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第58話
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「簡単な話ですよ。あなたの作った過去を映す機械で、過去の空の神殿の映像を見ました。」
「しかし、あそこには空でも飛べないと行けないのに…」
「それも簡単な答えです。カオスさんに乗せていってもらいました。あの時、あなたが視察の護衛兼移動手段としてカオスさんを貸してくださったではないですか!」
「しかし、そんな映像は魔石に残ってなかったですよ!」
「あの機械、過去を録画しなくても過去の映像が見れました。それを私の携帯に録画しておきました。
アメリカの行動の証拠としてあの機械を1日お借りしましたが、私たちが一番気になっていたのは、あの島がどうやってあそこに出現するに至ったかということでした。
私はあの機械で島の出現直後、空から降りてくるあなたたちご家族の姿を見て、そこに秘密があることは予測つきました。
何気なくカオスさんに聞いてみると、カオスさんの方からあそこも視察するのか?と連れていってくれましたよ!」
「そうだったのか…完全に俺の油断だな…
で?その情報を知って、阿武さんはどうするんです?」
緊張が走る。
「私は是非社さんにその言葉を言ってもらいたいと思ってますよ!それにご家族の為にもそうされた方がよいかと…
私は社さんも、ご家族もとても気に入ってるのです!あなたたちを傷つけたくはない。」
「どういうことだ?何故家族が関係する?」
「まず最初に…私を攻撃することはオススメできません。先ほど部下に連絡したでしょ?あれから1時間以内に再び私から連絡がなければあなたのご家族を攻撃する手筈になっています。
そして、ご家族に何らかの方法で連絡を取ろうとするのもオススメできません。あなたのご家族があの家から離れようとしたら攻撃する手筈になっております。」
「そうか…これでも俺は阿武さんのことそれなりに信じていたんだがな…」
「落ち着かれてますね?ご家族にカオスさん一家がついているから安心ですか?さすがのカオスさんたちも、同時に3発の水素爆弾が襲ってきても耐えられますか?その上で社さんのご家族を守れますか?」
「何故水素爆弾!?非核三原則はどうなってるんだ?」
「あんなもの本当に守ってると思っていたのですか?意外に頭の中はお花畑なのですね?太平洋の海底にある地下施設に隠されてますよ!」
そうだったのか!?日本のこと甘く見すぎていたのは俺の方か?
水爆か…あの家につけた装置では絶対に耐えられないな…カオスたちは…もしかしたら余裕で耐えられるかもしれないが、浩美や子供たちが全くの無傷で耐えられるとはとても思えない…くっ!
「欲に負けたのか?力を手に入れてどうするつもりなんだ?」
「欲に…そうなのかもしれません。私は国の為に何年も何年も働き続けました。しかし、政治は腐ってます!誰もかれもが未来の為にと表では言っていても、結局は自分等の利益にばかりしか目がいってません!
それは日本だけではありません!世界のどの国も同じです!
私がどんなに国を思って身を粉にして頑張っても、ついてくるのは批判ばかり…もう足の引っ張り合いには飽き飽きしていたのです。
私はそろそろ潮時か?と退任を考え出した頃にあなたと出会ったのです!
私は自分のしたいことを、誰にも文句を言わせずに実現するだけの力を手にしたくなってしまいました。
私に協力頂けると助かります!」
「ずいぶんと勝手な言い分だな?既に一国の長にまで登り詰めた男が、さらに周りを黙らせる力を求めるなんて…日本を独裁国家にでもしたいのか!?」
「独裁国家?…少し違いますかね!私は世界を本当の意味で1つにしたいのだと思います!国という考え方すら必要ありません。下手に分けようとするから欺き合うのです。
映画でもよくあるでしょ?人類に共通の強大な敵が現れると、人類がそれを打破する為に手を取り合い、国や人種の垣根を越えて1つになる。
私はもし巨大な力を得られたら、地球の人類にとって、強大な敵であり続けるつもりです。その期間が長ければ長いほど、地球は1つになる筈です!」
「何だそれは?…ここまでして力を得て、あんたは世界の嫌われものになろうとしてるってことか?全く意味が分からないぞ!」
「私のこの気持ちを他人に理解してもらえるとは思ってません。社さんもそろそろ決断してもらえませんか?あれから既に35分を経過してしまいました。残り25分で魔力の石を私が得た上で、部下に連絡をしなければ社さんのご家族に水素爆弾が発射されてしまいます!」
「くっ…もう引き下がれないのか?」
「その程度の決意なら、こんなことまではしてません!ここで社さんに殺される覚悟も、非核三原則を破り水素爆弾を保持していた事実、さらにはそれを自国の民に使用した過去最悪の総理と罵られる覚悟も持って私は今ここにいます!
