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奥手の王太子とスパルタ姫様の休憩時間
しおりを挟むお姫様改め王太子妃様が気合いで瞼を上げると、そこは見知らぬ…いや、前回見た覚えのある、王太子妃の部屋の天井だった。
「あ! よかったぁ、気が付いたのですね。」
扉の方からトレーに水の入ったグラスを載せてやって来た奥手の王太子様の声がした。
奥手の王太子様はサイドテーブルにトレーごとグラスを置くと、ベッド横から中央へ向かって突っ伏するような姿勢でベッド中央に横たわるお姫様の左手を掴んだ。
すると、その途端に王太子様は左頬を張られた。
「ひゃい…」
「何してるのよ! あんなにがっついてキスするなんて、貴方明日から《奥手の王太子》じゃなくて《手の早いだけの王太子》と呼ばれるわよ!
それにわたくしだって、寝たまま大聖堂から退場するだなんて!
恥ずかしすぎて顔から火が出そうよ!!」
言うと王太子妃様は両手で顔を覆って泣き始めてしまいました。
「あ…えと…その……姫があまりにも可愛らしくて……我慢なりませんでした…から……えと……」
バシィィッッ
「ん!……いひゃい…」
すると、その途端に王太子様は反対の頬を張られました。
王太子妃様の顔は、何もしていないのに真っ赤ですが、涙は止まったようです。
「かわいいだなんて! わたくし心配して顔が強張っていたと言うのに…
もぉ!もぉ!」
「あて! ふぎゃん!」
今度は王太子妃様に背中をバシバシと叩かれました。
王太子様は全く意味がわかりません。
「でもそれなら……披露宴中は何かに付けて仲良しアピールをお兄様にした方が良いかもしれませんわ。」
「それは、そうかもしれませんね。」
王太子様が同意すれば…
「ならば今から練習よ!」
「ハイ!」
そうして、奥手の王太子様とスパルタ王太子妃様の休憩時間は終わりました。
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