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二十八発目 魔法使いマギー
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その小さな頭に乗ったつばの広い大きな紫色のとんがり帽子、肩の辺りまで伸びた銀髪。そして目を引くのは左右に伸びた尖った耳。俺の視線に気が付いたマギーは言う。
「私は人間の父親、エルフの母親から生まれました」
「いわゆるハーフエルフということか」
「ええ」
「その格好からすると魔法使いみたいだけど」
「お察しの通りですわ」
マギーの右手には頭に紫色の魔石が埋め込まれた木製の魔法杖、そして全身をすっぽり覆うのは魔力を高めるための紫色のローブである。
「それで何の用かな」
「はい。唐突な訪問、失礼しました。私、例の看板を見て参ったのです」
ああ、花嫁募集の看板か。存在を久しく忘れていたがまだ立てていたな。そういや。
「ああ、あれか。うちに嫁ぎたいと?」
「ええ、喜んで」
どうしたものかと俺は頭をかく。そうしてる間にふと鼻腔に甘い香りが漂ってくる。何だ・・・これは?
「私めではシュヴァンツ様のお目にはかからないでしょうか?」
動くマギーの唇に目が釘付けになる。動悸が激しくなる。視線がだんだんとその唇に吸い寄せられていく。その桃色の薄い唇が開くたびにその向こうにある白い歯、赤い舌が覗く。喉がさほど乾いてるはずないのに唾を飲み込む。それに今日はこんなに熱かっただろうか?何だか身体が熱い。マギーの陶器のような白い肌に目が吸い込まれる。その肌の下を通る青い血管の筋、肌の表面にうっすらと生える産毛。どうしたんだ?マギーの周りの空気がまるで熱せられたように歪んで見える。その小さく尖った鼻、そのふたつの穴に舌をねじ込みたい。いやいや、どうしたんだ。俺は一体、何を考えてるんだ?
「あの、シュヴァンツ様。どうされました?具合でも悪いのでしょうか?」
マギーが心配そうに俺を覗き込む。この女はあまり背は高くない。ローブ越しでも華奢な身体つきなのがわかる。その白い細い首の筋、その下にある曲線を描く鎖骨。
「どうしたのシュヴァンツ?様子がおかしいわよ」
ちょうど俺の右の肩の上ら辺で浮遊するエルフィが気遣う。
「大丈夫だよ。ちょっと熱でもあるのかな」
「大丈夫ですか?シュヴァンツ様」
そう言ってマギーは俺の額に自らの額を当てる。
「いっ・・・!!!!」
マギーの額はひんやりとした感触が直に伝わってくる。マギーの顔がいきなり近づいた事により俺の心臓は破裂寸前になる。どうしたんだ俺、童貞のガキじゃあないんだぞ。すぐ目の前にはマギーの大きな目が見える。その中の紫色の瞳に吸い寄せられそうになる。
「お加減がよろしくないのですか?」
そう言ってマギーはその白く華奢な右手を俺の頬を当てる。
「・・・・・・!!!!」
反射的にマギーのその手首を掴む。それは細く力を加えれば折れてしまいそうに思える。
「シュヴァンツ様・・・?」
マギーは目を丸くする。俺は思わずマギーの顔を両手で挟み込む。
「ちょっと!アンタ!いくら色狂いとはいえ初対面の女に向かって何やってんのよ」
エルフィが叫ぶ。それは確かにそうだ。しかし理性が仕事をしない。欲望と衝動が身体中を埋め尽くす。股間がこれ以上ないほど膨張して苦しい。ここから早く出せ!と叫んでいる。マギーの紫色の瞳、薄い桃色の三日月状の唇が急激な引力で俺を引きつける。花の蜜に吸い寄せられる蜜蜂というのはこういう気分なのだろうか。
「シュヴァンツー!!」
後ろから声がする。誰だろうか。振り向くとシュヴェーアトがこちらに向かって駆けてきている。
「シュヴァンツー!!その女は駄目だー!!」
シュヴェーアトはこちらに向かって叫ぶ。
「シュヴァンツ様・・・」
マギーが呼びかける。声の方に顔を向けると心なしかその口元は微笑みを浮かべているように見えた。俺は何も考えられなくなりその唇に口づけする。
「私は人間の父親、エルフの母親から生まれました」
「いわゆるハーフエルフということか」
「ええ」
「その格好からすると魔法使いみたいだけど」
「お察しの通りですわ」
マギーの右手には頭に紫色の魔石が埋め込まれた木製の魔法杖、そして全身をすっぽり覆うのは魔力を高めるための紫色のローブである。
「それで何の用かな」
「はい。唐突な訪問、失礼しました。私、例の看板を見て参ったのです」
ああ、花嫁募集の看板か。存在を久しく忘れていたがまだ立てていたな。そういや。
「ああ、あれか。うちに嫁ぎたいと?」
「ええ、喜んで」
どうしたものかと俺は頭をかく。そうしてる間にふと鼻腔に甘い香りが漂ってくる。何だ・・・これは?
