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再びの異世界、シャーシード国

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目が覚めると、そこはきらびやかな刺繍の施された天井だった。
もちろん見覚えは……ないことにしたい。
左右へ顔を向けても、見えるのは、やっぱりカーテン。
この後にやってくる人物に、僕は嫌な予感しかしない。

その時、カーテンの向こうから声がした。
カーテンが捲られる………………



「シノダ! 目が覚めたのか?」
「リン!!」

やって来たのは、リン。僕はホッとして、起き上がろうとした。けれど、視界が回る。

「いや、いい。眠っていた方がいい。」

リンのひんやりとした掌が、僕の額に触れて気持ちいい。

「シノダ……あの…………」
「なあに、リン。」

「あの……シノダ。驚かないで聞いて欲しいんだけど…………」
「うん。」
「愛してる。」
「………………知ってるよ。どうしたの?いつも言ってくれてた。驚かないよ。」
「だよなぁ……
それから、」
「うん。」
「ここはシャーシード国だ。おかえり、シノダ。」
「ただいま。だよね、ココ……たぶん王太子の部屋だ。」
「そう。王太子の部屋。で、実は私が王太子なんだ。昨日から。」
「へぇ…凄いね、おめでとう。」
「ありがとう……それから…………私は妊娠したんだ。儀式の時の、シノダとの子だ。」
「……えっ、僕らの子? 僕、もうすぐお父さんになるんだ。凄いね。おめでとう。」
「それから、シノダも。」
「ん?僕?」
「妊娠中だろう? 私達の子を。」
「え……………………」
「おめでとう、シノダ。そして、ありがとう、シノダ。」
「………………ありがと。それじゃ、この体調不良って……」
「つわりだな。」
「これが……すごく気持ち悪いよ?」
「だな。私も実は、シノダとのキスができなくて驚いた。」
「キス……確かに。ちょっと気持ち悪いし、体を触られたくないよね。」

フフ……

リンは苦笑いだ。

「本当に?」
「うん。でも、つわりなんて時期が来たら終わるだろ?」
「でもさ…もう1ヶ月半も離れていたんだぞ?添い寝くらいは……」

リンは掛け布団を捲って、僕の寝ているベッドに入ってきた。
リンが近付いてくるけれど………

「…………ごめん、リン。僕もう、それ以上は………………ゔ……」

僕は限界で、リンを拒否してしまった。
リンは傷付いた表情でベッドから下りて行く。

「ごめん、リン。少し眠るね。」
「わかった。」

僕は、リンが部屋から出て行く背中を見送ってから、また深く眠った。



それからまた週数を重ねて、僕とリンはあの儀式をした祭壇のへやって来た。

僕は、つわりの収まる時期が来ないままこの日を迎えてしまい、リンと同じ部屋に居るのは久し振りだった。

リンは比較的つわりは軽く、王太子としての仕事にも勢力的に参加して、どんどんこのシャーシード国を盛り上げたそうだ。


そして魔術師3人がかりで、僕が眠っている間に女の赤ちゃんが取り出され……
魔術師10人がかりでも結局リンは眠ることができなくて、意識のあるまま、自分の魔力も使って、双子の男の子が取り出された。

3人は、当初の約束通り三つ子の王女と王子たちとして全国民に紹介されることとなった。


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