説得は無意味です!それに先ほどの順番は変える気はありません。私が力を得てからしか部下に連絡することはありません!」
「くそ!我神々に復讐するもの!!」
俺の体の中に溶け込んだ賢者の石が反応し、昇降機はこれまでとは違い空間を移動した。そう、あの閉ざされた空間に入り込んだ時に感じた感覚だ!
気づいた時には、小さな台座が1つだけある狭い部屋の中だった!その台座の上には紫に光り輝く石が存在していた。
「これが魔力の石ですね!時間もないことですし、早速取り込みましょうね!」
「どうやって吸収するつもりだ?あんたにはそんな能力ないだろ?」
「私は長く政治家を勤める中、1つ特技がありまして…短時間で食事を摂る為に、早食いをすることが多かったのです。」
阿武さんは上を向き大きく口を空け、小さいとはいえ、拳大ほどはありそうな石がするすると飲み込まれていった。
「こ、これは…これが魔力ですか?すごいですね!!まるで生まれ変わったようです。どんどん私の体に溶け込んでいきます。」
「感想はいい!早く部下に連絡しろ!!」
「社さんは無粋ですね?そんなに急がなくてもまだ時間はあります。少しくらい楽しませてくれてもいいではないですか?それにここはどうやら衛星電話ですら電波を受信できない場所のようです。
外に戻ることにしましょう!」
「これはどうすれば戻れるんだ?そうか…普通に呪文を唱えればよいのか!夜、闇、月。」
俺は賢者の石で得ていた知識を探り、ここを離れる方法を実行した。
「これで連絡を取れるだろう!早く連絡しろ!!」
「分かりました。」
携帯を使って阿武さんは連絡を取る。
「これでご家族は大丈夫です!社さんを騙すような真似をして本当にすいませんでした!!」
そう言い、阿武は深々と頭を下げてくる。
「!?社さん、不思議そうな顔をしてどうされましたか?」
「いや、何て言うか普通だなと思って…強大な力を得たら悪役ってすぐに暴れ出すものだと思ってたから…てっきり俺を殺そうとすると思っていたのに、まさか逆に謝られるとは思ってなかったので…」
「騙した上、脅迫までしてしまったんです。謝るのは人として当然でしょう?社さんこそ私へお怒りでしょう?何故糾弾しないのです?私こそご家族を解放したらすぐに殺そうとされると思ってましたよ!
私は世界にとって危険な存在になったんですから…」
「そこなんだ…気配を探る限りはどうもそこまでの脅威ではなさそうなんですよね?普通の人間と比べると強くなった気はするけど…試しにその辺の木でも殴ってみてくれ!』
阿武は言われたように木を殴ると木は大きな音を立て倒れた。
「すごい…」
阿武さんは自分のパンチの威力に感動している。
『やっぱりその程度ですね…見ていて下さい。』
俺も同じように殴ると、拳が当たった箇所は粉々に粉砕され、それ以外の木の残骸は百メートル以上吹き飛んでしまった。
「分かりますか?その程度の力では、さっきあなたが話していた野望は叶いそうにないですね。」
「こ、ここまでしたのに…そんな…
私はここで社さんに殺されて終わりなんですね…」
「殺しはしないですよ!その程度の力だったら世界の脅威とはなりません。確かに先ほど聞いた野望は狂ってるとは思いましたが、悪かと言われるとちょっと違う気もしますからね…
俺に対しても悪いことをしたという認識を持った上で、自らの正義の為に行動したのが分かりました。
俺が家族を守るためなら人殺しをしても仕方ないと思ってるのと同じだと思います。
阿武さん、あなたは悪役にはなりきれないみたいです!今回のこと俺は目を瞑ります。
だから、あなたも力で無理やり世の中を変えようとなんてせずに、これまでと同様に政治の力で世の中を変えるべきだと思います!
