上 下
3 / 9

  奥手の王太子とスパルタ姫様の休憩時間

しおりを挟む

お姫様改め王太子妃様が気合いで瞼を上げると、そこは見知らぬ…いや、前回見た覚えのある、王太子妃の部屋の天井だった。

「あ! よかったぁ、気が付いたのですね。」

扉の方からトレーに水の入ったグラスを載せてやって来た奥手の王太子様の声がした。

奥手の王太子様はサイドテーブルにトレーごとグラスを置くと、ベッド横から中央へ向かって突っ伏するような姿勢でベッド中央に横たわるお姫様の左手を掴んだ。

すると、その途端に王太子様は左頬を張られた。
「ひゃい…」
「何してるのよ! あんなにがっついてキスするなんて、貴方明日から《奥手の王太子》じゃなくて《手の早いだけの王太子》と呼ばれるわよ!
それにわたくしだって、寝たまま大聖堂から退場するだなんて!
恥ずかしすぎて顔から火が出そうよ!!」

言うと王太子妃様は両手で顔を覆って泣き始めてしまいました。

「あ…えと…その……姫があまりにも可愛らしくて……我慢なりませんでした…から……えと……」

バシィィッッ

「ん!……いひゃい…」

すると、その途端に王太子様は反対の頬を張られました。
王太子妃様の顔は、何もしていないのに真っ赤ですが、涙は止まったようです。

「かわいいだなんて! わたくし心配して顔が強張っていたと言うのに…
もぉ!もぉ!」

「あて! ふぎゃん!」

今度は王太子妃様に背中をバシバシと叩かれました。
王太子様は全く意味がわかりません。

「でもそれなら……披露宴中は何かに付けて仲良しアピールをお兄様にした方が良いかもしれませんわ。」

「それは、そうかもしれませんね。」

王太子様が同意すれば…

「ならば今から練習よ!」
「ハイ!」

そうして、奥手の王太子様とスパルタ王太子妃様の休憩時間は終わりました。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

憧れだった騎士団長に特別な特訓を受ける女騎士ちゃんのお話

下菊みこと
恋愛
珍しく一切病んでないむっつりヒーロー。 流されるアホの子ヒロイン。 書きたいところだけ書いたSS。 ムーンライトノベルズ 様でも投稿しています。

【R18】白い薔薇であったご令嬢は快楽の沼に堕ちた

未来の小説家
恋愛
 中世ヨーロッパの優雅な令嬢の初めての性的な体験

媚薬を飲まされたので、好きな人の部屋に行きました。

入海月子
恋愛
女騎士エリカは同僚のダンケルトのことが好きなのに素直になれない。あるとき、媚薬を飲まされて襲われそうになったエリカは返り討ちにして、ダンケルトの部屋に逃げ込んだ。二人は──。

巨根王宮騎士の妻となりまして

天災
恋愛
 巨根王宮騎士の妻となりまして

【R18】はじめてのかんきん〜聖女と勇者のワクドキ♡監禁生活〜

河津ミネ
恋愛
「コーヘイ、お願い……。私に監禁されて?」 聖女マリエルは勇者コーヘイにまたがりながら、震える声でつぶやいた。コーヘイが腕を上げればはめられた手枷の鎖がジャラリと嫌な音を立てる。 かつてこの世界に召喚された勇者コーヘイは、無事に魔王討伐を果たし、あとは元の世界に帰るだけのはずだったが――!? 「いや……いいけど、これ風呂とかどうすんの?」 「え! お風呂!? どうしよう……」 聖女と勇者の初めてのドキドキ監禁生活(?)がいま始まる!

貧乳の魔法が切れて元の巨乳に戻ったら、男性好きと噂の上司に美味しく食べられて好きな人がいるのに種付けされてしまった。

シェルビビ
恋愛
 胸が大きければ大きいほど美人という定義の国に異世界転移した結。自分の胸が大きいことがコンプレックスで、貧乳になりたいと思っていたのでお金と引き換えに小さな胸を手に入れた。  小さな胸でも優しく接してくれる騎士ギルフォードに恋心を抱いていたが、片思いのまま3年が経とうとしていた。ギルフォードの前に好きだった人は彼の上司エーベルハルトだったが、ギルフォードが好きと噂を聞いて諦めてしまった。  このまま一生独身だと老後の事を考えていたところ、おっぱいが戻ってきてしまった。元の状態で戻ってくることが条件のおっぱいだが、訳が分からず蹲っていると助けてくれたのはエーベルハルトだった。  ずっと片思いしていたと告白をされ、告白を受け入れたユイ。

大嫌いなアイツが媚薬を盛られたらしいので、不本意ながらカラダを張って救けてあげます

スケキヨ
恋愛
媚薬を盛られたミアを救けてくれたのは学生時代からのライバルで公爵家の次男坊・リアムだった。ほっとしたのも束の間、なんと今度はリアムのほうが異国の王女に媚薬を盛られて絶体絶命!? 「弟を救けてやってくれないか?」――リアムの兄の策略で、発情したリアムと同じ部屋に閉じ込められてしまったミア。気が付くと、頬を上気させ目元を潤ませたリアムの顔がすぐそばにあって……!! 『媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした』という作品の続編になります。前作は読んでいなくてもそんなに支障ありませんので、気楽にご覧ください。 ・R18描写のある話には※を付けています。 ・別サイトにも掲載しています。

離縁希望の側室と王の寵愛

イセヤ レキ
恋愛
辺境伯の娘であるサマリナは、一度も会った事のない国王から求婚され、側室に召し上げられた。 国民は、正室のいない国王は側室を愛しているのだとシンデレラストーリーを噂するが、実際の扱われ方は酷いものである。 いつか離縁してくれるに違いない、と願いながらサマリナは暇な後宮生活を、唯一相手になってくれる守護騎士の幼なじみと過ごすのだが──? ※ストーリー構成上、ヒーロー以外との絡みあります。 シリアス/ ほのぼの /幼なじみ /ヒロインが男前/ 一途/ 騎士/ 王/ ハッピーエンド/ ヒーロー以外との絡み

処理中です...