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異世界 シャーシード国
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しおりを挟む僕が目を覚ますと、そこはきらびやかな刺繍の施された天井だった。
もちろん見覚えはない。
左右へ顔を向けても、見えるのはカーテン。
これってもしかして、異世界転生モノのラノベとかでよく出てくる、天蓋とかいうヤツなんじゃ?
とりあえず上半身を起こしてみると、何と全裸でシーツに包まっているという状態。
パンツさえ履いていない全裸って……
僕の服は一体?
服を探すけれど見える範囲はボルドーみたいな色合いに金のフサがついた重厚なカーテンしかなく、だからと言ってその向こうに何があるのか全く見当もつかないため、ついためらってしまった。
とりあえず確認として、後孔に指を沿わせるけれど窄まりは固く閉ざしており、何もされてないように感じた。
シーツを捲って確認するも、昨日から今日にかけてリンに付けられた痕以外に増えては居ないように感じた。
最後に、僕の分身も。
普段下着の中にいるような、ふにゃんコテンという感じの状態になっている。
つまり、全裸だけどヤられた形跡はなかった。
でも次の瞬間、あの声が聞こえてきた。
『…あぁっ……いやっ……欲しいのぉ……挿れて…ここにちょうだい。ダンネス!!…』
それは、確かに僕が夕方の校舎で聞いていた声だった。
けれど、《ダンネス》という単語を聞いた時、僕の頭は高熱が出た時以上の、異常な頭痛に襲われた。
「う…頭が……割れるような………………」
そして、僕はどうやら意識を失ったらしい。
気付いた時には大きなスクリーンに映し出された、セピア色の映画を見ていた。
───
──
─
スクリーン映し出されているのは、2人の男だった。
1人は、自分によく似た黒髪黒目の男。
もう1人は、逞しい体つきに眩しいほどの金髪碧眼の男。
ちなみに2人は大きなベッドのへッドボードに寄りかかるようにして、金髪の男が黒髪の男の肩を抱き、黒髪の男は金髪の男の胸に縋り付くようにしている。
『シーシャ、わしの愛。』
『ダンネス様ぁ。僕シーシャは、あなた様のことをお慕いしております。』
『シーシャ、わしもだ。』
金髪の男の唇が、黒髪の男のつむじに落ちる。
それを合図に黒髪の男は顔を上げ、2度目に落とされた唇を唇で受け止めた。
2人は声を発さず、ひたすらリップ音が僕の耳元に響く。
2人はキスをしながら、黒髪の男を金髪の男が組み敷くような体勢になりながら深く唇を合わせている。
そのまま、金髪の男の大きな手が黒髪の男の胸の突起を指先で捏ね始める。
『むぅんっ』
声を発したのは、体の殆どが金髪の男に隠れてしまっている黒髪の男のようだ。
黒髪の男は金髪の男の下から左脚だけ抜け出すと、金髪の男の右脚に絡み付くように、脹脛や膝裏腿裏に足の指先で触れるように動かしながら、金髪の男の尻を目指す。
しかし、その左脚は金髪の男の右腕に捕獲され、金髪の男の肩へと担がれる。
2人の唇は離れたのか、金髪の男が、組み敷く黒髪の男の右耳へ唇を寄せた。
『今日は随分積極的だな、シーシャ。』
途端に、黒髪の男の顔が恍惚とする。
『だって僕、ダンネス様と繋がること、嬉しいし大好きなのです。』
『確かに、ココもわしを誘っておる。』
金髪の男の右手が黒髪の男の尻の下へ伸び、途端に、
『ぁああああああーーーー!!』
黒髪の男の体が、叫び声と共に跳ねた。
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