28 / 57
異世界 シャーシード国
23
しおりを挟む結局、王妃判断で王太后の骸は森の奥に穴を掘って埋めることになった。
異世界人である王太后は、王太后の地位にいるけれど愛妾である。
代々の王族の墓に入れることはできないと、国史を纏めた書籍に記載があったそうだ。
しゃがむような姿勢に手足を折り曲げて樽に封じ、封印の魔法陣を貼る。
それから、土に埋め、花の代わりに王族の精液をたっぷりとぶっ掛けてから土を掛けるのが習わしだという。
「…………」
わたしは、特に声を掛けることもせず、土魔法でほんの僅か樽に土を掛け、その場を去った。
なぜなら思い出したのだ。
わたしはこんなことをしている場合ではなかった。
最愛のシーシャを助けに、祭壇のある部屋へ向かわねばならなかったのだと。
魔術師団の詰所へ寄り、その日1番の魔力量を持つ魔術師を従えて、一番上まで階段をぐるぐると上がった。
そして、廊下の突き当りまで来ると、なんと祭壇の間へ続く扉が開いていた。
この先には、わたしが置き去りにしたままなら、この者に愛しいシーシャの美しい裸体を晒すことになってしまう。
どうにか言い含めて魔術師を帰すと、単独で祭壇へ近付いて行った。
夜なので、祭壇の間は薄暗い。
わたしがシーシャを解放した祭壇の前には居ない。
もしやと思って祭壇の裏へ回れば、そこには、《わたしの最愛》であるシーシャと《わたしの婚約者》である、リンなんとかが幸せそうな寝顔で横たわっていた。
しかも……
わたしはただ1点を凝視した。
わたしの婚約者である、リンなんとかが自らのイチモツをシーシャの後穴に挿入していた。
わたしはソレが視界に入るなり、リンなんとかを殴り飛ばした。
それから、大事なシーシャを胸に抱きしめた。
それで目が覚めたであろうリンなんとかは、わたしが罰を与えた頬に手を添えてこちらを睨む。
大事に胸に抱いたシーシャは…泣き出した。
カラカラと音がするかのようにブルブルと震えながら、さめざめと泣くシーシャの姿は、とても美しかった。
すっかり見惚れて、いつまでも見ていたら、抱きしめるわたしの腕を押しのけようとする。
「どうしたんだい? シーシャ。」
わたしが顔を覗き込めば、心底怯えたような表情で、左目からポロリと涙を溢した。
ポカンと開けた口は何か言いたげで、でもアワアワと開閉するしかしない。
「寒いのかい? わたしが温めてあげよう。」
わたしは、美しいシーシャの肌を堪能するように両掌と唇を這わせる。
「シーシャ……」
耳元に囁けば、
「違う。僕はシーシャでは……ありませ…やめ……」
小さな小さな声でシーシャは呟いた。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
【完結】小学生に転生した元ヤン教師、犬猿の仲だった元同僚と恋をする。
めんつゆ
BL
嫌われていると思っていたのに。
「どうやらこいつは俺の前世が好きだったらしい」
真面目教師×生意気小学生(アラサー)
ーーーーー
勤務態度最悪のアラサー教師、 木下 索也。
そんな彼の天敵は後輩の熱血真面目教師、 平原 桜太郎。
小言がうるさい後輩を鬱陶しく思う索也だったが……。
ある日、小学生に転生し 桜太郎学級の児童となる。
「……まさか、木下先生のこと好きだった?」
そこで桜太郎の秘めた想いを知り……。
真面目教師×生意気小学生(中身アラサー)の 痛快ピュアラブコメディー。
最初はぶつかり合っていた2人が、様々なトラブルを乗り越えてゆっくりと心通わせる経過をお楽しみいただけると幸いです。

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる