46 / 81
四十七発目 地下牢の魔物
しおりを挟む
「ご足労いただきまことに感謝します。勇者シュヴァンツ様」
俺の目の前には若い騎士の男が立っている。その鮮やかな金髪に白い制服がよく似合っている。腰元には鞘に収まった剣が見える。
「私は王立騎士団のリッターと申します。どうも初めまして」
そう言ってリッターは握手を求めてくる。その手は品の良い白手袋がはめられている。リッターは非礼と思ったのか白手袋を外す。その手を握り握手に応じる。こちとら孤児院育ちで柄が悪いものでこういった儀礼的なのはこそばゆいものを感じてしまう。ここは王立騎士団の支部。俺たちの向こうでは騎士の卵たちが青空の下、芝生の上で訓練に励んでいる。
「例の者ですが地下牢に幽閉しております。是非とも勇者様のお力添えをお願いしたい」
地下牢へ続く階段を降りるリッターの後ろをついて歩く。階段を降りると通路が奥まで続いており左右の燭台が石造りの殺風景な道を照らしている。通路をある程度進むとリッターはいったん立ち止まり言う。
「シュヴァンツ様、申し訳ございませんがここから聖剣を抜いてかざしながら先頭を歩いてもらえますでしょうか。奴の妖気を聖剣の力で防ぎながら進まねば」
「ああ、わかった」
俺は聖剣を抜いて前にかざしながら先頭を歩く。その後ろをリッターとその配下が数名並んで歩く。この向こうにいると聞くのは魔族。どんな化物が待ち構えているのか。唾をごくりと飲みながら進む。その後ろをリッターと配下たちが付いてくる。みんな、無言である。
壁に燭台の灯りに照らされた歩く俺たちの影法師ゆらゆらと映っている。我々が歩みを進めるたびに影法師も共に動く。前にかざした聖剣の刃には燭台の灯に照らされた俺の顔が反射されている。その顔には緊張の色が見える。さらに角度を変えると俺の後ろにいるリッターの顔も反射して見える。その顔は出会った時の爽やかな愛想の良さとは打って変わり強張っている。
「この向こうです。シュヴァンツ様」
「ああ」
微かに男の呻き声が聞こえる。この先で拷問でも行われているのだろうか。鼻をつくこの生臭い匂い。これは一体、何だろうか。よく嗅いだことのある匂いにも思える。
「ん、んおぅ・・・」
通路の行き止まりに行き当たる。その右側に牢屋がある。男の声が鉄格子の向こうから聞こえてくる。
「シュヴァンツ様、警戒を怠らないでください」
背後からリッターが小声で警戒を促す。俺は聖剣をかざしながら牢屋の中に目を凝らす。男の声は鉄格子の向こうから聞こえてくる。暗くて見えない。何が起こってる?誰か食われでもしてるのか。
聖剣を右手で構えながら左手で火炎魔法により小さな火球を作る。こんな小さなものでもこの狭い地下牢を照らすには十分だろう。牢の中が季節が変わったようにぱあっと明るくなる。
急に明るくなり目がびっくり気味だが次第に慣れてくる。中にはひとりの男がいる。格好からしてここの兵のようだがその頭には兜、その胴には甲冑を着込んでいる。だが、下半身はというとおおよそ兵としては似つかわしくない格好だ。何せズボンを下ろして剥き出しなのだから。
兵の男はその剥き出しの尻をわなわなと震わせながらおおおおぉと声を漏らしている。拷問でもされているのかと思ったが違う。その兵の股間にひとりのあどけない少女に見える姿があった。その少女のような存在はうっとりしながら兵の男の肉棒をしっかりくわえ込んで口淫を続けている。
「んがぁ・・・」
兵の男は股間をさっきから攻められて続けているようでもはや決壊寸前といったところである。牢全体に濃厚な雄の匂いが充満している。さっきここに向かう途中に嗅いだ匂いはこれだったのか。
「こいつ、また看守の兵をたらし込んで連れ込みおって・・・!」
リッターが忌々しげに嘆く。
「騒がしいのう。こんな大所帯で来おって。何の用じゃ」
少女のような姿のものは兵の男のモノから口を離しだるそうに悪態をつく。そのあどけない姿を見て思わず呟く。
「こいつが魔族・・・?」
