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第23話
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俺たちはキメラロードの猛攻の僅かな合間に、魔法を身に纏った。そう、魔法を体に装着したのだ。
これはアリエスが放出系の魔法を使うのに苦労していた時に偶然生まれた魔法の使い方で、体の一部にイメージした魔法を鎧のように身につけるのだ。
足にそよ風の魔法を纏えば素早く動け、手に纏えば素早くパンチできるし、相手を切り刻む力にもなる。しかし、この魔法の使い方は諸刃の剣なのだ。素早く動けるが、それを使用する者の筋肉や筋には確実に大きな負担となり、相手を切り刻むこともできるがその何分の1かは自分自身も切り刻んでしまうのだ。
アリエスは全身にそよ風を、俺は足にそよ風を、両手には点火の力を纏った。アリエスはそのまま素早さを上げ、キメラロードの頭の1つに飛び乗った。そのまま乱暴にその首を締め上げ始めた。その風の力が暴走し、キメラロードの首もアリエスの体中も次々と傷ついていく。
アリエスは魔力のコントロールが甘い為、自分へ跳ね返ってくるダメージが俺よりもはるかに大きい。だがこの魔法の使い方はアリエスには合ってるらしく、そんな傷など気にもせずにキメラロードの首を締め上げ続けている。風の刃がキメラロードの目を傷つけた一瞬の隙に、アリエスはそのまま首の骨を折ってしまった。
俺は他の首がアリエスを狙えないよう、両手に纏った炎のパンチでキメラロードの首たちを殴り飛ばしていく。それに怒ったキメラロードが俺を噛み砕かんと大きな口を空け噛みつき攻撃を仕掛けてくるが、俺は逆にその顎を左腕で掴み取り、上顎の付け根を右手で殴り顎の間接を外してやった。これでしばらくは噛みつくことなどできまい。
そのままもう1つの首へと掴み掛かるとその頸動脈を無理矢理引きちぎった。炎を纏うと何故かいつもよりも力が強くなるのだ。その代わりに細かいことはできなくなり、今のような荒々しい戦い方にどうしてもなってしまう。それに無茶苦茶熱い!どんどん火傷していくのだ。
3つの首が動きを止めたところで、俺はそのままキメラロードの体に向けて手刀を突き入れた。炎を纏う俺の腕は深々とキメラロードの胸を貫き体内を焼いていく。それが堪らなかったのか、キメラロードは俺に向けて前足を振り下ろしてくる。
「任せて!オリオンはそのまま止めを刺して!!」
アリエスは俺に向けて振り下ろされる前足を今度は炎を纏った体で受け止めると、そのままその腕を掴みとりいつものようにテコの原理を利用するのではなく、力ずくで折っていた。
それに続いて俺も動いた。体内に入った右手に魔力を集め、体内で火と風を同時に纏う。これまではただ体内で燃えていただけだったのが、今度は燃え盛る炎の嵐へと変わったのだ。肉は焼かれ、骨は切り刻まれ、内蔵は全て切り裂かれ消し炭に変わっていく。
さすがに超回復を持つキメラロードとはいえ、これには堪らなかったのかようで間もなく息耐えることとなった。
「あっちっちち!くそ痛てー!やっぱりこの技で合成魔法はヤバすぎるな…俺の腕が持たない!アリエスは…大丈夫そうだな。」
俺の右腕は真っ赤に爛れており、しばらくは使い物になりそうになかった。アリエスも身体中に火傷や傷は負っているが、ポーションで回復できる範囲である。
「それは…酷いわね。それにしてもこれは何だったの?」
俺たちは持っていたポーションで回復をしながら今回のことを考えていた。
「考えたんだが、おそらくはダンジョンには規定回数をクリアすると今回のような特別なボスと戦えるイベントが用意されてるんじゃないか?『ラムーダダンジョンを極めし者たちよ、最後の試練を乗り越えよ!』って言ってたしな。」
「なるほどね!だからあんなに手強かったのね?」
「あー、あれでまだ3匹分の強さだもんな。最初に1匹倒せなかったら、殺られていたのは俺たちだったかもな。」
「そうね…あれ?いつものように部屋の真ん中に宝箱が出ないわね?」
「代わりに普段は宝箱を取った後に部屋の奥に現れる転移魔法陣が、部屋の真ん中に現れてるぞ。何か特別なイベントなのかな?」
「まあ、入ってみるしかないんだけどな…」
俺たちが転移魔法陣の上に立つと、目の前の光景が反転した。
「ここは…一体何処なんだ?」
そこは全てのものが七色に輝く不思議な場所だった。木も、花も、そこにいる動物たちまで全てが虹色で彩られていた。
「何だか落ち着かない場所ね?」
「ここは…そうだ!ここは昔ゼウスローゼン様がお作りになられた亜空間だ!」
