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三十七発目 嬲り

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「本当にどちらともあなたなの?」

 ここはミルヒの寝室。もうすっかり日は落ちておりランプの室内をだいだい色に照らしている。ミルヒは薄い寝巻を着ており身体の線がくっきりと表れている。その巨大な胸元は乳首が浮き出ているのが寝巻越しにわかる。そのミルヒの左右にはふたりの俺がいる。これも分身魔法をマギーから教わり会得したおかげだ。ふたりの俺に挟まれミルヒは信じられないといった表情でその大きな目をさらに大きく見開き丸くしている。

「どちらとも俺さ」
「これもマギーから教わった分身魔法の賜物さ」

 左右の俺が交互に喋る。分身魔法で生み出された我が分身は背丈、格好も全く同じでどちらも自らの意思で動かせるし視覚、触覚などの感覚は共有されている。戦闘中の場合は受けたダメージがそれぞれに反映されてしまうのが難だがこれが性行為となるとどうだろう。つまり快楽を相乗効果によりさらに楽しめるというわけだ。

「信じられないわ、あなた」

 ミルヒは両手で左右のふたりの俺の胸元を撫でながら言う。未だ目の前の現象が幻影でないことが信じられないらしい。両手で左右の俺の身体を心もとなくさすり続けている。それは気になった箇所にひたすら鼻をこすりつけ匂いを執拗に嗅ごうとする犬を思わせる。

「まあ、そろそろお楽しみというこう」
「ああ。俺たちふたりがかりでたっぷりミルヒを楽しませてやる」

 もうひとりの俺がミルヒの背後に回り両手でその肩を抱く。ミルヒは首を回し不安げに背後に回った俺を見つめる。その肩に置かれた手には微かに震える感触が伝わってくる。感覚は共有されておりふたりの俺はその感触を同時に味わっている。

 人妻で娘を産んだこともある女がこれから処女を奪われる生娘のように震えている。これはこれでたまらないものがある。

 ミルヒは俺より年上だがそんな女が腕の中でこれから弄ばれる運命を悟って微かに震えている。その状況に思わず股間が疼く。

 その大きく見開かれた目はランプの灯に照らされ輝き潤いを増していく。その下にある肉感的な唇は微かに開き中にある白い前歯をのぞかせている。背後からその唇を奪う。んっという微かな声が重ねた唇越しに伝わってくる。

 前にいる俺はミルヒの来ている寝巻の前の紐をほどく。ストンと寝巻が足元に落ちそのあまりに豊満過ぎる裸身が顕わになる。

 その美しさは何度見ても息を呑む。ミルヒの裸身はランプの灯に照らされまるで燃えているかのように朱く染まりその豊かな茶色の髪はいくつものうねりを作りながら腰元まで伸びている。その髪が胸元を隠している。

 前側にいる俺は髪を手でどかす。すると暴力的にも思えるほど大きくたわわに実った西瓜のような乳房が顔を出す。この乳を前に正気を保てる男がいるとは信じがたい。魔王に勝利したこの俺ですら完敗である。
 
「相変わらずすごいな・・・」

 後ろ側の俺に唇を奪われ成すすべもないミルヒの無防備な乳房を両手で揉みしだく。乳首を指先で愛撫し吸い付いては口の中でたっぷりと舌で転がし吸う。背後で唇を貪る俺の唇越しにんっんっんっとミルヒの声が高くなっていくのを感じる。その荒い鼻息が顔に当たってややこそばゆい。

「立ちっぱなしでも何だ。ベッドに移動しよう」
「そうだな。たっぷりと可愛がってやろう。俺たちふたりでな」
 
 ミルヒの背後にいる俺が彼女の両脇を抱え上げる。

「きゃっ」

 とミルヒは小さな声を上げるものすかさず前側にいる俺がその両脚を掴んで持ち上げる。見事な連携によってふたりの俺にその裸身を抱えられあげられベッドに移動させられる。ベッドに横たわり無防備な裸身を晒しているミルヒを俺たちふたりは左右から見下ろす。

「さあ、今度はベッドでとことん可愛がってやろう」
「ああ、ふたりがかりでな。死ぬほどイカせてやるからな。ミルヒ」

 ミルヒはベッドの上で罠にかかって身動きの取れない獲物のようにこれから自らの身体を自由好き勝手に貪るふたりの男を見上げるしかなかったのだった。
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