なぜか、同期のモテ男に好かれてしまったのですが…

325号室の住人

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「スカイはこっち。」

島津の緑色ジャージ姿に笑っていると、コの字のソファの左の辺に陣取る島津に呼ばれた。
近付けば腰を抱かれ、島津の膝に着地する。

行動に顔に身体に…スペックに服装が合ってなくて頭がバグを起こしそうになる。
すると、島津がズボンのポケットから瓶底眼鏡を取り出して装着。→不思議なことにただのヲタ青年に見えた。

見つめ合って微笑み返せば、島津は耳まで真っ赤になるし、父からは咳払いが…
コの字の中央に陣取る父だって、母に膝枕されてるからね! 他人わたしのこと言えないんだから!
ちなみに、コの字の右側のソファの旭さんと山代さんも、ダレスな山代さんが子泣き爺のようにシルヴァな旭さんに覆い被さるように後ろからハグしている。

──もう! この集まりは一体何なの???

私のその疑問は、島津が天井に向けたリモコンによって判明した。

たった1つのアクションで、リビングのカーテンが閉まり、部屋の照明が薄暗くなり、正面にスクリーンが現れ、何かが映し出された。

『総務部の掃除についての報告』

「へ? 総務部?」
「しっ!」
「ゴメン…」

『今回、スカイに危害を加える一団の存在が発覚したので、排除しました。』

この文章の次に映し出されたのは、総務部のネイラーズの面々のプロフィールと、私に何をしたか。

それから、彼女らが昨日付で退職または出向となり、どこへ行ったのかという報告だった。

最後に、主犯格として小出さんの名前が上がる。

彼女は婚約が決まり、自主退職となっていた。
あんなに執拗に島津に拘っていたのに、本当に大丈夫なのかしら。

少し不安気な表情になっていたのだろう。
島津を見上げると、見下ろす島津がいい笑顔をこちらに向ける。

「昨日の笑顔と同じ?」
「昨日?」

私は声を落として囁くように続ける。

「夜中に、今みたいな《良い笑顔》でスマホ見てたでしょ?」
「あぁ。この報告を読んでいたんだ。婚約者は、俺の知り合いなんだよ。」
「もしかして、葉巻の?」
「え! 匂いした?」

私は頷く。

「浮気だと思った。背広が薫ったから、抱き合ってたかと…」
「そんな気持ち悪いこと言わないでくれ。俺とあいつはそんな関係じゃ…」
「《俺とあいつ》…むふふっ…BLの香りがプンプンするね。」
「俺は、スカイだけなんだけど…」
「あかり…」

暫く見つめ合っていると…

「あー、はいはいはい…わかった。早く終わるから、ね。」

今度は母から声が掛かる。
母は今、父を膝枕しながら髪を手で梳いている。
父は、いつの間にか寝てました。

「私は、かわいいスカイが犯罪に巻き込まれなくて良かったと思ってる。
でも、彼女たちを犯罪に巻き込むのもイヤだから。もうこれ以上はハンコ押さないからね。」
「ハイ!」
「御意!」
「承知です!」
「え? なんで母さんが…」
「スカイ。あなたの会社の社長よ、私。」
「「「「え…知らなかったんだぁ……」」」」

私はまた1つ、秘密を知ったようです。


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