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異世界 シャーシード国
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しおりを挟む「父上、リンジェルドです。」
「許す。」
「失礼します。」
最敬礼をしてから入室するリンを真似て、僕も入室した。
中には、先程服を持ってきてくれた女性と同年代か少し若いかという男女が、各々1人掛けのソファに座っていた。
どうやらリンのご両親のようだ。
こう見ると、リンの肩の張り方は男性に、女性の方は孤児院でお会いしたリンのお母様で、色合いは全てお母様似だとわかった。
リンは対面する3人掛けのソファの、男性の向かい側へ座る。
僕は、
「失礼します。」
ひと声かけ、丁寧に礼をしてから、リンとは1人分開けて座る。
姿勢を正して正面を見ると、リンが間を詰めてきて、僕の腰を抱いた。
「父様、母様、こちらは、私が眠っていた間に長いこと見ていた夢の中の恋人の、シノダです。」
僕は立ち上がり、
「シンヤ・シノダと申しま…ウワッ」
途中でリンにズボンの背中を掴まれて引っ張られた。
急に引っ張られたことでリンのご両親の眼前に股間を晒しそうになり、慌ててズボンを押さえたまま着席してリンの胸に縋るような体勢になってしまった。
「すまない。この通り、シノダは異世界人だから、この国と文化が違うんだ。
シノダ、この国ではいちいち立ち上がったり、頭を下げるような礼はしないんだ。」
「あ、そうか。ごめん!」
「気にするな。」
リンは言うと、僕のおでこに軽くキスをした。
チュッ
軽くともしっかりリップ音が響いて恥ずかしく、僕はたぶん、耳も首も赤くなっているであろう顔を俯かせた。
「ハハハ……リンジェルド。お前の話は本当なようだな。」
「そうよ。孤児院で再会した時も、ガードがきつくて、貴方の若い頃を見ているようだったわ。」
リンのお母様の言葉に、リンのお父様は恥ずかしそうに頬を染め、バツが悪そうな顔をした。
「ホントかわいいわ。」
そのまま、リンのお母様はリンのお父様の右手を取り、手の甲にキスをした。
その瞬間、リンのお父様の股間に存在感のあるモノが主張したのを、僕は見逃さなかった。
「……という訳で、私とシノダはいろいろあって、城の祭壇で《魂の誓い》を致しました。
ですから父様と母様にも、彼との婚姻を認めていただきたく……」
「あら、おめでとう。わたくしはあの王太子よりもシノダくん?彼の方が良いって思ってたわ。
おめでとう。祝福する。」
リンのお母様はおもむろに立ち上がり、リンのお父様の1人掛けソファの右の肘掛けに腰掛けると、リンのお父様のネクタイを掴んで自分の方を向かせ、濃厚なキスを始めた。
むっちゆっ
先程の僕とリンとは比べ物にならない音量のリップ音をさせ、唇を離すと、リンのお父様の頬が朱に染まり、瞳が潤む。
すごく色っぽくて、見せられているこちらが恥ずかしくなってしまった。
「リンジェルド、ごめんなさいね。続きの話は夕食の時にでも。
わたくしたちは、あなた方の婚姻には賛成だから、安心してね。」
「お許しありがとうございます。それではごゆっくり。」
そう、少し早口で伝えたリンは、素早く立ち上がると、僕の手を引き退室した。
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