俺の目の前には若い騎士の男が立っている。その鮮やかな金髪に白い制服がよく似合っている。腰元には鞘に収まった剣が見える。
「私は王立騎士団のリッターと申します。どうも初めまして」
そう言ってリッターは握手を求めてくる。その手は品の良い白手袋がはめられている。リッターは非礼と思ったのか白手袋を外す。その手を握り握手に応じる。こちとら孤児院育ちで柄が悪いものでこういった儀礼的なのはこそばゆいものを感じてしまう。ここは王立騎士団の支部。俺たちの向こうでは騎士の卵たちが青空の下、芝生の上で訓練に励んでいる。
「例の者ですが地下牢に幽閉しております。是非とも勇者様のお力添えをお願いしたい」
地下牢へ続く階段を降りるリッターの後ろをついて歩く。階段を降りると通路が奥まで続いており左右の燭台が石造りの殺風景な道を照らしている。通路をある程度進むとリッターはいったん立ち止まり言う。
「シュヴァンツ様、申し訳ございませんがここから聖剣を抜いてかざしながら先頭を歩いてもらえますでしょうか。奴の妖気を聖剣の力で防ぎながら進まねば」
「ああ、わかった」
俺は聖剣を抜いて前にかざしながら先頭を歩く。その後ろをリッターとその配下が数名並んで歩く。この向こうにいると聞くのは魔族。どんな化物が待ち構えているのか。唾をごくりと飲みながら進む。その後ろをリッターと配下たちが付いてくる。みんな、無言である。
壁に燭台の灯りに照らされた歩く俺たちの影法師ゆらゆらと映っている。我々が歩みを進めるたびに影法師も共に動く。前にかざした聖剣の刃には燭台の灯に照らされた俺の顔が反射されている。その顔には緊張の色が見える。さらに角度を変えると俺の後ろにいるリッターの顔も反射して見える。その顔は出会った時の爽やかな愛想の良さとは打って変わり強張っている。
「この向こうです。シュヴァンツ様」
「ああ」
微かに男の呻き声が聞こえる。この先で拷問でも行われているのだろうか。鼻をつくこの生臭い匂い。これは一体、何だろうか。よく嗅いだことのある匂いにも思える。
「ん、んおぅ・・・」
通路の行き止まりに行き当たる。その右側に牢屋がある。男の声が鉄格子の向こうから聞こえてくる。
「シュヴァンツ様、警戒を怠らないでください」
背後からリッターが小声で警戒を促す。俺は聖剣をかざしながら牢屋の中に目を凝らす。男の声は鉄格子の向こうから聞こえてくる。暗くて見えない。何が起こってる?誰か食われでもしてるのか。
聖剣を右手で構えながら左手で火炎魔法により小さな火球を作る。こんな小さなものでもこの狭い地下牢を照らすには十分だろう。牢の中が季節が変わったようにぱあっと明るくなる。
急に明るくなり目がびっくり気味だが次第に慣れてくる。中にはひとりの男がいる。格好からしてここの兵のようだがその頭には兜、その胴には甲冑を着込んでいる。だが、下半身はというとおおよそ兵としては似つかわしくない格好だ。何せズボンを下ろして剥き出しなのだから。
兵の男はその剥き出しの尻をわなわなと震わせながらおおおおぉと声を漏らしている。拷問でもされているのかと思ったが違う。その兵の股間にひとりのあどけない少女に見える姿があった。その少女のような存在はうっとりしながら兵の男の肉棒をしっかりくわえ込んで口淫を続けている。
「んがぁ・・・」
兵の男は股間をさっきから攻められて続けているようでもはや決壊寸前といったところである。牢全体に濃厚な雄の匂いが充満している。さっきここに向かう途中に嗅いだ匂いはこれだったのか。
「こいつ、また看守の兵をたらし込んで連れ込みおって・・・!」
リッターが忌々しげに嘆く。
「騒がしいのう。こんな大所帯で来おって。何の用じゃ」
少女のような姿のものは兵の男のモノから口を離しだるそうに悪態をつく。そのあどけない姿を見て思わず呟く。
「こいつが魔族・・・?」
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる