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臨時労働
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ねぇ、なんでダンジョンに行くのに順番待ちなんてしなくちゃいけないの?
ダンジョンに入れる人数に上限があるんだよ。
何で上限なんてあるのさ。
冒険者同士の取り合いを防ぐ為と、モンスターを倒し過ぎ無いようにするためですよ。
いや、当たり前のように言われてもそこが不思議なんだけど?
ダンジョンてのはみんなのものだぞ。無くなったなんて考えてみろ。どこでレベル上げるんだ?
分かるよ、分かるんだけど……なんか釈然としない!
▽
拝啓、冒険者の皆様方。
初夏の日差しが一層眩しく感じられる今日この頃。
日頃の疲れを癒し、連休後にはまた冒険に励むことと存じます。
さて、今回は皆様方にご報告させていただきたい事がございまして……
ダンジョンが増えました。
えぇ、突然現れるのは知っていましたし、最近出現しないなーなどと考えていたらよりによって連休に出ますか。
上空に出現したぽっかりと開いたワームホール。
ダンジョンの誕生は、まずは上空に穴が出現する。
その状態では不安定で、しばらくするとその穴は消えてしまう。
穴は消えてもダンジョンは出現しているわけで、その穴が消えてしまえばダンジョンがどこに出現したかを探さなければならないわけで、
そんなめんどくさい探索をするぐらいなら、まだ穴に飛び込んだ方がマシである。
と私は考えているため、ワームホールが出現した瞬間にはすでに穴に向けて飛び立つ体勢を取っていた。
「マデラ、どうせなら一緒にいかへん?せっかくのお休みやし、二人で手っ取り早う終わらそうや」
「あ、面白そうですね~。僕もご一緒します~」
おや、姉御はともかく吸血鬼までとは、少し意外です。
まぁ人が多いに越したことはありません。
二人が腕に捕まってきますが、あなた方は自力で行けますよね?
「はよせんと消えるで」
そうですか、自力で行く気は無いんですね。
部屋の窓から羽ばたき一回。
私達3人、初めてのダンジョン攻略。
…………まぁこのメンツだと苦戦しようが無いのですが。
*
マデラが穴に消えるのを見届け、とりあえずツヅラオは、……
妖狐を呼んで、先ほどの吸血鬼達が暴れた事でついた、部屋の傷やへこみなどを直していた。
テキパキと指示を飛ばし、必要な道具を探させ、あっという間に修復していく。
5分もしないうちに部屋は元通りの綺麗な状態へ。
「かか、……神楽様はもとより、他の皆さんも強いとは思ったのですが、マデ姉が一番強いとは思わなかったのです」
満足した、と額の汗を拭いそんな事を呟けば、
「マデ……姉?それは……お姉さまの事ですの?」
酔い + のぼせ + マデラから大事にすると言われた(勘違い)=気絶
の式に従っていたパパラがうわ言のように言う。
「もしかして、私より先にお姉さまを愛称で呼んでいますの?というか普段からお姉さまと一緒に仕事をなされているんでしたよねという事はお姉さまとの関係は私より上だったりあでもお姉さまと普段からいるなら体にお姉さま成分が浸透していますわよねと言うわけで少し大人しくしていだたけますかしら」
無表情で淡々と、そして早口でまくし立てられたその言葉に、
ひぃ!?とツヅラオが後ずさり。
のそ、のそ、とまるで恐怖映像のように腕だけでツヅラオに向かうパパラに、
「落ち着きなさい。そして、お眠りなさい」
リリスは、ゆっくりと近づいて、
これまたゆっくりと抱きしめて、
耳元で囁いて、夢の世界へ導いた。
「驚かせてしまいましたかしら?ごめんあそばせ。この子、ドラさんの事になると抑えが効かないんですの」