「トリス、ここを知ってるのか?」
「数千年前、ゼウスローゼン様が思い付いたように作り出した世界のうちの1つだ。何の為に作られたのかは知らなかったが、どうやらダンジョンをクリアした者にクリア報酬を与える為だけの世界のようだな!」
「ということはここにはトリスの主であるゼウスローゼンからの何らかの報酬があるということか!」
「おそらくはそうだろう。」
近くを探してみるとすぐにそれは見つかった。3メートルほどの石板に文字が記されており、それにはこう書かれていた。
私はこの世界を作りし神である。私はこの世界へ住まう者たちにより豊かに生活を送って欲しいと思い、7つのダンジョンを作った。ここへ辿り着いたということはそのうちの1つラムーダダンジョンを制したということだ。
私からの祝いとして、この力を授けよう。この力を役立て、さらに豊かな人生を送れることを祈っている。
尚、全てのダンジョンを制した者には更に便利な力を約束しよう!
それを読み終えると石板から七色の光が現れ、俺たちの体に吸収されていった。
「何だかあったかいな!」
「うん。何かのスキルをこれで得られたの?」
「我にも力が吸収されたぞ!我も共にダンジョンをクリアしたことになっていたということか?懐かしい主の力を感じるぞ!これは、鑑定の能力がこれまでより解放さるているようだ。」
「おー!トリス良かったな!俺たちにもどうやらスキルを与えられたようだ。トリスは見れるのか?」
「いや、これまでの名前と種族に加えてステータスも見れるようになったようだが、スキルまでは見れないな。」
「なるほど。俺たちの得たスキルは『俊敏2倍』だ!これはマジでありがたい能力だ!!それに副賞でかなりのGPが加算されてるようだ!お陰で200万GPを越えたぞ!!どうやら副賞だけでも10万GPも貰えたみたいだ!」
名前:オリオン
種族:人間
スキル:共通語理解、俊敏2倍
GP:2068706
称 号:異世界転生者、ファーレ神の加護を受けし者、ベトログ神の呪いを受けし者、魔力切れジャンキー、ラムーダダンジョンを制した者
体力:200
力:200
俊敏:200(×2)
魔力:200
精神力:200
「ほんとだ!これで私も200万GP貯まったわ!って1年の差があった筈なのに何で同時にポイントが貯まるのよ?」
「えっ?元々貯めてたポイントの差と、戦闘以外のポイント稼ぎの差だろうな。俺は今でも基本寝る前には必ず魔力切れで寝るようにしてるからな。」
「うわっ!変態。」
「変態って…魔力切れを起こしてると結構GP稼げるんだから仕方ないだろ?」
「それでも普通は嫌よ!」
「そんなもんかな?よし、早速完全解呪を取ってみるよ!これで解呪できれば拍子抜けだが、ラッキー。おそらくは無理だろう。アリエスは念の為まだ何もスキルは取得しないでくれ!」
俺は200万GPを利用して念願だった完全解呪のスキルを取得した!早速自分に完全解呪を使用しようとするとこうアナウンスが流れた。
《完全解呪は自分自身は対象外です。》
ああ、なるほど…転生者同士名乗れない状況で転生者同士が出会わなければまず解呪できない仕様だったのか。アリエスが俺の存在に気づいてくれてなかったら俺もこれで絶望していたかもしれないな。
「やはりこれだけでは解呪できなかった。完全解呪の対象は他人のみらしい。自分には使用不可だ。」
「なっ!本当にあの神様たちは嫌らしいわね!!でもそれは私たちには大した問題ではならないわね!?」
「そうだな!でもおそらくは俺がこのままアリエスを解呪しようとしても、解呪できないんだろうな。とりあえずやってみる。」
《待機状態の呪いは対象外です。発動準備に入ってから使用して下さい。》
これは…呪いが発動する直前でないと解呪できないということか…だがこれがどんな罠になるんだ?あっ!年上の転生者がいかに200万GP貯めても、それを使用できるのは年下の呪いが発動する直前なのか…
「なるほど、そういうことか!!待機状態の呪いは対象外らしい。発動準備に入ってから初めて使用することが可能らしい。つまり俺たちのような存在同士が出会い、その年上が20歳になる前に、年下が200万GPを貯めていなければ助け合うことは不可能だということだな。
目標の錯覚による、行動の抑止だな!」
「何それ?」
「俺が今考えた言葉だからな。つまり、10歳の頃GPで交換できるスキルの一覧を見た奴が何を考えると思う?20歳までに200万GP貯めれば助かると考えるだろ?そうするとそれを目標に行動を自然と決めてしまう。途中で余裕ができてくると安全にゆっくりでもいいかと考えてしまうだろ?
