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再びの異世界、シャーシード国

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クソジジイはこんこんと、えんえんと、よくもまぁそんなに話すことがあるものだと逆に感心できそうなほどに、喋り続けた。

まぁ、その中身はほとんど愚痴と悪口陰口ばかりで中身は空っぽだ。

気付けばとうに側近たちの退勤時間を過ぎようとしている。

私は立ち上がり、側近たちを帰した。

ジジイはそれを肯定のための人払いと受け取ったようだ。

ニヤリと笑うと、また話し始めようとする。

再び口を開こうとする目の前のクソジジイに対し、芽生えた殺意と、私の家族を廃そうとしている危機感と、もろもろの怒りと、頭の中も心も魔力も全部ごちゃごちゃになった自分を抑えながら、私はクソジジイに訊ねることにした。

「話はそれだけか?」
「わかってくださって嬉しいです、王太子殿下。ではこちらの書類にサインを…」

私は、クソジジイからどうやら離縁申請書と読めなくもない紙を受け取った。

受け取ったが、受け取ったそばから紙が燃えてしまったので、たぶん離縁申請書なのだろう。

紙が灰になり、空気にとけるように消えたのを見て、やっとクソジジイは状況を理解してくれた。

「ななななな……」

「それ以外喋れんのか?」

「ぐぬぬぬぬ……」

「何だ? 聞き取れん。」

私はクソジジイに手を伸ばす。
すると、掴んだクソジジイの袖から順に、服だけ時間が進んだように朽ち果てた。

「ひぎゃぁぁぁぁ……」

「その言葉も飽きた。」

私はソファを立ち上がり、クソジジイの方へ足を進める。

1歩1歩と進むうち、何故か床が腐って穴が開いて行く。

「くくくくくるな!」

「何と言った?」

「くくくく来るなバケモノ!!」

「なぜだ? 私は将来的にお前の義理の息子になるのではないか? 予備の用紙を貰いたいだけだ。」

「よよよよ予備はななない!」

「では残念だが、消えてもらうとするか。義理であれ父であれば、犯した罪に合わせて仇討ちもできたが……仕方ない。罪を償うべく、王太子の地位は捨てねばなるまい。」

「ななななな!」

「ではおぬしに問おう。
私の義理の父となり、正当な理由の元、仇打たれるか、
それとも今すぐ消し炭になるか、
どちらを望む?」

「どどどどど」

「あぁ、どちらでも良いと申すか? 寛大な心、私も見習わねばならぬなぁ。」

するとクソジジイは、今度は、かぶりを振るという域を超え、首がもげそうなほどにブンブンと横に振る。

けれど、私の中はおさまらない。
それどころか、魔力は膨れ上がるばかり。
最早私自身にもどうにもできないところまで膨れ上がり………………

とうとう暴発した。


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