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しおりを挟む僕は咄嗟に逃げないとと思った。
けれど、それはかなわない。殿下に腰を強く引かれたからだ。
「逃さないよ。私は君を気に入っているんだ。」
──なぜ?
暴れるのに、腰の拘束は解かれない。全然振りほどけない。
「?」
「不思議そうな顔をしているね。私の病はいわゆる仮病だからね。そりゃ子どもの頃は本当に病弱だったけれど、もう健康体さ。」
バサッ
「え?」
驚いているうちに、僕の重いドレスの裾が捲り上げられ、向きを変えられ、僕は殿下の膝を跨ぐようにして殿下の体と密着した。
上半身はきつく抱き締められ、後頭部を押さえつけられるようにしながら、激しく唇が重なった。
「んっ……ふ! …………あっ」
殿下の舌が僕の口内へ侵入し、蹂躙するように口内を舐め回される。
息苦しくも息継ぎさえ許されない。
口内にも快楽に繋がる部位があるようで、僕は何度か声にならないような音を発した。
「君はもう、息が上がってしまったの?」
「でん…か……?」
「ねぇ、リリ嬢と色合いの似た君……君の名前を呼びたい。」
「ニール………いいえ、ニールと申します、殿下。
あの! 申し訳ありません。ぼ…いや、わたくしは、リリの双子の兄でございます。
これまで、わたくしがこちらへ参っておりましたこと、王家を謀ったとして家もろとも罰せられるでしょうか。
ですが、父母、そして兄、親戚一同、至極真面目に日々の生活を送っております。
どうか……どうか、家は温存していただきたく……
お願い致します。
わたくしは、何でも致します故……」
僕は殿下にお詫びの言葉を述べた。
もう、恐れ多くてご尊顔など拝めない。
ただひたすらに、殿下の足先に額をつけるかのように首を垂れ、一気に言葉を吐き出した。
殿下からの返事がないままでは顔を上げられない。
そのままでいると、頭の向こうから衣擦れの音が聞こえた。
「ニール…ニール……顔を上げて?」
僕が恐る恐る顔を上げれば、見えたのは嬉しそうに笑う殿下の顔。
「やっと呼べた。ニール。」
殿下の手は僕へ伸びると、ガシリと僕の顎を掴んだ。
追うように殿下の唇と舌が迫ると、ゆっくりと重なる。
チュッ
瞬間目を閉じ、僅かな重なりで離れると、目を開く。
するとこちらを見下ろす殿下の瞳が、金色に光った。
この瞳を、僕は知っていた。
お茶会の最中、何度か感じた強い視線に振り返ると、いつもこの金の瞳が僕の方を見つめて…いるように感じた……ものの、婚約者にはリリが選ばれたことで、リリを見ていたのかと納得したものだ。
僕はと言えば、その瞳に体が動きを止める。
「ニール…私ははじめから、君を見ていたよ。」
殿下に抱き寄せられれば、僕の体は殿下の方へ簡単に傾く。
「本当は、こんな至近距離でこの瞳を使いたくなかった。
けれど、君が私の腕から消えようとするから…」
唇が合わさる。
チュッ
音と共に離れる。
「何でもすると言ったね。ならば、私と一緒に旅立ってもらおう…ククク……」
その日、僕は殿下と一緒に毒でこの世を去った……
ことになった。
そして今、僕は、殿下と一緒に馬車に揺られ……
ながら僕は、殿下の上で揺さぶられていた。
「ぁあ…ンッ……ハァっ……く! 殿……もう……」
「また殿下って呼ぼうとしたね。お仕置き……だ!」
「ああぁぁぁぁァーーー!!」
「サー…シュッ、サー……シュうぅぅぅ……」
「何だ? ニール」
「ああぁぁぁァァアーーーんっ…………」
「何だ? もう気を失っちゃったのか?ん?」
気を失うほどの快楽を、何度も享受する。
気付いた時には深い口付けを受けている。
「ニールは私のものだ。永遠にね……」
「ひあああぁぁぁぁーーー!!!!」
僕は、妹の身代わりのハズだった…
けれど殿下は最初から僕だったと言った。
僕は…夢と現を行ったり来たりしながら、殿下の愛を受け続けるのだった。
おしまい
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