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異世界 シャーシード国

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「あ、つい興奮しすぎて…あちゃー、これじゃシーシャの声が聞こえないではないか。手加減したつもりだったのに……すまないシーシャ。
よし、シーシャが起きるまで風呂でも行って来るか。」

ダリンスはシノダを床に放って、先程王太后様が向かった方へ歩いて行った。






『シノダ! 起きろ、起きてくれ!!』

私がいくら声を掛けようと、声は音にならず、シノダにも聞こえて居ないようで、シノダも目を覚まさない。

『シノダ!!』

私が何度目か声を掛けた時だ。

フワンッ

何やら、柔らかいモノを突き抜けたような感じがした。

次の瞬間には、私は自分の足で、祭壇のある部屋の床に立っていた。

『シノダ!!』

気付いてすぐに、シノダの元へ駆け出す。

抱き上げ、抱き締め、シノダの名を呼んだ。

『シノダ!シノダ、私だ。怖い思いをさせてすまない。』

『……ん?』

『シノダ!私だ。本物のリンジェルド!リンだ!!』

私はシノダに声を掛け、それからキスをした。

『…んっ……んんっ…………』

少し声を上げたシノダは、私に抱きつきながら、涙を流した。

ゆっくりと唇を離すと、シノダは声を上げ、私にしがみつきながら泣いた。

『…ひっく……リンは、見た……僕が…………』

『見た。……ごめん、怖い思いをさせた。』

『僕、もう…リンの傍には』
『いやだ。私は、シノダがいい。』

私はシノダを強く抱きしめた。

『私を捨てないでくれ。私には、シノダだけだ。』
『リン……』

『その証拠に、私はここでシノダにも神にも愛を誓える。』
『リン……』
『シノダ…そしてこのシャーシード国を守りし神々よ。
わたくしリンジェルド・メリルは、こちらのシンヤ・シノダと生涯愛し続けることを誓います。』

するとシノダも、私に続いた。

『わたくしシンヤ・シノダは、こちらのリンジェルド・メリルと生涯愛し合うことを誓います。』

シノダの言葉が嬉しくて、自然と笑みが溢れる。

シノダも私を見たまま嬉しそうに微笑む。

そして私達は向かい合うと瞼を下ろし、私はシノダの唇に口付けた。

触れるだけの、でもそれにしては長いキスをして離れると、シノダの瞼が上がる。

自然と瞼を上げると、すぐに見えたのはお互いの顔で…
私達は微笑み合い、そしてまた抱き締め合った。


その時、祭壇の中心がキラリと輝き、私達はあっという間に真っ白な光に包まれてしまった。

眩しさが増すにつれて、私は胸にシノダを抱き、自らも目元を左腕で庇う。


パアァンッ

直後に何かが弾けたような気がして、ゆっくりと目を開けると…
そこは雲の中のような、視界のすこぶる悪い、真っ白い部屋だった。


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