あなたは死ぬ覚悟で行動することができるんです!その覚悟で世の中を動かすこともできる筈です!!」
「ハハハッ…私の完敗ですね。まだ私にもできることがありますかね?」
それから俺たちは何事もなかったように、エフロディーテに行き、平和的な交渉を進めていった。
「しかし、あそこには空でも飛べないと行けないのに…」
「それも簡単な答えです。カオスさんに乗せていってもらいました。あの時、あなたが視察の護衛兼移動手段としてカオスさんを貸してくださったではないですか!」
「しかし、そんな映像は魔石に残ってなかったですよ!」
「あの機械、過去を録画しなくても過去の映像が見れました。それを私の携帯に録画しておきました。
アメリカの行動の証拠としてあの機械を1日お借りしましたが、私たちが一番気になっていたのは、あの島がどうやってあそこに出現するに至ったかということでした。
私はあの機械で島の出現直後、空から降りてくるあなたたちご家族の姿を見て、そこに秘密があることは予測つきました。
何気なくカオスさんに聞いてみると、カオスさんの方からあそこも視察するのか?と連れていってくれましたよ!」
「そうだったのか…完全に俺の油断だな…
で?その情報を知って、阿武さんはどうするんです?」
緊張が走る。
「私は是非社さんにその言葉を言ってもらいたいと思ってますよ!それにご家族の為にもそうされた方がよいかと…
私は社さんも、ご家族もとても気に入ってるのです!あなたたちを傷つけたくはない。」
「どういうことだ?何故家族が関係する?」
「まず最初に…私を攻撃することはオススメできません。先ほど部下に連絡したでしょ?あれから1時間以内に再び私から連絡がなければあなたのご家族を攻撃する手筈になっています。
そして、ご家族に何らかの方法で連絡を取ろうとするのもオススメできません。あなたのご家族があの家から離れようとしたら攻撃する手筈になっております。」
「そうか…これでも俺は阿武さんのことそれなりに信じていたんだがな…」
「落ち着かれてますね?ご家族にカオスさん一家がついているから安心ですか?さすがのカオスさんたちも、同時に3発の水素爆弾が襲ってきても耐えられますか?その上で社さんのご家族を守れますか?」
「何故水素爆弾!?非核三原則はどうなってるんだ?」
「あんなもの本当に守ってると思っていたのですか?意外に頭の中はお花畑なのですね?太平洋の海底にある地下施設に隠されてますよ!」
そうだったのか!?日本のこと甘く見すぎていたのは俺の方か?
水爆か…あの家につけた装置では絶対に耐えられないな…カオスたちは…もしかしたら余裕で耐えられるかもしれないが、浩美や子供たちが全くの無傷で耐えられるとはとても思えない…くっ!
「欲に負けたのか?力を手に入れてどうするつもりなんだ?」
「欲に…そうなのかもしれません。私は国の為に何年も何年も働き続けました。しかし、政治は腐ってます!誰もかれもが未来の為にと表では言っていても、結局は自分等の利益にばかりしか目がいってません!
それは日本だけではありません!世界のどの国も同じです!
私がどんなに国を思って身を粉にして頑張っても、ついてくるのは批判ばかり…もう足の引っ張り合いには飽き飽きしていたのです。
私はそろそろ潮時か?と退任を考え出した頃にあなたと出会ったのです!
私は自分のしたいことを、誰にも文句を言わせずに実現するだけの力を手にしたくなってしまいました。
私に協力頂けると助かります!」
「ずいぶんと勝手な言い分だな?既に一国の長にまで登り詰めた男が、さらに周りを黙らせる力を求めるなんて…日本を独裁国家にでもしたいのか!?」
「独裁国家?…少し違いますかね!私は世界を本当の意味で1つにしたいのだと思います!国という考え方すら必要ありません。下手に分けようとするから欺き合うのです。
映画でもよくあるでしょ?人類に共通の強大な敵が現れると、人類がそれを打破する為に手を取り合い、国や人種の垣根を越えて1つになる。
私はもし巨大な力を得られたら、地球の人類にとって、強大な敵であり続けるつもりです。その期間が長ければ長いほど、地球は1つになる筈です!」
「何だそれは?…ここまでして力を得て、あんたは世界の嫌われものになろうとしてるってことか?全く意味が分からないぞ!」
「私のこの気持ちを他人に理解してもらえるとは思ってません。社さんもそろそろ決断してもらえませんか?あれから既に35分を経過してしまいました。残り25分で魔力の石を私が得た上で、部下に連絡をしなければ社さんのご家族に水素爆弾が発射されてしまいます!」
「くっ…もう引き下がれないのか?」
「その程度の決意なら、こんなことまではしてません!ここで社さんに殺される覚悟も、非核三原則を破り水素爆弾を保持していた事実、さらにはそれを自国の民に使用した過去最悪の総理と罵られる覚悟も持って私は今ここにいます!
