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異世界 シャーシード国
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しおりを挟む結局、王妃判断で王太后の骸は森の奥に穴を掘って埋めることになった。
異世界人である王太后は、王太后の地位にいるけれど愛妾である。
代々の王族の墓に入れることはできないと、国史を纏めた書籍に記載があったそうだ。
しゃがむような姿勢に手足を折り曲げて樽に封じ、封印の魔法陣を貼る。
それから、土に埋め、花の代わりに王族の精液をたっぷりとぶっ掛けてから土を掛けるのが習わしだという。
「…………」
わたしは、特に声を掛けることもせず、土魔法でほんの僅か樽に土を掛け、その場を去った。
なぜなら思い出したのだ。
わたしはこんなことをしている場合ではなかった。
最愛のシーシャを助けに、祭壇のある部屋へ向かわねばならなかったのだと。
魔術師団の詰所へ寄り、その日1番の魔力量を持つ魔術師を従えて、一番上まで階段をぐるぐると上がった。
そして、廊下の突き当りまで来ると、なんと祭壇の間へ続く扉が開いていた。
この先には、わたしが置き去りにしたままなら、この者に愛しいシーシャの美しい裸体を晒すことになってしまう。
どうにか言い含めて魔術師を帰すと、単独で祭壇へ近付いて行った。
夜なので、祭壇の間は薄暗い。
わたしがシーシャを解放した祭壇の前には居ない。
もしやと思って祭壇の裏へ回れば、そこには、《わたしの最愛》であるシーシャと《わたしの婚約者》である、リンなんとかが幸せそうな寝顔で横たわっていた。
しかも……
わたしはただ1点を凝視した。
わたしの婚約者である、リンなんとかが自らのイチモツをシーシャの後穴に挿入していた。
わたしはソレが視界に入るなり、リンなんとかを殴り飛ばした。
それから、大事なシーシャを胸に抱きしめた。
それで目が覚めたであろうリンなんとかは、わたしが罰を与えた頬に手を添えてこちらを睨む。
大事に胸に抱いたシーシャは…泣き出した。
カラカラと音がするかのようにブルブルと震えながら、さめざめと泣くシーシャの姿は、とても美しかった。
すっかり見惚れて、いつまでも見ていたら、抱きしめるわたしの腕を押しのけようとする。
「どうしたんだい? シーシャ。」
わたしが顔を覗き込めば、心底怯えたような表情で、左目からポロリと涙を溢した。
ポカンと開けた口は何か言いたげで、でもアワアワと開閉するしかしない。
「寒いのかい? わたしが温めてあげよう。」
わたしは、美しいシーシャの肌を堪能するように両掌と唇を這わせる。
「シーシャ……」
耳元に囁けば、
「違う。僕はシーシャでは……ありませ…やめ……」
小さな小さな声でシーシャは呟いた。
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