未だ小刻みに震えるツヅラオににっこり笑顔を向けて、
「どうせすぐには戻ってこないでしょうし、お茶を入れて貰えませんこと?」
ついでにお茶菓子も。
と、ツヅラオの耳や尻尾をモフりながら、注文するのであった。
*
「一つお願いがあるんですが~……血を飲ませていただけないでしょうか~」
「無理です」
「どう考えても無理やろ」
「そこをなんとか~」
「状況を分かって言っていますよね?」
このメンツなら大丈夫と、信じて突っ込んだSランクのマスター達が、
ダンジョン内に入った瞬間にスキュラの糸に絡まれて、ネクロマンサーのデバフ魔法を掛けられて、
身動き一つ取れなくなってしまうなんて。
「完全に油断しとったな。なんか笑えてくるわ」
「問。何者か」
唐突に響くのはネクロマンサーの声。
ダンジョンはどうやら地中らしい。
近くの土からはおよそ人間の腕や脚といった部分が見えている。
「Sランクのダンジョンマスターです~。一名は違いますが~」
「意味不明。問。目的は何か」
「新しく出現したダンジョンなので調査と、よろしければ契約を結びたいと思いまして」
「契約?」
ちなみにこのネクロマンサー、顔色が悪い以外はかなり美形です。
女性冒険者の利用率が高くなりそうなダンジョンです。
「はい。契約とは…………
*
というわけで、冒険者を殺さず、自分が強くなるための踏み台にし続け、いずれは魔王様にも挑めるようになる、という事でして」
「理解、しかし不可解」
「何の事や?」
「汝ら、強いと思えぬ。現にこの状況すら打破出来ていない」
ほほぉ。言ってくれますね。
確かに魔力は全てスキュラに吸い取られ、デバフかけまくられて、スキュラの糸すら切れない程に弱体化していますが。
この状況から抜け出せないと思っているんですかね。
それって、私が龍族だと知らないからですよ?
姉御は火の精霊従えてますし、耐性はあるでしょう。
……吸血鬼は……燃えても構いませんね。
私は空気を大きく吸い込むと、
ブレスを自分の足元へと吐き出すのだった。
ダンジョンに入れる人数に上限があるんだよ。
何で上限なんてあるのさ。
冒険者同士の取り合いを防ぐ為と、モンスターを倒し過ぎ無いようにするためですよ。
いや、当たり前のように言われてもそこが不思議なんだけど?
ダンジョンてのはみんなのものだぞ。無くなったなんて考えてみろ。どこでレベル上げるんだ?
分かるよ、分かるんだけど……なんか釈然としない!
▽
拝啓、冒険者の皆様方。
初夏の日差しが一層眩しく感じられる今日この頃。
日頃の疲れを癒し、連休後にはまた冒険に励むことと存じます。
さて、今回は皆様方にご報告させていただきたい事がございまして……
ダンジョンが増えました。
えぇ、突然現れるのは知っていましたし、最近出現しないなーなどと考えていたらよりによって連休に出ますか。
上空に出現したぽっかりと開いたワームホール。
ダンジョンの誕生は、まずは上空に穴が出現する。
その状態では不安定で、しばらくするとその穴は消えてしまう。
穴は消えてもダンジョンは出現しているわけで、その穴が消えてしまえばダンジョンがどこに出現したかを探さなければならないわけで、
そんなめんどくさい探索をするぐらいなら、まだ穴に飛び込んだ方がマシである。
と私は考えているため、ワームホールが出現した瞬間にはすでに穴に向けて飛び立つ体勢を取っていた。
「マデラ、どうせなら一緒にいかへん?せっかくのお休みやし、二人で手っ取り早う終わらそうや」
「あ、面白そうですね~。僕もご一緒します~」
おや、姉御はともかく吸血鬼までとは、少し意外です。
まぁ人が多いに越したことはありません。
二人が腕に捕まってきますが、あなた方は自力で行けますよね?
