なぜか、同期のモテ男に好かれてしまったのですが…

325号室の住人

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  27 ザマァ挑戦回 苦手な方は今回はお休み

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本丸であるあの変な女の向かいに座るのは、スカイのロッカーを荒らそうと計画していた女だ。

まずは部長に女を呼び出すように言って、銀行へ渡す書類入の封筒と会社の金を持たせる。

で、銀行まで無事に到着したと思ったその時スリに遭わせる。

女はがめついことで有名なので追い掛けるだろう。
そしてそのままここへは暫く戻らないだろう。

その内に部長に被害届を出させ、あとは警察に動いてもらう。

警察での事情聴取の中で、女の鞄から消えた金額と同じ小切手が見つかり…

ここへは戻ってこられないのではないか。






それから次は…

俺と山代さんが結婚だなんて気持ちの悪い発言をしていたあの女。

そいつには1つの縁談を作ってきた。
極度の女嫌いから《女に男装させて侍らせる》のが好きな、C社長の息子の嫁だ。

外面は大変良く好青年に見える彼は、普段は父親が社長を務める製薬会社の研究員をしている。
息子は怪しげな薬の実験体を、父親の社長は息子の言いなりになる嫁を探している。
そして俺は、父親の方の小さな弱点を知っている。

午前中はこの会社に出向いていたのだ。

今日の就業後、この女はとある海外映画を見に行くとのネット上の発言を仕入れ、その隣のリザーブシートを件の息子に充てる。

あとは、外面と外見の良い息子に丸投げだ。
息子の健闘を祈りつつ、俺は最後のひとりの元へ向かった。






俺は、あの女にも俺ではない結婚相手を見繕ってやろうと考えた。

相手は…
裏で《手を出せば末代まで定住できない》と言われている兄を持つ、アプリ制作会社の社長で俺の同級生だ。

昔から本性としては鬼畜で…
ただし外面は優等生タイプで大人受けの頗る良い、
だからと言って内弁慶と言う訳ではなく裏や地下に悪い顔を持つ、
人をこっそりと何重ものトラップに掛けて陥れては、ほくそ笑むような、
誰にも興味を示さず、弟だけを愛している男だ。

確か、何度か婚約の経験があるが、俺の中の最新状況では昨年破棄になっていたはず…

奴にとっての飯時を狙って連絡を取れば、二つ返事で食事することとなった。



会社の正面玄関に迎えに来た黒のクラウンに乗り、やって来たのはどこかの料亭だった。
ちなみに、世の中ティータイムといった時間帯である。

女将はまだ出勤前なのか、番頭さんが離れの個室へ案内してくれた。



「やぁ、名前だけかわいいボクの友人!」
俺は苦笑いで右手を挙げて応える。
まぁ、いつもの対応だ。

「どうだ? 抱かれる気になったか?」
これもいつもの反応だ。

「いや…それより、今日はお前に預けたい…いや、もう俺の前に姿を現さないで欲しい女が居る。」
「消すのか?」
「いや、そこまでは…」
「社会的に?」
「いや、そこまででも…」
「なんだ。つまらん。」
「人の話を聞かない。自分が誰からも愛されると信じている。俺に纏わりついてくる。俺の最愛に手を出した…」

指を折りながら奴に伝えていると…

「最愛? お前、とうとう捕えたのか。どこに囲ってるんだ?」
「囲ってなんかない。まだ、いや、ずっと自由で居てもらうつもりだ。今のところは。」
「お前の意識が最愛に向けば、益々俺との関わりは減るじゃないか。」
「……んー、それじゃ…半年に1回は会ってやるよ。」
「半年? 今と然程変わらない。」
「最愛が居るのに、だぞ? …………わかった。4ヶ月に1回だ。」
「年に3回…」
「年に3回も! だ!!」

すると、奴は俺の頰をするりと撫で、乙女なら完全に気絶してしまいそうなとろける笑顔を向けると…

「わかった! 許してやろう。」

俺は、背中をゾワゾワとさせながらも笑顔で頷いた。

「名前は小出だ。」
「知ってる。お前の周りをチョロチョロしている生き物は全部。」

俺は、今日もこの目の前の男の機嫌を損ねなかったことに感謝しつつも顔を引き攣らせながら、会食会場を後にした。


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