なぜか、同期のモテ男に好かれてしまったのですが…

325号室の住人

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「スカイ、お待たせ。」

部長室に迎えに来てくれた島津を見て、もう終業時間だと気付いた。

「あっ…ごめんなさい。私ずっとお父さんの仕事を…え? 私の業務も!」
「大丈夫。異動の日は有休みたいなものだよ。
それでは部長、失礼致します。さぁ、スカイ。荷物があるから、嫌だろうけど車で。」

島津は申し訳なさそうに私に車のキーを見せる。
大振りなシルバーのキーホルダーがギンッと鳴って存在を示した。

反対の手で島津は私の肩を抱き、そのまま助手席のシートまでエスコートしてくれた。

運転席に乗り込んだ島津が、シートベルトの前に私に顔を寄せる。

チュッ

自然な流れで私が瞼を下ろした瞬間、島津の唇が私の唇に触れた。

瞬間、葉巻の匂いがふわっと香った気がして、でもその時には運転するのに窮屈だからと無造作に上着を脱いで後部座席に放り…
シートベルトを装着していたので、話題に出さずにそのまま忘れた。



「あのさ、スカイ。どこか食事に寄らない?」

私は頷こうとして、でも少し窮屈なお腹回りを見下ろして、

「ごめん。先に着替えたいかな…」
と答えた。

島津の視線が私の足を撫でるように動くから、ちょっと恥ずかしくなる。

「確かに、スカイの足を誰かに見られるのはイヤだな。うん。
それじゃ、一度帰ろうか。」
「わかったわ。」

車がなめらかに動き出す。
私は島津を眺めていると、車酔いすることなく島津の住む父名義のマンションに到着した。



車で地下駐車場に入ったところで、大きなホテルのポーターさんといった衣装を身に纏った男性が運転席に近付いてきた。
島津はキーをその人に渡すと、助手席側にまわって私の手を取った。

以降、車はそのポーターさんが動かしてくれるとのこと。
私は島津にエスコートされたままエレベータへ滑り込み、

ポーンッ

エレベータが止まると、ドアが開いたそこは島津の家の玄関だ。

玄関に入ってロックをすると、そのまま壁に押し付けられるように捕らえられ、キスを受ける。

どんどん深くなるキスに、盛大なリップ音を響かせながら抱き上げられ、気付けば寝室のベッドで島津を見上げていた。






深夜だろうか。
次に瞼を上げた時、私は島津の腿を枕にしており、島津はスマホを眺めて機嫌の良い笑みを浮かべていた。

声を出そうとしたものの、掠れて囁くような声しか出せないのに気付いた島津に抱き起こされ、口移しで水を飲ませて貰った。

何度か水を貰うと、まるでそれが理由で目が覚めたかのように私の瞼は下りてくる。

──島津は、スマホの何を見ていたのかな。

気になったものの、眠気に負け…
次に瞼を上げると、もうすっかり日の高い時間だった。

平日なのに!


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