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26 ザマァ挑戦回 苦手な方は今回と次回はお休み
しおりを挟む「スミマセン! 大至急第1会議室でお茶を淹れてもらいたいのですが。」
営業の後輩その1の昼飯代で、総務部でスカイと机を並べている女子社員に雑用を依頼してもらった。
実際、この会社では四半世紀ぶりとなる《お茶汲み》だが、この女子社員はわかっているのか。
第1は取引先でも大口の人間がやって来る時に使用する。
先ほどスカイを迎えに行きながら、総務部の会議室使用のホワイトボードに、イケオジ枠で有名な社長のA社を書いてきた。
女子社員はそれを確認すると、普段よりキーの高い声で返事をし、手櫛で髪を整えながら第1会議室へ向かった。
第1には会議室内に給湯室がある。
会議室の出入口とは別の、廊下から直接出入りできる勝手口のような扉がある。
そこへ女性社員が入ったのを確認した俺は、直後に1枚の契約書類を手にした我が社の社長秘書が、俺と目配せをしてから会議室側の出入口へ向かうのを見た。
彼女にはこれから、A社へ転職してもらう。
ただし、転職先はイケオジ社長の祖父にあたる名ばかりの名誉会長であるノゾキ趣味の色ボケじじいの家政婦その13だ。
この女性社員は、姉によるとスカイの更衣室での盗撮を企てていたとのこと。
俺の最愛のスカイに…許せない!
ほんの数十分で、秘書が手にした契約書のサインと押印を見せながら静かに廊下を歩いて行った。
どうやら彼女は転職に成功したらしい。
俺は、次の計画へ移行した。
「スミマセン。第1の後片付けを頼めますか?」
総務部への使いは、後輩の男性社員その2。
彼は小柄なことを利用して…いるかどうかはわからないが、上目遣いになりながら、姉の補佐をしている女性社員を呼び出した。
この女は、先ほどスカイに最初に水を掛けた奴だ。
第1会議室は既にもぬけの殻。
しかし、罠を仕掛けてある。
片付けのため会議室内の給湯室の水道の蛇口を捻ると水が噴き出すようにしてあるのだ。
全身ずぶ濡れのところに配達員から荷物のようにタオルを受け取らせてサインを求める…が、そのサインは我が社の退職届のサインなのである。
あとは、この会社から追い出してしまえばいい。
スカイを酷い目に遇わせながら、あたしは《クビはいや》などと自分の保身を願ったのだ。
資格など何も持たない女だ。再就職は難しくなるだろう。
そうして頭の中でシュミレーションしている間に、仕込んでいた配達員が貰ったサインをこちらに見せながら歩いてきた。
彼の仕事は、その書類を社長に届けること。
先程の社長秘書がその書類に判子を押せば、彼の仕事は完了となる。
こうして2人が片付いた。
掃除の対象はあと3人。俺は次のターゲットの元へ急いだ。
総務部から戻った俺は、一度社外へ出て取引先B社の女と最寄りのコーヒースタンドで落ち合った。
彼女は直属の上司からのパワハラに長年苦しんでおり、自分の身代わりとなる生贄を探していたのだ。
彼女が直属の上司を跳び超えた上司から預かっていた書類を確認し、彼女の上司としてサインをした。
これで、スカイに散々暴言を吐いていた女は彼女の会社への出向が決まった。
今日の終業時には掲示させる出向命令。
示された社名は、そこそこ有名な企業さんの名前。
そこの広報への出向は、またとない好待遇を想像させるのだが…
スカイに暴言を吐いていたのだ。
明日からはそれが自分に降り掛かるだけだ。
本望だろう?
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