家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫

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第21話

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 あの戦いの翌日、俺たち家族は昼間まで寝て過ごしていた。起きてからも、子供たちと遊ぶだけで、何もしないまま1日をダラダラと過ごしていた。

うちの夫婦は結婚した頃から、ゆっくりとしたいときには仕事や大事な用事がない限りは無理せずにゆっくりと過ごすという習慣があり、この日も2回のご飯以外は殆ど何もせずにとうとう1日を終えてしまった。



「おはよう!昨日はゆっくりしてかなりスッキリしたね♪」


「そうね!あんなにだらけたのは久しぶりだったわ♪」


「今日もママとパパと遊ぶー!」


「あかりもー!」


「ひかり、あかり、おはよう!遊びたいのは山々なんだけど…パパ今日はさすがにゴブリンたちの動向を調べたいから、ご飯を食べたら出掛けてくるよ!!」


「えー!ひかりも行きたーい!!」


「あかりもー!』


「今日の偵察も、ゴブリンの国へ近づくし、絶対に見つかる訳にはいかないから、すまないけどママとお留守番しておいてくれるかな?また明日は遊べると思うから。」


「絶対だよ!明日は遊んでね!!」


「あかりあしたがいいー!」


「久しぶりにあかりのあしたがいいー!を聞いた気がするな♪明日はパパ遊べるように今日は頑張るね!!パパも頑張るから、ひかりもあかりも今日はパパの大好きなママをよろしくね!!」


「ひかりもママ大好きー!」


「あかりね、ママすきー!パパすきー!ねえねだいすきー!」


あかりのあしたがいいー!は口癖のようなもので、楽しみなことができると言うことが多い。日本でもずいぶん先の旅行の予定を立てていたり、これから直ぐに行く外食の相談をしていたらよく言っていた。

まだ時間の感覚はないのだろうが、楽しみなことを早くしたいときに使ってるような気がする。


俺はこの大事な家族を、昨日のように危険な目に合わせなくて済むように、今日も頑張らねばならない!っと心に誓った。


朝食を食べた後、スキルの確認、ハンドガン、散弾銃の弾倉の補充を行い、すぐに出発した。



 ゴブリンの国へ向かう途中、俺は違和感を覚えた。

森を警戒しながら進んでいるのだが、何処にもゴブリン1匹存在しないのだ。結局、ゴブリンの国へ到着するまで1度もゴブリンと遭遇することはなかった。外壁代わりの木の柵の周りにも1匹もゴブリンは配置されておらず、ただただ静けさに支配されていた。


これは…俺が危惧してた通りの行動に出たのかな?俺たちを追いかけ、太古の森へ行ったのではないか?もしそうなら、今、ゴブリンの国の中はどうなってるんだ?


最低限の守りしか残ってない可能性が高い。もしゴブリンキングすら俺たちの討伐に出ているのならば、その直近のゴブリンジェネラルたちもきっと一緒だろう。


これは…ゴブリンの国を襲撃するチャンスなのではないだろうか?


俺は決断した!ゴブリンの国内部に侵入する!!…といっても勿論こっそりとだ!ゴブリンたちがどれだけ残ってるかも分からない中、真っ正面から大騒ぎする理由がない。


 中に侵入すると、そこは木で骨組みされ、動物や魔物の皮をなめした布で覆われた大きめのテントのような建物が無数に並ぶ集落であった。イメージはモンゴルのゲルをもっと簡易的にしたイメージだ。

昨日取得した気配感知スキルを使用し、気配を探るが、この辺りには生き物の気配は感じられなかった。隠密も気配感知も便利なスキルなのは分かっているので、今朝どちらも3レベルまで上げている。

ゴブリンの国は中心に向かうほど、大きく立派なテントとなっていくようで、しばらく進むと中心に一際大きな建物が見えてきた。

おそらくあれがゴブリンキングの棲みかであろう。


中心部に近づくと、気配感知に反応があった。どうやら残ったゴブリンたちはゴブリンキングの棲みか、つまりあの1番大きな建物に集まって過ごしているようなのだ!しかしその数は100匹にも満たないようだ。


これは…俺たちを追って太古の森へ行ったのは間違い無さそうである。
まあある意味賢いのかもしれない。僅かな人数で守るには、1つの建物に守りを集中した方が効率的だろう。

しかし、今の俺ならば例えその100匹が全員ゴブリンソルジャーやゴブリンソーサラーだとしても何も怖くない。自由に斬らせても、自由に魔法を放たせても、毒を使われても今の俺にはダメージすら与えられないことは一昨日の戦いで分かっている。

ただ懸念しなければならないのが、まだ戦ったことのないゴブリンジェネラルとゴブリンキングの存在だ!おそらくゴブリンキングもゴブリンジェネラルもその殆どが太古の森へ行っていると思われるが、その確証がない。

やはり俺は慎重に1匹ずつ消していくことにした。



 気配でどこに何匹いるかが把握できる為、正直ヌルゲーである。さらに中にいたのは殆どが通常のゴブリン…しかもまだ子供ばかりであった。魔物とはいえ、同じ子供を持つ親としてそれを滅するのはかなり精神を磨耗させる行為であった。…が、俺はその全てを滅していった。

昔読んだラノベで、こんな時、子供だから可哀想だと残すと、その魔物はすぐに大きくなり、人間にさらに強い恨みを持つ魔物の集団を生むことになる。必ず子供も残らず退治する必要があると書かれていたのである。

この世界ではどうか分からないが、やはり家族の安全の為にも心配の種は潰しておこうと覚悟したのである。


ゴブリンキングは俺たちを追うことを選択した。今日ここに来るまでは、もし俺たちをこれ以上追おうとしてなければ、俺は明日にでも家族と一緒にエフロディーテに向かっていただろう…

しかし、奴らは俺たちをほぼ総力をあげて追った。ここまでゴブリンの国と敵対してしまったからには、奴らは俺たちをエフロディーテへ逃がす気はないことは明白だ。

ならば安全にエフロディーテを目指す為にも、俺はゴブリンの国を根絶やしにすると決めたのだ…



30分ほどで建物の中の殆どのゴブリンたちは消滅させた。残るは一番奥にある大部屋だけだ。中には7匹の気配がある。

これまでとは違いバレずに1匹ずつ倒すのは難しいだろう…俺は散弾銃を手に部屋に忍び込んだ。そこは駄々っ広い広間であり、王座と思わしき椅子があった。城の謁見の間のような場所なのだろう。


1匹のゴブリンはその王座に座しており、残る6匹はというと…牢のような狭い部屋に入れられていた。正確にいうと、6匹ではなく6人だった!若い女性ばかりのようだった。


どうやら、ゴブリンに捕まった人間の女性たちのようだな!ならば助ければ、ゴブリンたちは繁殖することもできなくなるだろう。一石二鳥だ!!


俺は手に持っていた散弾銃を構え、王座に座している大型のゴブリンに近付いた。


「お前がゴブリンキングか!?」



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