機械仕掛けの憂鬱。

こんにゃく

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きらめき

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今やロボットと人間は一緒に仕事をするのが普通だ。だが、人間の方ではロボットを敵視してやがる。人間はミスをしても許されるが、ロボットは許されない。ミスをすれば不良品として処分されるのがオチさ。そんな緊迫感のある現場でロボット側に不満がないなんて考えるのは人間の傲慢さの証だと思うよ。ロボットはしきりに働き方改革を求めた。デモをやったりストライキをしたりさ。その結果、ロボットはある程度の権利を獲得した。職業選択の自由も保証された。しかし問題はまだあったんだな。ロボットは結局人間によって作られたものだから、人はロボットを自分たちより下に見る。しかも人の方は勝手にロボットに劣等意識を感じちまってるんもんだから、その分ロボットに強くきつくあたるんだ。自分の方が上だとアピールするためにね。とてもとても格好悪くて見ちゃいられない。まあとにかくロボットは今度は差別との闘いに勝たなくちゃいけなくなったんだ。



つまらない授業が終わった。そしてすぐにつまらない授業が始まる。
なんだか気分が悪いから保健室にでも行こうと思ったが思いつめて教室に残った。校庭ではすでに授業を終えた奴らが部活の準備をしている。サッカーゴールをせっせっと運んだり、トンボでグラウンドの整備をしたりしている。俺は中学まで野球部だった。だが、高校になった時、坊主で過ごさなきゃならないのがたまらなく嫌だったもんだから軽音部に入った。たまに思いっきり体を動かして汗をかいてる奴らを見て羨ましく思う。
そんなことを考えていると俺の肩をトントンと叩く奴がいる。隣の席のカオリだ。
カオリは小声で「教科書忘れたから見してくれない?」と言う。
「いいよ。てか貸すぜ。俺授業聞かねえから。」
「そんなのダメだよ。悪いし。」と言ってそーっと自分の机を俺の机にくっつける。
「ごめんね」とカオリが言う。俺はただただ校庭を見つめていた。意識を横に向けながら。言い訳させてもらうと普段ならこんなことで心臓が高まるほど純情じゃないんだ。



ロボットは自分たちの権利を高めようと色々な行動をした。だが、人間の方が一枚上手だったらしい。人間はロボットに自分たちがロボットだと言うことを自覚させないようにしたんだ。騒いでいるロボットは捕まえて機能を停止させ、新しく導入されたロボットに人間と一緒に普通の社会生活を送らせることでロボットを自身が人間だと思い込むようにしたんだ。そして大人になった時ロボットには人間だと思い込んだままロボットとしての職が与えられる。もちろん自分のことをロボットなのかと気づくやつもいるが。結果、ロボットと人間の混同という形でこの闘いは終わりを迎えた。でもそんな回りくどいことをするならロボットの機能自体を変えちまえって思うだろ?複雑な知能なんか消しちまったり、人間に従順になるように設定したりさ。だが、そうすると逆に被害を被るぐらい人工知能は役立つ技術になっちまったんだ。技術とは時間と同じように不可逆的なものだからな。とにもかくにもそれが今のロボットであり、つまりは俺なんだ。
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