お嬢様の身代わり役

325号室の住人

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カーテンコール(番外編) BL要素薄め

  王子と呼ばれて育った男

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王子と呼ばれて育ったボク、セイドは知っていた。

今はこうして王子と呼ばれて育っている。けれど、成人の儀式を終えた翌年、名前の通り性奴隷に堕ちるそうだ。

ボクには前世の記憶があった。
ボクの前世は、この国の先祖である龍の民。
王子として国の歴史の禁書に手を触れた途端、過去の記憶が蘇ったのだ。






ボクは天空に住まう、龍の民であった。
当時の龍の民にはオスしかおらず、皆、卵で種族を増やしていた。

ある日、地上を歩く1人の桃髪の少女に恋をして、ボクは人型になって地上へ降りてきた。
ただ、降りるところを地上の人に見られてしまい、神として崇められてしまった。
だから、桃髪の少女とのお喋りなんて楽しめるはずもない。

ボクは夜に抜け出して少女を探した。
彼女は魔女の家系の娘で、ボクらはすぐに仲良くなった。

けれどまぁ、結果的に、ボクは彼女を城へ呼ぼうとして失敗し、彼女は神をたぶらかしたとして牢へ入れられてしまった。

ボクは彼女を見舞い、彼女の胎へボクの卵を授ける。
そうして彼女の腹は大きく丸くなり、ある日産卵し、中からはボクそっくりの、銀髪に碧目の男の子が生まれ……
それがこの国の王となった。






そんな訳で、頭の中を読んで会話する龍の特殊能力を目覚めさせたボクは大人の精神となり…
5歳にして聞いてしまった、とある大臣の頭の中身を理解してしまった。

《傀儡の王の息子は、成人したら王を排除し種馬にしよう。ハハ…これはいわば性奴隷。そうと決まればそろそろ調教してやらねば……》

そうして彼の頭の中で繰り広げられる、ボクへのアレやコレ。

その晩、ボクは寝所から抜け出した。


本当は、龍体になって空へ逃げてしまいたかった。
けれど以前ボクが庭で迷子になった時の捜索隊を思い出し、人型のまま、けれど幼児の体力以上に広範囲を徘徊した。

そこで見つけたのだ。
あの日を彷彿とさせる桃髪…
もうとっくに日暮れを迎え、辺りは闇が近付いている頃だと言うのに、城の洗濯場で洗濯をする少女を。



そうして彼女と話すうちに、彼女の親代わりの総領とも話す機会を得…
王子として育てられたボクは、気付いたら彼女と一緒に暗殺者教育を受けていた。

ボクの暗殺対象は、何とボク。
ボクが王子と容姿が似ているとして受けさせられた依頼だけど、コレどうすんの?

いつまでも依頼を成功させないボクを総領が捨て、集団に追われている時に助けてくれたのが、シド。

「お前、王子なのに何やらかしたの?」

そうしてそのままシドに拾われたのだった。



そののち、桃髪の少女であったキャルルもシドに拾われ、ボクは王子として育てられながらも裏では諜報活動をしてシドやお仲間と通じていた。

だから、あの大臣の妄想のアレやコレは現実にはならなかった…訳だけど……

龍の特殊能力のせいか、ボクはエロ狂いとなった。
龍族は、この世界ではもうすっかり滅びた種族だ。
だから、後継を残したいという本能で溢れているんだよ。

けれど、最愛のキャルルだけでは受け止めきれないだろう。

そこでボクは好みじゃない女を性の捌け口にし、運良く生まれた子はシドによって、能力を悪用されない安全なところへ隠してもらっている。

元々の龍族は、8歳で卵を生み出す訓練を始める。

アレと交わった最初の子は、そろそろ8歳になるんじゃなかろうか。

シドに話して、一度こちらへ連れてきてもらうか。


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