性なる勇者シュヴァンツと七人の花嫁

ひらきみ

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五十発目 妖気大放出

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 それは幼虫が孵化していくのを高速で見せられているようだった。ベッドに膝立ち状態のリリスの背が天井に向かってどんどん伸びている。平らな胸が盛り上がり双つの山が出来、長い黒髪をかき分けて薄い桃色の乳首が顔を出す。それは褐色の肌の中でひときわ卑猥な色合いに思える。

 その腰は花瓶のごとくくびれていく。ふと下腹部に目を凝らすと黒々とした陰毛が煮卵のようなつるつるの褐色の股を覆っていき黒い森を作る。その二本の大髄は空気を入れられたようにはち切れんばかりに盛り上がっていく。目の前にいたあどけない少女の姿はもはや見る影も無かった。長い黒髪に豊かな乳房にくびれた腰、その表情からはあどけなさは消え余裕の笑みを浮かべた大人の女の顔になっていた。

「ふぅ。お前の精を吸ったおかげで本調子じゃ。礼を言うぞ。シュヴァンツ」

 リリスの声は最初の甲高い声からぐっと低くなり艷やかな大人の女の声になっていた。

「一体、お前はいくつなんだ・・・?」

「わらわか?かれこれ百五十年ほどは生きているのう」

 ひゃくごじゅうねん。頭の中で反芻してみるがうまく理解が追いつかない。俺の親が生まれる前から生きているわけか。変形する前のあどけない少女の姿からは想像もつかない。変形した今の姿を見てもその肌は滑らかで瑞々しく艶があり我が男根をそそり立たせている。

「気分が高まってきたぞ!はあああ!!」

 リリスは興奮気味にその褐色の裸身を反り返らせてみせる。その瞬間、褐色の肌を桃色の光が包み込む。本能的にやばいものを感じて咄嗟に両手で口元を塞ぎ呼吸を止める。こいつは少女の姿でも妖気を放てるが精を吸って本調子になった今、その力はおそらくさらに増強しているだろう。

「妖気を防ぐ手立てとしまして緊急の場合は呼吸をお止めください。そうすれば息が続く限りは妖気を防げます」

 リッターは地下牢に向かう途中でこう告げていたのを思い出す。妖気は口や鼻から侵入するらしい。しかし、これも呼吸が続く間だけのささやかな抵抗に過ぎない。どったん!どったん!と階段を駆け上る音が震度ともに聞こえてくる。我が寝室は二階にある。そこを獰猛な音を立てながら何者かが一気に駆け上っている。  
 
「旦那さまぁ」

 我が寝室に空間を超えて侵入者が現れる。マギーが転送魔法を使ってやってきたのだ。マギーは喉が渇いて仕方ない野良犬のように口をだらしなく開き舌を出して息をこれ以上無いくらい激しく弾ませている。その目は大きく見開かれ紫色の瞳は瞳孔が開ききっている。間違いなくリリスの妖気に当てられた影響によるものだ。

「旦那さまぁ。まぐわいましょおう。まぐわってまぐわってそれからまたまぐわうの」

 マギーはもはや呂律が回っていない。するとドアの向こう側からガチャガチャと乱暴に開けようとする音が聞こえてくる。確か施錠はしているはずだ。ドォン!ドォン!とドアに体当りする音が響く。ドアがギシギシと悲鳴を上げる。もう少し勢いがあればこじ開けられそうな勢いである。体当りする音がピタリと止む。諦めたのだろうか?両手で口元を押さえながら様子を伺う。

 息はもうこれ以上続きそうにない。氷の盾でドラゴンの炎を防ぐが如く空しい抵抗か。バキン!と鈍い音がドアから響く。お次は何だ?さらにドアに衝撃が加わり轟音が室内に響き渡る。三度目の衝撃。ドアの木の部分を突き破って鈍い鉛色が顔を出す。鉛色の物体は引っ込んだかと思うとさらにまたドアの木の破片を散らしながら顔をのぞかせる。

 あれは間違いない。薪割り用の斧である。またも木の破片が飛び散りドアにやや大きめの裂け目が生まれる。そこから顔が覗く。何度もベッドの上で愛し合った仲の顔を忘れるはずがない。シュヴェーアトである。その目はマギー同様に大きく見開かれ獲物を狙う獣の目をしている。眼球は血走り瑞々しく潤っている。シュヴェーアトは自ら斧で作った裂け目から顔をのぞかせながら笑みを浮かべて言う。
 
「はぁ~い~シュヴァンツぅぅ・・・」
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