でも実際は他人にしか使用できず、呪いが発動する直前しか解呪が叶わない。少なくとも2人が出会い、その年上の呪いが発動する前には年下が200万GPを貯めていなければ2人とも死ぬことになる。実際は10年ではなく、もっと短い期間にGPを貯めていかなければ助かる見込みはなかったということだな。
俺たちの場合は1歳差だから19歳になるまでにってのが条件となる。この1年の差が長い期間で、さらに普通だとかなり大変な差となってのし掛かってくるんだ。あの神様たちは分かりやすく20歳までに200万GPを目標にさせることによって、俺たちの目標に対して実行する為の力を抑止してるんだ。」
「あー、やっとオリオンの言ってる意味が理解できた!何て意地の悪い設定!それに気づけるのが200万GPを貯め終えた後にしか気づけないってのも糞だわ!」
「そうだな…だがこれはこの3年俺が予想していたよりはずっと優しい設定だ。」
「はっ?これで優しい設定!?あんたどれだけ酷いパターンを想像してたのよ?」
「俺の予想ではさらにもう1つはスキルを取得しなければ解呪は叶わないと考えていた。そしてそれを確認する方法を俺たちは持ってるんだ!!」
「えっ?確認する方法?」
これはアリエスが放出系の魔法を使うのに苦労していた時に偶然生まれた魔法の使い方で、体の一部にイメージした魔法を鎧のように身につけるのだ。
足にそよ風の魔法を纏えば素早く動け、手に纏えば素早くパンチできるし、相手を切り刻む力にもなる。しかし、この魔法の使い方は諸刃の剣なのだ。素早く動けるが、それを使用する者の筋肉や筋には確実に大きな負担となり、相手を切り刻むこともできるがその何分の1かは自分自身も切り刻んでしまうのだ。
アリエスは全身にそよ風を、俺は足にそよ風を、両手には点火の力を纏った。アリエスはそのまま素早さを上げ、キメラロードの頭の1つに飛び乗った。そのまま乱暴にその首を締め上げ始めた。その風の力が暴走し、キメラロードの首もアリエスの体中も次々と傷ついていく。
アリエスは魔力のコントロールが甘い為、自分へ跳ね返ってくるダメージが俺よりもはるかに大きい。だがこの魔法の使い方はアリエスには合ってるらしく、そんな傷など気にもせずにキメラロードの首を締め上げ続けている。風の刃がキメラロードの目を傷つけた一瞬の隙に、アリエスはそのまま首の骨を折ってしまった。
俺は他の首がアリエスを狙えないよう、両手に纏った炎のパンチでキメラロードの首たちを殴り飛ばしていく。それに怒ったキメラロードが俺を噛み砕かんと大きな口を空け噛みつき攻撃を仕掛けてくるが、俺は逆にその顎を左腕で掴み取り、上顎の付け根を右手で殴り顎の間接を外してやった。これでしばらくは噛みつくことなどできまい。
そのままもう1つの首へと掴み掛かるとその頸動脈を無理矢理引きちぎった。炎を纏うと何故かいつもよりも力が強くなるのだ。その代わりに細かいことはできなくなり、今のような荒々しい戦い方にどうしてもなってしまう。それに無茶苦茶熱い!どんどん火傷していくのだ。
3つの首が動きを止めたところで、俺はそのままキメラロードの体に向けて手刀を突き入れた。炎を纏う俺の腕は深々とキメラロードの胸を貫き体内を焼いていく。それが堪らなかったのか、キメラロードは俺に向けて前足を振り下ろしてくる。
