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女神との夜 バルトル視点
しおりを挟むやっと手に入れた女神とのキスは、とても幸せだった。
柔らかい唇にそっと触れるだけで、頭の先から手足の指の先までが痺れる。
エリサからキスの間に漏れる甘い声には、きっと媚薬のような効果があるのではないかと思うほど、体の中心に熱が集まる。
イチモツは硬く滾り、早くエリサのナカへ入ってぶち撒けてやりたい。
その欲だけが俺の全てを埋めるように、ソレ以外何も考えられなくなった。
──溺れたい…
…………………………なのに!
実家の父と母や弟の近くでの初夜。
女神の甘い声を周りに聞かせてしまうのはイヤだ。減る!
せっかくロマンティックな夜をと考えていたのに、俺の気分はダダ下がりだ。
けれど、エリサとの初夜は本当に楽しみだったし、大事に抱きたかった。
ずっと好きだったし、大好きだし、愛してるし、初夜というのはこの一晩のことで、やり直しのきかないものだから。
だから、自己暗示をかけるように自分を盛り上げて臨んだ。
それにちゃんと、エリサに愛を伝えることができたと思う。
これで、エリサとは《借金》なんて関係なしに愛し合える。
未来永劫、死が2人を分かっても、ずっとずっと幸せに暮らして行けると、その時の俺は、信じて疑わなかった。
それからの約1年、俺は領地から王城にある役所へ提出する書類から領地経営について学びながら、殿下の側近として良く務め、夜は出来得る限り最愛の妻であるエリサを愛した。
そのうち、俺の出仕日の前日は健康を考えて手を繋ぐだけで眠るようになったけれど、毎朝キスで見送られ、帰宅すればキスで出迎えられ、とても幸せに過ごしていた。
いや、俺としてはとても幸せだった。
俺との交わりを繰り返す内に、どんどん淫らに乱れてくれるエリサはとても美しかったし、俺が最初で最後の人であるエリサは最近では大きく啼けるようになった。
イく時にも《イく》と言えるようになった。
イった時にも大きな声で哭けるようになった。
とても幸せだった。
婚姻から1年後。
領地での婚姻お披露目会に向けての貯金や衣裳準備も整い、父への借金も残額が僅かとなった。
そして、婚姻お披露目会まで2週間となった日、とうとうひと月の休暇をもぎ取った。
「領地へ行こう!」
俺は浮かれていた。
愛を伝え続けたし、エリサからも愛を返されている。そう思っていた。
婚姻お披露目会については、書類を提出した時に《1年待ってくれ》と伝えてあるから、言わなくてもわかっていると思っていた。
なのに、領地に旅立つと告げた晩、エリサを抱き潰してしまった後のことだ。
眠りながらエリサは言ったのだった。
「バルトル様、どうか私と離婚してください。」
と。
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