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再びの異世界、シャーシード国
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しおりを挟むお昼過ぎ、そろそろ子ども達がお昼寝の支度をしようという頃…
天井付近がビカーッと光り、金色と桃色の丸い光の珠が下りてきた。
それが床に1回バウンドすると、人型を形作る。
それがダンネスとシーシャの姿になったので、僕は礼を執った。
もうお昼寝に入るだけだったので、乳母には昼休憩に出てもらっているため、現在、この部屋には子ども達と僕だけだ。
『きゃ~ん!かわゐぃ!!』
シーシャが子ども達のベッドに向かって走り出した。
シーシャを追うダンネスもまた、孫を初めて見た祖父のような柔らかな表情で、子ども達を見下ろしていた。
子ども達は、2人の存在に泣くこともしない。
どちらかと言うと人見知り気味の王女でさえ泣かないのを見て、やっぱり神様ってすごいなぁと思った。
そのうち、子ども達はスヤスヤと寝息を立て始める。
『寝顔もかわゐぃ、ダンネスさまぁ、ホラ見て。』
『赤子というものは本当に愛いのぅ。』
暫く見ていたダンネスとシーシャだけれど、
『ダンネスさまぁ、そろそろ?』
『うむ。』
2人は、子ども達の前で祈りを始める。
ボソボソ言っているのは、日本語でもシャーシード国の言葉でもない。
言葉が止まると、2人の頭の天辺から光が溢れ、子ども達に降り注いだ。
光が全て子ども達の内に吸われると、ダンネスとシーシャはこちらへ振り返った。
『今、子ども達に加護を与えたよ。』
『王子たちには、強く逞しく健康に、弱者を助け母を助け、国を助けるように。
それらを男神の加護として与えた。』
『王女には、清く正しく美しく、聡明さと、父を御し、母を助ける優しさを、女神の加護として与えたよ。』
「ありがとうございます。」
『他にももろもろ、オプションつけてあるから、お楽しみにね♪』
『いつでも天上から見守っておるからの。わしらは…そうだな……シノダの爺ぃ婆ぁのようなものだからな。
子ども達の成長や季節の折々には、降りてくるぞ。』
『それじゃ、またね。
シーシャが女神になったから、ますます女の子が増えるからね。安心して!』
するとダンネスとシーシャはまた光の珠となり、空へと昇って行った。
見送ると、急に部屋のドアがガタガタと開き、心配した表情のリンが入ってきた。
「良かった、シノダ無事か。」
どうやら、ダンネスとシーシャ、2人の神の滞在中はこのドアが開かなかったらしい。
「もしものことを考えると、気が気じゃなかった。」
僕を抱きしめながらリンが言うけれど……
「子ども達の心配は一言もないんだね…………」
僕の言葉に、一瞬でリンは青くなった。
「この国の神々が、子ども達に加護を与えてくださっただけだから、何も心配ないよ。」
「そうか。それは良かった。」
リンがそのまま部屋のソファに掛けようとするので、
「僕も仮眠したいから、出てって!」
とリンを追い出す。
「シノダさん? 反省するから。ごめん!!」
慌てるリンが面白かった。
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