「任せて!オリオンはそのまま止めを刺して!!」
アリエスは俺に向けて振り下ろされる前足を今度は炎を纏った体で受け止めると、そのままその腕を掴みとりいつものようにテコの原理を利用するのではなく、力ずくで折っていた。
それに続いて俺も動いた。体内に入った右手に魔力を集め、体内で火と風を同時に纏う。これまではただ体内で燃えていただけだったのが、今度は燃え盛る炎の嵐へと変わったのだ。肉は焼かれ、骨は切り刻まれ、内蔵は全て切り裂かれ消し炭に変わっていく。
さすがに超回復を持つキメラロードとはいえ、これには堪らなかったのかようで間もなく息耐えることとなった。
「あっちっちち!くそ痛てー!やっぱりこの技で合成魔法はヤバすぎるな…俺の腕が持たない!アリエスは…大丈夫そうだな。」
俺の右腕は真っ赤に爛れており、しばらくは使い物になりそうになかった。アリエスも身体中に火傷や傷は負っているが、ポーションで回復できる範囲である。
「それは…酷いわね。それにしてもこれは何だったの?」
俺たちは持っていたポーションで回復をしながら今回のことを考えていた。
「考えたんだが、おそらくはダンジョンには規定回数をクリアすると今回のような特別なボスと戦えるイベントが用意されてるんじゃないか?『ラムーダダンジョンを極めし者たちよ、最後の試練を乗り越えよ!』って言ってたしな。」
「なるほどね!だからあんなに手強かったのね?」
「あー、あれでまだ3匹分の強さだもんな。最初に1匹倒せなかったら、殺られていたのは俺たちだったかもな。」
「そうね…あれ?いつものように部屋の真ん中に宝箱が出ないわね?」
「代わりに普段は宝箱を取った後に部屋の奥に現れる転移魔法陣が、部屋の真ん中に現れてるぞ。何か特別なイベントなのかな?」
「まあ、入ってみるしかないんだけどな…」
俺たちが転移魔法陣の上に立つと、目の前の光景が反転した。
「ここは…一体何処なんだ?」
そこは全てのものが七色に輝く不思議な場所だった。木も、花も、そこにいる動物たちまで全てが虹色で彩られていた。
「何だか落ち着かない場所ね?」
「ここは…そうだ!ここは昔ゼウスローゼン様がお作りになられた亜空間だ!」
「トリス、ここを知ってるのか?」
「数千年前、ゼウスローゼン様が思い付いたように作り出した世界のうちの1つだ。何の為に作られたのかは知らなかったが、どうやらダンジョンをクリアした者にクリア報酬を与える為だけの世界のようだな!」
「ということはここにはトリスの主であるゼウスローゼンからの何らかの報酬があるということか!」
「おそらくはそうだろう。」
近くを探してみるとすぐにそれは見つかった。3メートルほどの石板に文字が記されており、それにはこう書かれていた。
私はこの世界を作りし神である。私はこの世界へ住まう者たちにより豊かに生活を送って欲しいと思い、7つのダンジョンを作った。ここへ辿り着いたということはそのうちの1つラムーダダンジョンを制したということだ。
私からの祝いとして、この力を授けよう。この力を役立て、さらに豊かな人生を送れることを祈っている。
尚、全てのダンジョンを制した者には更に便利な力を約束しよう!
