お嬢様の身代わり役

本編

エピローグ 本編・完

こうして婚姻初夜を終えた僕たちは、その十月十日後、王家の色を持ったかわいらしい王子と共にあのバルコニーに並んで立った。

生まれたばかりにしては大きく見える？首が据わっている？

それは…うん。気にしないで欲しい。



あれは、僕が毎晩毎夜ハイド様に抱き潰されていたとある夜のこと。
僕の枕元にシドが現れたのだ。

「あれ…ハイドは不在か。ま、いいか。
ほら、計画通り生まれたから連れてきた。
後のことは宜しく頼む。
最近ではすっかり従順な性奴隷に墜ちたから安心しろって、ハイドに伝えてくれ。
いくらあの女の血を引いているとは言え、こうして元気に生まれたんだ。あとは、お前たちで真っ当な子になるように育ててやってくれ。
それじゃ、元気でな！」

言って、王家の色を揃えた赤ん坊を、僕の隣へ寝かせて置いて行ったんだ。


僕は、王妃として女の姿で過ごしていても、結局は体が男なんだ。
国王と王妃として扱われていても、後継者となる王子をこの世に産み落とすことができない。

そのための、彼らの計画だったようだ。






それからも僕はハイド様に毎日毎晩愛されながら、
たまにシドが連れて来る子どもたちを自分の手で育てながら、
ハイド様と手を取り合って、
この国で、この国の民と一緒に幸せに過ごした。

あの日、お嬢様とシドの逢引現場を見てしまわなければ…
もしかして、アレも仕組まれたものだったりして…？


という訳で、めでたしめでたしのハッピーエンド。




　　　　　　　　　本編・おしまい