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お留守番

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ここはアップだよ!

バカ! いい加減学べって。ダウンに決まってるだろうが!

アップ! ほら、アップだった!

すれすれじゃねぇか、1でも小さかったら全没収だったんだぞ!

勝ったからいいじゃん♪あれ? 僧侶と魔法使いは?

あっちで21やってるぞ。……って、なんだよあのチップの数。

んー…………全掛け。 スタンド。ディーラーさん? 数字が低いから早く引いて♪はい。バースト♪ごちそうさまー。

……魔法使いさんが強すぎるんですけど。



 マデ姉が冒険者さんを捜索に行ったのでこれから僕一人なのです。
でもでも、しっかりマデ姉の分まで頑張るのです!お昼を過ぎれば冒険者様の数もかなり減って、ある程度はゆとりが出来たのです。

 と思っていたのですがお昼になれば今度は大量のモンスターの補充依頼なのです。
とりあえず依頼の書類を机に移し、引き続きダンジョンの紹介をしていくのです。

「ご希望の条件に合うダンジョンですとCランクのダンジョンしか残って無いのです。ごめんなさいなのです」

 とはいえ希望するダンジョンはD~Bに集中していて、希望のランクには残ってない場合もあるのです。
そんな時は一つ下のランクを紹介するのですが、この対応への反応が様々なのです。
優しくいいよいいよと言ってくださる冒険者様も居れば、あからさまに不機嫌になって、奪うように書類を持っていく冒険者様も居るのです。

 朝から並んでいて気が立っているとは分かるのですが、やられると少し凹むのです。
ギルドの人から、
気にしなくていいよー。この時期はあんな人多いから。
と頭を撫でて頂いて、気を取り直して続けるのです。

 夕方にはダンジョンの紹介目的の冒険者様もすっかりさばけてモンスター補充の仕事に取り掛かるのです。

 流石にダンジョンを利用開始が今日の朝からだし少ないだろう、なんて甘い考えだったのです。
何処もかしこも20~30%に相当するモンスター達を補充の必要があるダンジョンばかりなのです。
……今までこの冒険者達って何してたのです?
いや、平和の祭典で連休でうっぷん溜まってるとかあるのかも知れないのですが、
もっと普段からやれるならやって欲しいのです。
全く、最初からこんなに積極的だったら、何組かはもしかしたらかかさまのダンジョンに挑んでいたかも知れないのです。

 いつものように暗算で必要数と日数を割り出してメモして、全て片付いたらメモから系統が同じモンスターをまとめて、それらに優先度を付けて魔王様に……って、僕送れないのです。
今までマデ姉が最後に送ってくれていたのです。……どうしよう、なのです。

 困り果てて周りを見渡しても頼れる人は……、あ、いい所にミヤジさんが戻ってきたのです。
かなり疲れた顔をしているのですが、この書類を送れないと利用出来なくなるダンジョンが近々出てきてしまうのです。ごめんなさいなのです。

「ミヤジさん。お願いがあるのです」
「ん?どうしたツヅラオ君。……裏でモフらせてくれたら聞いてやろう」
「お願いしますなのです!」

尻尾モフられるのくらいいい加減慣れたのです。僕が即答で返事すればミヤジさんに手を取られ、ギルドの休憩室へ。

 まさか1時間近くモフられ続けるとは夢にも思わなかったのです。

 とりあえずお願いはしておいたので後は何とかなるはずなのです。
1時間も窓口を放置していたので、何組か冒険者が待っているのです。
慌てて窓口に向かい対応するのです!

「ごめんなさいなのです!少し離れてしまっていたのです!」

頭を下げて冒険者様を見れば、どこかで見た事があるような4人パーティなのです? はて? どこで見たのですっけ?

「あ、えーと。……C~Dランク位でなるべく状態異常を使うモンスターが居ない近場のダンジョンって開いてますか?」

僕より少しくらい年が上の男の子がそう尋ねて来たのです。
少しお待ちくださいなのです。と言いダンジョンの資料を漁るのです。
近場のダンジョンは結構埋まっちゃってるのです……んー、どうするのです……。
そういえば、出来たばかりのダンジョンがあったような……。
あった。これなのです。……少し強いかもしれませんがいつもより注意を促しておくのです。

「お待たせしましたのです。紹介できるダンジョンももう少なくなっていてCランクのこのダンジョンしかなかったのです」

 そうして冒険者様に差し出したダンジョンの内容は、
以前ゴブリンが大量転生してマデ姉が新しく作ったダンジョンなのです。
ゴブリンの巣 奥

「スライムクィーンをマスターに、ゴブリンリーダーが多数罠を仕掛けて団体で待っているダンジョンなのです。Cランクの中でも難易度が上の方なのですが、ダンジョン内のモンスターは皆知性があるので、何かあっても大丈夫と思うのです。というかこのダンジョン以外遠方になってしまうのです」

「やっぱり来るのが遅かったか。まぁ残ってるだけマシだ。俺なんか去年は1週間ダンジョンに挑めなかった」

なんて言って、装備的に恐らく戦士の方が、わしわしと僕ぐらいの男の子の頭を撫でるのです。

「じゃあ、ここにするよ? 難易度高いって言われたし、もう少し補給してから行きたいな」
「それもそうね、……もう少しポーション欲しい」
「んなのより食い物だ。近場とはいえ勇者達の歩く速度に合わせたら3日は掛かるぞ」

 ん? 勇者? 今勇者って言ったのです?

「馬鹿にしないでよ。流石に慣れてきたし、2日で着いて見せるわよ」
「俺たちの足なら1日なんだが」
「うるさいわね! いいから買い出しに行くわよ!」

 と賑やかにダンジョン課を後にしようとして、4人の動きが止まったのです。
いや、僕の動きも止まっていたのですが。

 止まった理由は、どこからか、シャン♪と鈴の音が聞こえたからなのです。
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