それを読み終えると石板から七色の光が現れ、俺たちの体に吸収されていった。
「何だかあったかいな!」
「うん。何かのスキルをこれで得られたの?」
「我にも力が吸収されたぞ!我も共にダンジョンをクリアしたことになっていたということか?懐かしい主の力を感じるぞ!これは、鑑定の能力がこれまでより解放さるているようだ。」
「おー!トリス良かったな!俺たちにもどうやらスキルを与えられたようだ。トリスは見れるのか?」
「いや、これまでの名前と種族に加えてステータスも見れるようになったようだが、スキルまでは見れないな。」
「なるほど。俺たちの得たスキルは『俊敏2倍』だ!これはマジでありがたい能力だ!!それに副賞でかなりのGPが加算されてるようだ!お陰で200万GPを越えたぞ!!どうやら副賞だけでも10万GPも貰えたみたいだ!」
名前:オリオン
種族:人間
スキル:共通語理解、俊敏2倍
GP:2068706
称 号:異世界転生者、ファーレ神の加護を受けし者、ベトログ神の呪いを受けし者、魔力切れジャンキー、ラムーダダンジョンを制した者
体力:200
力:200
俊敏:200(×2)
魔力:200
精神力:200
「ほんとだ!これで私も200万GP貯まったわ!って1年の差があった筈なのに何で同時にポイントが貯まるのよ?」
「えっ?元々貯めてたポイントの差と、戦闘以外のポイント稼ぎの差だろうな。俺は今でも基本寝る前には必ず魔力切れで寝るようにしてるからな。」
「うわっ!変態。」
「変態って…魔力切れを起こしてると結構GP稼げるんだから仕方ないだろ?」
「それでも普通は嫌よ!」
「そんなもんかな?よし、早速完全解呪を取ってみるよ!これで解呪できれば拍子抜けだが、ラッキー。おそらくは無理だろう。アリエスは念の為まだ何もスキルは取得しないでくれ!」
俺は200万GPを利用して念願だった完全解呪のスキルを取得した!早速自分に完全解呪を使用しようとするとこうアナウンスが流れた。
《完全解呪は自分自身は対象外です。》
ああ、なるほど…転生者同士名乗れない状況で転生者同士が出会わなければまず解呪できない仕様だったのか。アリエスが俺の存在に気づいてくれてなかったら俺もこれで絶望していたかもしれないな。
「やはりこれだけでは解呪できなかった。完全解呪の対象は他人のみらしい。自分には使用不可だ。」
「なっ!本当にあの神様たちは嫌らしいわね!!でもそれは私たちには大した問題ではならないわね!?」
「そうだな!でもおそらくは俺がこのままアリエスを解呪しようとしても、解呪できないんだろうな。とりあえずやってみる。」
《待機状態の呪いは対象外です。発動準備に入ってから使用して下さい。》
これは…呪いが発動する直前でないと解呪できないということか…だがこれがどんな罠になるんだ?あっ!年上の転生者がいかに200万GP貯めても、それを使用できるのは年下の呪いが発動する直前なのか…
「なるほど、そういうことか!!待機状態の呪いは対象外らしい。発動準備に入ってから初めて使用することが可能らしい。つまり俺たちのような存在同士が出会い、その年上が20歳になる前に、年下が200万GPを貯めていなければ助け合うことは不可能だということだな。
目標の錯覚による、行動の抑止だな!」
「何それ?」
「俺が今考えた言葉だからな。つまり、10歳の頃GPで交換できるスキルの一覧を見た奴が何を考えると思う?20歳までに200万GP貯めれば助かると考えるだろ?そうするとそれを目標に行動を自然と決めてしまう。途中で余裕ができてくると安全にゆっくりでもいいかと考えてしまうだろ?
でも実際は他人にしか使用できず、呪いが発動する直前しか解呪が叶わない。少なくとも2人が出会い、その年上の呪いが発動する前には年下が200万GPを貯めていなければ2人とも死ぬことになる。実際は10年ではなく、もっと短い期間にGPを貯めていかなければ助かる見込みはなかったということだな。
俺たちの場合は1歳差だから19歳になるまでにってのが条件となる。この1年の差が長い期間で、さらに普通だとかなり大変な差となってのし掛かってくるんだ。あの神様たちは分かりやすく20歳までに200万GPを目標にさせることによって、俺たちの目標に対して実行する為の力を抑止してるんだ。」
「あー、やっとオリオンの言ってる意味が理解できた!何て意地の悪い設定!それに気づけるのが200万GPを貯め終えた後にしか気づけないってのも糞だわ!」
「そうだな…だがこれはこの3年俺が予想していたよりはずっと優しい設定だ。」
「はっ?これで優しい設定!?あんたどれだけ酷いパターンを想像してたのよ?」
「俺の予想ではさらにもう1つはスキルを取得しなければ解呪は叶わないと考えていた。そしてそれを確認する方法を俺たちは持ってるんだ!!」
「えっ?確認する方法?」
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