「私めではシュヴァンツ様のお目にはかからないでしょうか?」
動くマギーの唇に目が釘付けになる。動悸が激しくなる。視線がだんだんとその唇に吸い寄せられていく。その桃色の薄い唇が開くたびにその向こうにある白い歯、赤い舌が覗く。喉がさほど乾いてるはずないのに唾を飲み込む。それに今日はこんなに熱かっただろうか?何だか身体が熱い。マギーの陶器のような白い肌に目が吸い込まれる。その肌の下を通る青い血管の筋、肌の表面にうっすらと生える産毛。どうしたんだ?マギーの周りの空気がまるで熱せられたように歪んで見える。その小さく尖った鼻、そのふたつの穴に舌をねじ込みたい。いやいや、どうしたんだ。俺は一体、何を考えてるんだ?
「あの、シュヴァンツ様。どうされました?具合でも悪いのでしょうか?」
マギーが心配そうに俺を覗き込む。この女はあまり背は高くない。ローブ越しでも華奢な身体つきなのがわかる。その白い細い首の筋、その下にある曲線を描く鎖骨。
「どうしたのシュヴァンツ?様子がおかしいわよ」
ちょうど俺の右の肩の上ら辺で浮遊するエルフィが気遣う。
「大丈夫だよ。ちょっと熱でもあるのかな」
「大丈夫ですか?シュヴァンツ様」
そう言ってマギーは俺の額に自らの額を当てる。
「いっ・・・!!!!」
マギーの額はひんやりとした感触が直に伝わってくる。マギーの顔がいきなり近づいた事により俺の心臓は破裂寸前になる。どうしたんだ俺、童貞のガキじゃあないんだぞ。すぐ目の前にはマギーの大きな目が見える。その中の紫色の瞳に吸い寄せられそうになる。
「お加減がよろしくないのですか?」
そう言ってマギーはその白く華奢な右手を俺の頬を当てる。
「・・・・・・!!!!」
反射的にマギーのその手首を掴む。それは細く力を加えれば折れてしまいそうに思える。
「シュヴァンツ様・・・?」
マギーは目を丸くする。俺は思わずマギーの顔を両手で挟み込む。
「ちょっと!アンタ!いくら色狂いとはいえ初対面の女に向かって何やってんのよ」
エルフィが叫ぶ。それは確かにそうだ。しかし理性が仕事をしない。欲望と衝動が身体中を埋め尽くす。股間がこれ以上ないほど膨張して苦しい。ここから早く出せ!と叫んでいる。マギーの紫色の瞳、薄い桃色の三日月状の唇が急激な引力で俺を引きつける。花の蜜に吸い寄せられる蜜蜂というのはこういう気分なのだろうか。
「シュヴァンツー!!」
後ろから声がする。誰だろうか。振り向くとシュヴェーアトがこちらに向かって駆けてきている。
「シュヴァンツー!!その女は駄目だー!!」
シュヴェーアトはこちらに向かって叫ぶ。
「シュヴァンツ様・・・」
マギーが呼びかける。声の方に顔を向けると心なしかその口元は微笑みを浮かべているように見えた。俺は何も考えられなくなりその唇に口づけする。
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