性なる勇者シュヴァンツと七人の花嫁

ひらきみ

文字の大きさ
上 下
27 / 82

二十七発目 銀髪の来客

しおりを挟む
「アリサさんは一体どうしちゃったのかしら」

 ミルヒは心配そうに俺にたずねる。
 
「ああ、具合が悪いみたいで部屋で休んでるよ」  

「そうなの?あとで見舞いに行ってあげないと」

「あとで俺が様子を見ておくよ」

 ここは我が家の台所である。食事はいつもアリサが作ってくれるが今日は休んでいるためミルヒが代わりを務めると言い出しひとりでは大変そうなので俺も手伝っている次第だ。元は荒くれの冒険者に料理など出来っこないという偏見はやめてもらいたい。冒険者にとって食材の確保、そして調理は非常に重要な要素である。

「いつも籠を持ち歩いていたんだ。その中に捕まえた虫を餌として適当に仕込んで川の水に入れておく。その籠は中には入りやすいが外には出にくい構造になってる。しばらく放置して中を見ると魚が捕まってる。その魚の全身に塩をすり込んで焼いて食べる」

「箱入り娘だった私にとっては知らない世界だわ」
 
 手を動かしながらミルヒは言う。

「ゴブリンなんかも食ったよ」

「ゴブリンを?」

「ああ。首をはねて木に吊るして逆さ吊りにして血抜きをする。そして手首と足首を切り落とす。手と爪の部分は固くて食えないからな。それから腹を裂いて臓物を取り出し中を川の水で洗ったら木の棒にくくりつけて下から火で炙っていく」

「味は美味しいの?想像がつかないけど」

「塩をすり込んで焼けば大抵のものは食えるよ。ゴブリンの肉はちと固いけど。子供のやつの肉はまだ柔らかいんだが」

「そうなのね。そろそろ出来るわ。あなた、アリサさんのとこにも持っていってあげて」

 

 アリサは自らの寝室でぐったりと横になっていた。ベットの脇の机の上にひとまず盆に乗ったパンに湯気が立った野菜スープ、それに牛肉のシチューを置く。

「アリサ、大丈夫か・・・?」

「あなた、私を殺す気ですか・・・」

「すまない・・・」  

 あの後、アリサは縄で吊るされ開脚した状態で俺に腟内の奥をひたすら貫かれ続け声が枯れるまで叫び続けたのだった。

「全身が筋肉痛で動けない・・・」

「すまん・・・」

 アリサを介抱しこちら側を向かせる。アリサは生気の無い表情でうなだれている。ほつれ髪が口の端に絡まっているので指先で取り払ってやる。

「全身に縄の跡が残って消えないんですよ・・・」

 アリサは虚ろな目でつぶやく。

「やり過ぎた。本当にすまない・・・」

「さっきから謝ってばかりですね」

「・・・。それより料理が冷める。早く食べよう」  

「私もう動けない」

「そうか・・・」

「食べさせて」

 アリサはこのように時々メイドからひとりの女の子になる。

「わかった」

 野菜スープが入った椀を手に取りスプーンですくってアリサの口元まで持っていく。

「美味しい・・・」

「そうだろう。ミルヒと一緒に作ったんだ」

「シュヴァンツ様が?」

「ああ、俺にだって料理くらい出来る」

 アリサは料理を気に入ってくれたようで全て平らげてくれた。食器を片付けて部屋を出ようとする俺の手をアリサは掴む。

「もう少し、側にいてくれますか・・・」

「ああ、もちろん・・・」

 俺はベッドの端に腰掛ける。相変わらず俺の手はアリサの細い手に握り締められたままだ。肌の温もりが手から伝わってくる。

「今日は、いやらしいことは無しですよ・・・」

「もちろん、そんなんことしないさ」

 アリサはそれを聞くと安堵した表情で目を閉じ俺の手を握りしめたたま眠りにつく。俺はアリサの長いその睫毛をずっと眺め続けた。



 その女は唐突に現れた。俺は日中ちょうど庭園の手入れをしていた。ミルヒが来てからというもの我が庭園はよりどりみどりの花が咲き誇る庭園と化したのは良いもののしっかりと世話をしないすぐに枯れてしまう。

「シュヴァンツあんたにお客さんよ」

 耳元に飛んできたエルフィが告げる。

「客?」

 俺は庭の花々にじょうろで水をやりながら答える。花々に降り注ぐ水を見ながらつい先日、地下の部屋で全身を縄で縛られ女陰の奥からから身体中の水分を派手に放出するアリサの痴態を思い出して股間を膨らませているところだった。そのアリサは今も自室で休んでいるところだ。

 我が家の入り口に立つ華奢な姿。肩のあたりまで伸びた銀髪。その髪をかき分けて左右から尖った耳先がちょこんと出ている。その薄い唇を三日月状に吊り上げ笑みを作って彼女は言う。

「お初にお目にかかれて光栄ですわ。シュヴァンツ様。わたくしはマギーと申します」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...