「はよせんと消えるで」
そうですか、自力で行く気は無いんですね。
部屋の窓から羽ばたき一回。
私達3人、初めてのダンジョン攻略。
…………まぁこのメンツだと苦戦しようが無いのですが。
*
マデラが穴に消えるのを見届け、とりあえずツヅラオは、……
妖狐を呼んで、先ほどの吸血鬼達が暴れた事でついた、部屋の傷やへこみなどを直していた。
テキパキと指示を飛ばし、必要な道具を探させ、あっという間に修復していく。
5分もしないうちに部屋は元通りの綺麗な状態へ。
「かか、……神楽様はもとより、他の皆さんも強いとは思ったのですが、マデ姉が一番強いとは思わなかったのです」
満足した、と額の汗を拭いそんな事を呟けば、
「マデ……姉?それは……お姉さまの事ですの?」
酔い + のぼせ + マデラから大事にすると言われた(勘違い)=気絶
の式に従っていたパパラがうわ言のように言う。
「もしかして、私より先にお姉さまを愛称で呼んでいますの?というか普段からお姉さまと一緒に仕事をなされているんでしたよねという事はお姉さまとの関係は私より上だったりあでもお姉さまと普段からいるなら体にお姉さま成分が浸透していますわよねと言うわけで少し大人しくしていだたけますかしら」
無表情で淡々と、そして早口でまくし立てられたその言葉に、
ひぃ!?とツヅラオが後ずさり。
のそ、のそ、とまるで恐怖映像のように腕だけでツヅラオに向かうパパラに、
「落ち着きなさい。そして、お眠りなさい」
リリスは、ゆっくりと近づいて、
これまたゆっくりと抱きしめて、
耳元で囁いて、夢の世界へ導いた。
「驚かせてしまいましたかしら?ごめんあそばせ。この子、ドラさんの事になると抑えが効かないんですの」
未だ小刻みに震えるツヅラオににっこり笑顔を向けて、
「どうせすぐには戻ってこないでしょうし、お茶を入れて貰えませんこと?」
ついでにお茶菓子も。
と、ツヅラオの耳や尻尾をモフりながら、注文するのであった。
*
「一つお願いがあるんですが~……血を飲ませていただけないでしょうか~」
「無理です」
「どう考えても無理やろ」
「そこをなんとか~」
「状況を分かって言っていますよね?」
このメンツなら大丈夫と、信じて突っ込んだSランクのマスター達が、
ダンジョン内に入った瞬間にスキュラの糸に絡まれて、ネクロマンサーのデバフ魔法を掛けられて、
身動き一つ取れなくなってしまうなんて。
「完全に油断しとったな。なんか笑えてくるわ」
「問。何者か」
唐突に響くのはネクロマンサーの声。
ダンジョンはどうやら地中らしい。
近くの土からはおよそ人間の腕や脚といった部分が見えている。
「Sランクのダンジョンマスターです~。一名は違いますが~」
「意味不明。問。目的は何か」
「新しく出現したダンジョンなので調査と、よろしければ契約を結びたいと思いまして」
「契約?」
ちなみにこのネクロマンサー、顔色が悪い以外はかなり美形です。
女性冒険者の利用率が高くなりそうなダンジョンです。
「はい。契約とは…………
*
というわけで、冒険者を殺さず、自分が強くなるための踏み台にし続け、いずれは魔王様にも挑めるようになる、という事でして」
「理解、しかし不可解」
「何の事や?」
「汝ら、強いと思えぬ。現にこの状況すら打破出来ていない」
ほほぉ。言ってくれますね。
確かに魔力は全てスキュラに吸い取られ、デバフかけまくられて、スキュラの糸すら切れない程に弱体化していますが。
この状況から抜け出せないと思っているんですかね。
それって、私が龍族だと知らないからですよ?
姉御は火の精霊従えてますし、耐性はあるでしょう。
……吸血鬼は……燃えても構いませんね。
私は空気を大きく吸い込むと、
ブレスを自分の足元へと吐き出すのだった。
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