説得は無意味です!それに先ほどの順番は変える気はありません。私が力を得てからしか部下に連絡することはありません!」
「くそ!我神々に復讐するもの!!」
俺の体の中に溶け込んだ賢者の石が反応し、昇降機はこれまでとは違い空間を移動した。そう、あの閉ざされた空間に入り込んだ時に感じた感覚だ!
気づいた時には、小さな台座が1つだけある狭い部屋の中だった!その台座の上には紫に光り輝く石が存在していた。
「これが魔力の石ですね!時間もないことですし、早速取り込みましょうね!」
「どうやって吸収するつもりだ?あんたにはそんな能力ないだろ?」
「私は長く政治家を勤める中、1つ特技がありまして…短時間で食事を摂る為に、早食いをすることが多かったのです。」
阿武さんは上を向き大きく口を空け、小さいとはいえ、拳大ほどはありそうな石がするすると飲み込まれていった。
「こ、これは…これが魔力ですか?すごいですね!!まるで生まれ変わったようです。どんどん私の体に溶け込んでいきます。」
「感想はいい!早く部下に連絡しろ!!」
「社さんは無粋ですね?そんなに急がなくてもまだ時間はあります。少しくらい楽しませてくれてもいいではないですか?それにここはどうやら衛星電話ですら電波を受信できない場所のようです。
外に戻ることにしましょう!」
「これはどうすれば戻れるんだ?そうか…普通に呪文を唱えればよいのか!夜、闇、月。」
俺は賢者の石で得ていた知識を探り、ここを離れる方法を実行した。
「これで連絡を取れるだろう!早く連絡しろ!!」
「分かりました。」
携帯を使って阿武さんは連絡を取る。
「これでご家族は大丈夫です!社さんを騙すような真似をして本当にすいませんでした!!」
そう言い、阿武は深々と頭を下げてくる。
「!?社さん、不思議そうな顔をしてどうされましたか?」
「いや、何て言うか普通だなと思って…強大な力を得たら悪役ってすぐに暴れ出すものだと思ってたから…てっきり俺を殺そうとすると思っていたのに、まさか逆に謝られるとは思ってなかったので…」
「騙した上、脅迫までしてしまったんです。謝るのは人として当然でしょう?社さんこそ私へお怒りでしょう?何故糾弾しないのです?私こそご家族を解放したらすぐに殺そうとされると思ってましたよ!
私は世界にとって危険な存在になったんですから…」
「そこなんだ…気配を探る限りはどうもそこまでの脅威ではなさそうなんですよね?普通の人間と比べると強くなった気はするけど…試しにその辺の木でも殴ってみてくれ!』
阿武は言われたように木を殴ると木は大きな音を立て倒れた。
「すごい…」
阿武さんは自分のパンチの威力に感動している。
『やっぱりその程度ですね…見ていて下さい。』
俺も同じように殴ると、拳が当たった箇所は粉々に粉砕され、それ以外の木の残骸は百メートル以上吹き飛んでしまった。
「分かりますか?その程度の力では、さっきあなたが話していた野望は叶いそうにないですね。」
「こ、ここまでしたのに…そんな…
私はここで社さんに殺されて終わりなんですね…」
「殺しはしないですよ!その程度の力だったら世界の脅威とはなりません。確かに先ほど聞いた野望は狂ってるとは思いましたが、悪かと言われるとちょっと違う気もしますからね…
俺に対しても悪いことをしたという認識を持った上で、自らの正義の為に行動したのが分かりました。
俺が家族を守るためなら人殺しをしても仕方ないと思ってるのと同じだと思います。
阿武さん、あなたは悪役にはなりきれないみたいです!今回のこと俺は目を瞑ります。
だから、あなたも力で無理やり世の中を変えようとなんてせずに、これまでと同様に政治の力で世の中を変えるべきだと思います!
あなたは死ぬ覚悟で行動することができるんです!その覚悟で世の中を動かすこともできる筈です!!」
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