上 下
13 / 55

離・婚前旅行 3日目 昼前とそれ以降 R18

しおりを挟む

それから、バルトルが落ちないように気を付けながら、彼の頭側を持ち上げるように、馬車のところまで布を肩に担ぐようにして引っ張ります。

ザザザー

引っ張ります。
ザザザー

引っ張ります。
ザザザー

「ハァ…ハァ…ハァ…」
引っ張りま…
ザザザー

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」
引っ張り…
ザザザー

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァッく!」
引っ張ぁ…
ザザッザーー…

「ハァ…ハァ…ハァ…はぁ………ととっ…」

まだ半分も行きませんが、バテまして尻もちをついてしまいました。

「!」
「ふげっ」

その時、ワンピースのお尻の下で何かが蠢いたと思ったら、直後にやわやわと…

「ぃやんっ!」
「エリサぁ…誰で感じちゃったの?…甘く誘うエリサの匂い…………」

私のこぶし大に見えていた地点からバルトルのこぶし大に見えるようになっていたはずの馬車が視界から消え、何故か視界に広がるのは青空。

「?」

それから、ある一点を除いて下半身に感じるヒヤリとした空気と、グリグリと捩じ込まれる熱杭…

つぽっ
「ぃやぁーーー!!」

叫んでいるうちに、その馴れ親しんだ熱杭は一番奥へ到達していました。






「大丈夫かぁー!」
「助けに来たぞぉ!!」

馬車のある方から多人数の声がします。
どうやら馭者がうまいこと助けを呼べたらしいですね。

けれど現在私の上ではバルトルが恍惚の表情で先端からナカへ噴射したところでした。

私は、緊急時だとバルトルの顔を蹴りながら穿たれたモノを体外へ排出すると、這々の体でバルトルから離れます。

「あれ? 中は無人だべ。」
「あらぁ、うまいこと小麦畑には突っ込まなかったんだなぁ。」
「畑に被害がなくてえがったねぇ。」
「んだんだ。」
「とりあえず、コレ片付けんべぇよ。」
「ほれ、えっさらほい。」

は馬車からこっちへは来ず、早速作業を始めたようです。

「「「「「えいさぁっ!!」」」」」

そこまで間を置かず、掛け声と共に馬車はあっという間に横転状態から通常の状態に戻りました。
数人が馬車の車輪などの確認と整備に入り、残りが数人こちらを見て…何だか目が合ったように思います。

「あ、あっちに人がおるど!」
「馬車の中の次期様だべか?」

すると、一番年若そうな男が手を振りながらこちらへ駆け寄ってくるのが見えました。

私は証拠隠滅とばかりに、バルトル香る大布を畳むとそれをバルトルに持たせ、バルトルの前に立って男を出迎えました。

「大丈夫だべかぁ~?」
「怪我ないかぁ~?」

「はい、私は大丈夫です。ただし、夫が…」

そう言ってバルトルの横に立てば、気遣ってくれた男達が驚きに目をみはる。

「少しで良いので、傷の手当てのできるものをお借りできないでしょうか。」

低姿勢に出ると、小麦畑の先に害獣から畑を守るための見張り小屋があり、そこを借りられることになりました。

バルトルに持たせた大布を、半分まで広げてそれを担架のようにして、男衆が四人でバルトルを運んでくれ、私はその後をついて行きます。

しっかりと意識のあるバルトルは、運ばれながら男衆と何やら話していますが、こちらまでは聞こえてきません。

てっきり馭者も同じ小屋へ行くのかと思えば、助けを呼んだところで力尽きたそうで、馬と共にその先の集落の薬師である長老の家でお世話になることになったそうです。

小屋に到着し、着替えや食料、治療のための薬草を分けてもらって道具も借りると、小屋にはバルトルと私の二人だけになりました。
乳棒と乳鉢で薬草をすり潰すと、簡易ベッドに横たわるバルトルに声を掛けます。

「バルトル、傷薬ができました。着替えながら塗ってしまいましょう。」
「いや。その薬草は沁みるからイヤだ。エリサが舐めてくれた方が、きっとはやく治る。」
「…………それはさすがにナイと思いますわ。」

それから、傷が早く治ったらどんな良いことがあるかをこんこんと伝え、やっと薬を塗らせてもらい、バルトルは眠ってくれました。

バルトルの寝顔を見ると、私も安心してうとうとしてしまったようです。

バルトルはその後、傷のせいか熱を出してしまい、私は看病をしながら朝を迎えることとなりました。

彼の額に手を当て、反対側の手は自分の額に当てる。
両手に感じる熱が同じように感じることができたところで、私は安心して、バルトルの横たわる、木箱で作られた簡易ベッドに突っ伏して眠ってしまいました。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

【R18】国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった

ほづみ
恋愛
国王から「平和になったので婚活しておいで」と言われた月の女神シアに仕える女神官ロイシュネリア。彼女の持つ未来を視る力は、処女喪失とともに失われる。先視の力をほかの人間に利用されることを恐れた国王からの命令だった。好きな人がいるけどその人には好かれていないし、命令だからしかたがないね、と婚活を始めるロイシュネリアと、彼女のことをひそかに想っていた宰相リフェウスとのあれこれ。両片思いがこじらせています。 あいかわらずゆるふわです。雰囲気重視。 細かいことは気にしないでください! 他サイトにも掲載しています。 注意 ヒロインが腕を切る描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。

【完結】昨日までの愛は虚像でした

鬼ヶ咲あちたん
恋愛
公爵令息レアンドロに体を暴かれてしまった侯爵令嬢ファティマは、純潔でなくなったことを理由に、レアンドロの双子の兄イグナシオとの婚約を解消されてしまう。その結果、元凶のレアンドロと結婚する羽目になったが、そこで知らされた元婚約者イグナシオの真の姿に慄然とする。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!

仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。 18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。 噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。 「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」 しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。 途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。 危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。 エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。 そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。 エルネストの弟、ジェレミーだ。 ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。 心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

かつて私を愛した夫はもういない 偽装結婚のお飾り妻なので溺愛からは逃げ出したい

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※また後日、後日談を掲載予定。  一代で財を築き上げた青年実業家の青年レオパルト。彼は社交性に富み、女性たちの憧れの的だった。  上流階級の出身であるダイアナは、かつて、そんな彼から情熱的に求められ、身分差を乗り越えて結婚することになった。  幸せになると信じたはずの結婚だったが、新婚数日で、レオパルトの不実が発覚する。  どうして良いのか分からなくなったダイアナは、レオパルトを避けるようになり、家庭内別居のような状態が数年続いていた。  夫から求められず、苦痛な毎日を過ごしていたダイアナ。宗教にすがりたくなった彼女は、ある時、神父を呼び寄せたのだが、それを勘違いしたレオパルトが激高する。辛くなったダイアナは家を出ることにして――。  明るく社交的な夫を持った、大人しい妻。  どうして彼は二年間、妻を求めなかったのか――?  勘違いですれ違っていた夫婦の誤解が解けて仲直りをした後、苦難を乗り越え、再度愛し合うようになるまでの物語。 ※本編全23話の完結済の作品。アルファポリス様では、読みやすいように1話を3〜4分割にして投稿中。 ※ムーンライト様にて、11/10~12/1に本編連載していた完結作品になります。現在、ムーンライト様では本編の雰囲気とは違い明るい後日談を投稿中です。 ※R18に※。作者の他作品よりも本編はおとなしめ。 ※ムーンライト33作品目にして、初めて、日間総合1位、週間総合1位をとることができた作品になります。

処理中です...