライムを消そうとしたところ、
《あかり、待て!まだそいつを殺すな!!最後に話があるんだ!!!》
という俺のテレパシーによって遮られることとなった。
《パパ!良かった…生きてるんだね!》
《もちろんだ!ママが頑張ってくれたんだ!!》
「何故止めたんだ?」
「パパが最後に話があるんだって!」
あかりはスライムを風の檻に入れて俺のところに戻ってきた。
「パパっ!大丈夫?」
「ああ…何とか生きてはいるよ!心配をかけてすまなかったな!!それによく阿武さんを止めてくれた!」
「ママが頑張ったんだよー!全魔力を使ってパパを回復させたんだよ!!回復にチューまでしてたんだから!」
「それは生命力を注ぐためにしてたの!わざわざ言わなくていいの!!」
「で?僕に話があるんだろ?今さらそんな体にしたことを文句でも言いたかったのかい?」
「お前にどうしても1つだけ伝えておきたいことがあったんだ!
俺たちは結果阿武さんに勝った!だが、不思議に思わなかったか?何故こんな小さな子供であるあかりがこんなにもすごい力を持っているのかって?
あかりの能力は応援を受ければ受けるだけ能力以上の力を発揮できるというものだ!
この戦いの途中からあかりは世界中の人々から応援を受けて、実力を遥かに越えた力を奮っていたんだ!
俺は阿武さんがお前を取り込む時に一緒にいた。だから阿武さんの願いを聞いている。あの時阿武さんは自分が人類の敵となることにより、人類が国、人種なんかに左右されず1つになれることを願っていた。
正に今日のあかりこそがその集大成だ!世界中が1つになり、お前という敵に立ち向かった!その結果、お前は破れた!!
つまりは魔力の石、お前は阿武さんの願いを既に叶えていたんだ!
正直お前のしたことは悪だし、褒めてやることはできない!しかし、結果はお前が生まれてきたことには意味があった!
せめてそれだけは自覚して死んでもらいたかった!」
「社さん、それは本当かい?僕の生まれたことにも意味があったのかい?」
「そうだな!もう人間はお前のお陰で1つになれた!!お前の願いは叶ったんだ!もうこの世界でお前の力を振るう必要はないんだ!」
「良かった…僕はこれで安心して死ねるよ!社さん、最後まで優しくしてくれてありがとう!
あかりちゃん、抵抗なんてしないから、もう僕を殺してくれ!!」
スライムは目を閉じ、静かに最後の時を受け入れようとしていた。
「分かった!じゃー消しちゃうよ!!」
あかりが最後の魔力のレーザーを放とうとした時、突然何者かが現れ、魔力の石を飲み込んでしまった!
「なっ?何が起きた?」
それはまさかの存在だった!
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