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本編
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しおりを挟む「さぁ、こちらへ。」
ハイド様に手を引かれて足を踏み入れたのは、寝室だった。
ただ、ベッドメイクの途中だった昨日とは違ってスッキリと片付いている。
寝室の入口へ僕のカバンを置いたハイド様は、僕の手は離さずにベッドまで進む。
「え、ちょっ、僕、準備が…」
「準備?」
ハイド様は、僕の手を握ったまま立ち止まって振り返る。
「はい。その…実は僕、あの後お風呂に入っていないのです。その…襲われて庭を逃げて、戻って来た調理場で眠ってしまいましたから。」
ハイド様は僕の話を聞くと、
「ならば私が消毒をしよう。行こう。」
言うと再び僕の手を引いて、ベッドの向こう側の頭側にある扉に手を掛けた。
お嬢様のお部屋と同じ間取りだとするならば、そこは…
「さぁ、こちらだ。」
扉の向こうへ僕を引き入れると、器用にも後ろ手に扉を閉めて、
カチャリ…
どうやら施錠もされたようだ。
そのまま僕の背中側へ移動すると、次の扉を開く。
「さぁ、洗ってやろう。私のイード。」
そこは僕の予想通り、簡易的なシャワールームだった。
「脱がせ」
「いいえ! 自分で脱げますので。」
ハイド様が僕を見ている。
ボタンに手を掛けるのを、ボタンホールへボタンを潜らせるのを、プツリという音を、シャツの右と左の身頃が左右に離れて行くのを…
僕は緊張で手を震わせながら、何とか1番下までボタンを外すことに成功すると、ハイド様に背を向けてシャツを肩から床へと落とした。
「ハッ!」
ハイド様が息を飲むのが聞こえる。
カツ…
ハイド様の足音が聞こえる。
僕は、恥ずかしくて後ろを振り返れない。
すると、僕の背中にゴツゴツとした大きな手のひらがツーッと腰まで下りていった。
「きれいだ、イード。」
ハイド様は言うと、僕の首筋へ唇を押し当てる。
そのまま強く吸い付いて、僕の首筋はチリリと痛んだ。
「ン!」
刺激に声が漏れれば、
「すまない。印を付けたくて。」
ハイド様が同じ場所に舌を這わせた。
それから、僕の前へ回られたハイド様は、今度は痛々しそうな表情をされた。
そう。見下ろした僕の体には、歯型や痣がたくさんできていたんだ。
僕もさっき服を脱いで驚いた。
──ハイド様も驚かれ、気持ちが退かれただろうな…
「痛いだろう。でも少し我慢させる。」
ハイド様はシャワールームへ僕の手を引いた。
ここは、簡易的なシャワールームではあるけれど、貴族家のものなので、従者にお世話させられるようなスペースがある。
僕も手を引かれて誘導されたのはここ。普段ハイド様がお世話されるための浴用椅子だった。
ハイド様はズボンの裾と袖を捲り上げると、柔らかな布にお湯を纏わせて緩く絞り、僕の体を手早く拭き上げた。
それから今度は下穿きに指を掛け、ゆっくりと下ろす。
足先を引き抜くと、ハイド様は僕の切っ先を持ち上げて観察を始める。
深夜に爪で弄られたことを思い出す。きっと傷になっているのだろう。
ハイド様はこちらも手早く拭くと、今度は石鹸を泡立て、僕の胸や切っ先を優しく洗ってくださった。
ハイド様の優しい指遣いに、僕は変な気になってしまいそうになるのを堪えながら、変な声が出ないように両手を口に押し付けて我慢した。
そうしてザバリと湯を掛けられると、
「では次は、イードの後孔を確かめさせてくれないか?」
真面目顔のハイド様が、椅子の座面に僕の背中があたるような体勢にして、僕の両足を開かせながら膝が耳に触れるくらいにした。
その足が戻って行かないように僕に抱えさせると、僕のお尻に熱い吐息が掛かる。
それから、シワを広げるようにしたり、出すことが仕事の穴に何かが触れたりした。
《誰が》と言われればハイド様だと答えられるが、僕からは股間の切っ先の向こうにハイド様の美しい髪が見えるだけしかわからない。
それに、自分の足を抱えることになった僕は、口を押さえ付けることはできなくなった。
「…んっあ…」
すると自然と変な声が出てしまい、それにつれて切っ先が自我を持ったように太く立ち上がって行くのも見える。
「ハイド様ぁ…?」
ハイド様から反応はない。
けれど、切っ先の張り詰めた感じに焦ってきた。
「ハイド様ぁ…僕、もぅ」
「うん、蕾は硬い。こちらは大丈夫だな。」
ふわっとした何かがお尻を撫で、
「ひあんっ!」
僕の切っ先が弾け、立ち上がったハイド様の服の、胸を濡らしてしまった。
「はぁ…はぁ…僕ぅ…申しわ…ふぅ…あっ……」
「ここ、痛くなかったかい?」
ハイド様が弾けてしまった先に触れて言う。
「はぃ…だいじょ」
「ならば、湯に浸かっても大丈夫だな。」
気付けば僕は、ハイド様に抱き上げられていた。
ハイド様の素肌の肩や上腕の筋肉が盛り上がっているのを、ぼんやりと見上げた。
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