性なる勇者シュヴァンツと七人の花嫁

ひらきみ

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六十八発目 性なる勇者シュヴァンツの冒険

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「これはこの世で最も気高く美しい剣だ。忘れるはずもない。この聖剣を抜き魔王を倒し再び台座に戻したのはこの私自身なのだから」

 元勇者であるヘルトは聖剣の柄を握り締めその両刃の美しい刀身を眺めながら言う。その顔に刻まれた深い皺と傷が歴戦ぶりを物語る。引退した今では山奥の小屋で悠々自適の暮らしをしている。

 ここまで来たのは他でもない。孤児院育ちの悪童を勇者に育て上げてもらう。彼にしか出来ない錬金術だ。悪童が彼の前に立ち挨拶しようとした瞬間、ヘルトはすかさず持っていた木の杖で勢い良くその頭を殴りつけた。

「痛ってえ!何すんだよ!」

 シュヴァンツは殴られた頭を抑えながら叫ぶ。

「なぜよけなかった?」

「いきなり殴りつけてくるとは思わないだろ!」

「戦場で敵がこれから攻撃するから気をつけろなどと言ってくれるか?」

 ヘルトはシュヴァンツの顔をのぞき込みながら言った。実に手荒い歓迎だがこれでこの悪童も立派な勇者に・・・

 などなっていなかった・・・

「あなたが勇者様?すごいわあ。あんっ」
 
 宿屋のベッドの上で娼婦は裸体でシュヴァンツに身体の中央を貫かれながら言う。十代くらいのまだ若い娘だ。

「そうだぞ。すごいだろう」  
 
 全裸で腰を振りながらシュヴァンツは答える。ヘルトのもとで一年ほど修行し戦闘力は身についたもののこいつと来たらことあるごとに娼婦を宿に連れ込んではお楽しみである。勇者様とやらは目の前で仰向けに寝た娼婦の裸体にのしかかり飽きることなく自らの腰を振っている。

 この勇者様は冒険で収穫した戦利品、貴重な魔物の皮などを手に入れては道具屋に売りさばいて金を手に入れては女を買っている。妖精の特性上、私は気配を消す事が出来る。目の前で勇者と娼婦はお構いなしに舌を絡めお互いの性器を舐め合い合体している。しかしシュヴァンツは確かに日々、戦闘力は上がっているように思える。性がこいつの原動力というわけか。

「娘二人に手を出しおって!寝床を提供してやった礼がこれか!おい!戻ってこい!ドタマかち割ってくれる!!」

 ここは農場。青空の下、髭面の農夫の男が斧を手にシュヴァンツを追いかける。仕方なく私も飛空し逃げるシュヴァンツの後を追う。

「シュヴァンツ!待って!」

「ぼくたちをお嫁さんに貰ってくれるって言ったじゃないか!?」

 父親である農夫の父親の背後から美しい双子の娘アインスとエレンが共に駆けながら叫ぶ。
 
「必ず迎えに来る!ふたりとも待ってろ!」

 逃げながらシュヴァンツは双子の方を振り返りつつ叫ぶ。調子の良い男だ。

「てめえみたいなろくでなしにうちの娘らをくれてやるか!代わりにこいつをくれてやる!」

 父親である農夫は斧をシュヴァンツに向かって思いきり投げつける。

「おおっ!」

 シュヴァンツは常人離れした反応速度で飛んできた斧をかわしてみせる。元勇者ヘルトの修行の賜物だ。

「あっぶねえ・・」

 シュヴァンツは独りごち、私は溜息をつく。これがもう何度目だろうか。魔物との戦いで深手を負ったシュヴァンツはこの牧場でお世話になることになった。赤毛の美しい双子の娘アインスとエレンは甲斐甲斐しく勇者に手当てを施した。そうしてるうちに三者は一線をたやすく超えた。私はこれまでの日々を思い出す・・

「シュヴァンツ、ぼくにもキスして・・・」

 甘ったるい声でエレンは言う。シュヴァンツはアインスと舌を絡ませている。勇者様とやらはベッドの上で美しい双子の姉妹と裸でもつれ合っている。

「そう焦るなよ」

 そう言ってシュヴァンツはエレンの方を向いて唇を重ねる。私は相変わらず気配を消し空気と一体化してる。シュヴァンツはせわしなく交互に姉妹に口づけしそのたわわに実りつつある乳房の中心にある桃色の乳首を吸い早くも毛が生えている互いの股に左右の手を伸ばし弄る。片方の右腕には姉妹が巻いてくれた包帯が巻かれている。

「可愛い顔をしてこんなにも濡らしてるじゃないか、アインス」

 そう言ってシュヴァンツは女の蜜で濡れた指先をアインスの目の前に差し出す。

「えへっ」

 と言いアインスはその指先をぺろりと舐めてみせる。その顔はもはや純真な農家の娘から情欲に満ちた女の顔へと変貌している。

「あっあっ!すごい!シュヴァンツ!」

 ベッドの上でアインスは後ろからシュヴァンツに突かれながら叫ぶ。その傍らではエレンがシュヴァンツと抱き合いながら舌を絡み合わせてる・・・

 その結果がこのザマである。嫁入りの娘に手を出された農夫は凄まじい血相で勇者とやらを追いかけ当の本人は一目散に逃げ私はその後を追う。その光景を木製の柵の内側から放牧されている牛たちが口元をモゴモゴさせながら何事かと眺めていた。

「なんだあこりゃあ」

 洞窟の奥でシュヴァンツは目を丸くする。目の前で展開されている光景を見ればおそらく誰でも同様の反応をするのではないだろうか。ここはシュヴァンツが希少な魔物が出没するという噂を聞いて訪れた洞窟だ。さしずめその希少な魔物とやらを仕留めて皮でも剝いで道具屋に高価で売りつけその金でまた娼婦と楽しもうという腹だろう。まさにというやつだ。こいつが下半身で考えることなどお見通しである。

 しかし、出現した魔物は想像を遥かに上回るものだった。赤黒い触手が洞窟内に蜘蛛の巣のように張り巡らされひとりの若い娘が全裸の姿で四肢を触手で絡め取られ宙吊りにされている。その長い金髪、引き締まった筋肉質な肉体、小麦色の肌。そう、シュヴェーアトである。

 

 
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