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婚姻式前日・午後から夜
しおりを挟む「だって! ミーナったら全然筋肉ないのに…」
「でも、確か先月まではポコッて!」
「ミーナ、二の腕が太いとドレスか映えないって言って、馬の世話は厩番に任せるって言ってたじゃないか。」
「そっか。そうだったわね。あぁ…すっかり忘れてたわ…」
「ミーナのそういうところも、俺は好きだよ。」
──ちょっと楽しく会話してただけなのに、急に好きだなんて…!
もちろん私は、瞬間的に真っ赤になってしまった。
マークは笑うのをやめると、立ち上がって私の前までやって来た。
私の右頬に、人差し指を軟らかく曲げて触れる。
「ふふ…本当にかわいい。」
私は、マークを見上げたまま思考も動きも止まってしまう。
頬を染めたマークの顔が下りてくる…
私は怖くなって固く瞼を閉じる。
柔らかなものが唇に触れ、去り際に聞こえるリップ音…
私は驚いて目を見開くと、急に胸が苦しくなってそのまま目の前が真っ暗になってしまった。
マークは、私がキスに同意したと受け取ったみたいで、突然の暗転で私の瞼が下りた後も何度か私の唇に唇を押し当てている感触がしてた。
けれど、私の体から力が抜けてしまえば流石に異変に気付いたみたい。
私を抱き上げると、そのまま私の私室へと走ってくれた。
瞼を上げると。デジャヴみたいに月の高い時間だった。
《しきたり》だもの。昨夜みたいにマークの姿はない。
でも代わりに…
「ミーナ…目が覚めたんだね!」
右からシー兄さま。
「マークめ! 2日続けてミーナに何をしやがった!!」
左から剣を肩に担いだリー兄さま。
どうやら私のそばについていてくれたみたいですが、
「「やっぱり、婚姻なんてやめちまえばいい!!」」
──発言が不穏過ぎます!
「待って、兄さま達。明日が婚姻式なのに何言ってるの?」
「何って…オレ達はミーナが幸せになれない婚姻なんて!」
「そうだよ。ミーナが幸せになれない相手なら、婚姻なんてやめて良いんだからね。」
「そんな…」
私は確かに、明日の式での誓いのキスが怖い。
今日もキスしてしまったけれど、やっぱりあの胸の痛みのせいで誓いのキスでの予知夢に真実味が増したように感じた。
でも、マークのことが好きな気持ちも、マークと一緒に幸せな家庭を築きたい気持ちもある。
兄さま達にどう答えたら良いのかわからなくて、何も反論できなくて…
「ミーナ、泣かなくていいんだよ。」
「もしかして、ミーナはマークと婚姻したいのかい?」
シー兄さまの問いかけに、泣き出してしまった私には頷くことしかできなかった。
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