【完結】しがない男爵令息だった僕が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について B-side

325号室の住人

文字の大きさ
上 下
5 / 7

  5

しおりを挟む

「実は俺、あー、こんなこと言って退かれたらどうしよう。
実はさ、俺、君に見覚えがあるんだ。
でも、どこで見たのか記憶が曖昧で…」
「夢でお会いしましたか?」
「そうかもしれない。」

ライド様は、テーブル越しに僕の手をその大きな手で包んだ。

手を引かれれば前のめりになる。
その瞬間、僕はライド様にキスをされた。

「ほら、君もそう感じないか? 俺達は以前、どこかで……」

その時だ。
ライド様が佩く剣が銀色に眩く光ると、

『フレイオは、私のだ。お前はただの私の記憶の容れ物。その記憶は本来私のもの。
私のフレイオに手を出すならば、お前の剣で有ることを辞める!』

先程までの夢の中の銀髪の男性が、ライド様に詰め寄った。
しかしライド様は腕を組み、銀髪の男性を睨みつける。

「は? お前の記憶だと? しかし今のお前はただの剣の精霊。その状態のお前は、こうしてフレイオに触れることもできないではないか!」

ライド様は僕を膝の上に抱くと、頬を寄せて瞼にキスを落とした。

「ひゃんっ」

「どうだ? 触れることができなければ、フレイオにこんな声を出させることもできない。
悔しかったらフレイオを抱いて見せろ!!」

『こんの小癪な! クソガキにはこうしてやろう!!』

すると、銀髪の男とライド様の体が雷を浴びたようにビカビカと光り、ライド様は気を飛ばされた……のだが、仰向けに倒れた体を臍から持ち上げるように起こすと、

『やった! ざまあみろ!! お前の体は私が借り受けてやったぞ!
これでフレイオに触れることができる。』

言うなり僕を抱き締めた。

『フレイオ! フレイオが私の手の中に居る。温かなフレイオの肌がこの腕に…
剣に封印された意思しかなかった私だが…腐らず耐えて良かった。おぉ、神よ!!!』

僕を抱き締め、僕の耳元で叫んでいる銀髪の男は、神への祈りを終えると僕にキスを始めた。

っちゆぅっチュッチュッ……

男相手にこんなこと、されるのもするのだって初めてだ。
けれど、そのキスは優しく柔らかく、僕の心の奥のごく小さな穴を塞ぐかのように充たしてくれた。

暫しキスに揺蕩っていると、キスの間に僕の背を撫でていた大きな手が、そのまま下へと降りてきた。

そのまま下穿きの腰紐を潜るように後ろから素肌を撫でられた。

途端に僕の体は力が抜けてしまい、くたりとライド様の胸に身を預けてしまった。

そのうちにライド様は膝の上の僕の体を軽々と上下させ、あっという間に僕はライド様と向き合うようにライド様の腰を跨いでいた。

キスはますます深くなり、口の外で舌先だけを合わせたり吸ったりもされる。
しだいに頭の中がボーッとしてくると…
気付いた時にはなぜか僕は下穿きを左足首に引っ掛け、上衣は頭を抜いて後ろ手に僕の両手を拘束していた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仮面の兵士と出来損ない王子

天使の輪っか
BL
姫として隣国へ嫁ぐことになった出来損ないの王子。 王子には、仮面をつけた兵士が護衛を務めていた。兵士は自ら志願して王子の護衛をしていたが、それにはある理由があった。 王子は姫として男だとばれぬように振舞うことにしようと決心した。 美しい見た目を最大限に使い結婚式に挑むが、相手の姿を見て驚愕する。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。

マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。 いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。 こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。 続編、ゆっくりとですが連載開始します。 「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる

琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。 落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。 異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。 そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──

《うちの子》推し会!〜いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます〜お月見編

日色
BL
明日から始まる企画だそうで、ぜひとも参加したい!と思ったものの…。ツイッターをやっておらず参加の仕方がわからないので、とりあえずこちらに。すみませんm(_ _)m

【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい

市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。 魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。 そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。 不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。 旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。 第3話から急展開していきます。

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです

チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》 歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。   ほのぼのです。よろしくお願いします。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

処理中です...