なぜか、同期のモテ男に好かれてしまったのですが…

325号室の住人

文字の大きさ
上 下
5 / 32

  5

しおりを挟む

スカイとはなかなか話せない日々が続いているが、先日はファストフード店のウィンドウ越しに顔を合わせた。

最初はこちらに気付いておらず、レアな眼鏡なしの状態でスマホを眺めてた。

頬を朱に染め、フニャッとした笑みを浮かべるスカイ。
眉間に寄せたシワも相まって、何だか色っぽかった。
最終的には瞳を潤ませているのを見て、俺はついムラッと来て、そちらへ近付いてしまった。

目元をマッサージした後に顔を上げたスカイと一瞬目が合ってしまい、ドキッとした拍子に俺の本能が目覚めるような気がして、慌てて会社のトイレに駆け込んだ。

その日の午後は下半身をスースーさせて過ごす羽目になったけれど、やっぱり俺はスカイが好きだし、スカイとは男女の関係になりたいとも思っていることを実感した。

そこで翌日、資料室で迫ってきたスカイの後輩の女から手渡された趣味じゃないマグカップをダシに、スカイと数年ぶりに会話をすることに成功した。

しかも事故ハグもしたし、俺の腕の中で眼鏡を外したところを間近で見られたし、本当に幸せだった。

けれど、デートの誘いは突き放されるように食い気味に躱され、しかも走って逃げられた。

久々に聞いたスカイの声はとてもかわいらしく、直後にトイレに駆け込んだのは言うまでもない。

──また、話せるといいな…

俺の片想いは、まだまだ続きそうである。






昨日の給湯室で島津と会話したところを、後輩の小出とすぐ上の上司のネイラーズに見られていた。

朝から島津との関係を根掘り葉掘り…
心的ストレスが半端ない。

「スカ先輩って、確か《王子様》みたいなタイプが趣味なんですよね?
ソレって、まんま島津主任じゃないですか!」
小出にネチネチと言われる。

あの時は確か、《王子受が好み》だと自分が腐女子であるとカミングアウトしたつもりだったのだが、どうやら受け取った相手の解釈でのリスニングだったらしく、肝心なところが抜けている。

「島津く…いや、主任は違うよ。今はしてないけど、ちょっと前まで結婚指輪してたじゃない? 私、できたら初婚の人がいいから。」
「そうかぁ。スカ先輩、もう四捨五入したら三十路っていうか、30台に片足突っ込んでますもんね。お付き合いするなら次は結婚相手ですよね。」
「だったらさぁ、スカちゃん今日はアタシに付き合いなさいよ。
で、来週末は婚活パーティーに行くわよ!!
これは上司命令だからね。」
「……………………は?」

そうして私は、ネイラーズの思い付きによる傍迷惑なパワハラに、強引に付き合わされることになった。






「なぁ、総務部に儚い系の美人が入ったって?」
「何言ってんだよ、前から居ただろ? 斉藤さんだよ。」
「斉藤……? あの眼鏡の?」
「そうそう。最近、眼鏡替えて顔がよく見えるようになったんだよ。あと髪型もメイクも変わった。」
「え…あの?」
「そうそう。それに、服装もさ、スカート穿くようになっただろ? 足がキレイなんだよな。足首がキュッとしまってさ。」
「それに、意外とスタイル良くね?」
「だよな。やっぱり《階段族》は違うよな。お前もやれば? 腹ヤバいぞ!」
「アハハハ…」

スカイと給湯室で過ごした翌週の金曜、軽食を貰おうとやって来た食堂で俺は耳を疑った。
昨日までは出張でずっと地方を巡っていた。

《総務部の斉藤さん》とはスカイのことではないのか。

スカイの魅力が周りにバレてしまったのか?

想像よりライバルが増えてしまったようで、俺は頭を抱えた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完璧美人の私がうっかりスカートを穿き忘れた事がキッカケで恋に落ちた話

春瀬湖子
恋愛
大手商社の受付として働く社会人四年目の久保美月は、ここ最近の同僚からの嫌がらせに辟易していた。 そんな日々のイライラのせいか、ある日熱を出してしまう。 意識朦朧としたままいつものように制服に着替えて持ち場へ行った美月だったのだが、おや、なんだか下半身がスースーする⋯? “こんな失態したことないんだけど!!” スカートを穿いていないことに気付いた美月を助けてくれたのは社会人二年目、営業部の水澄結翔で⋯。 助けられたことをキッカケに少しずつ親しくなる二人は-⋯ ※本編は全年齢、番外編のみR描写ありとなっております。 ※他サイト様でも投稿しております。

KNOCK

菅井群青
恋愛
そのドアを開けるとあの人の元へと繋がっていた── トントントン……7回ノックをする時だけ嫌いなアイツの部屋へと繋がる。犬猿の仲である男女がドアを通じて心を通わせていく。 私は5年後のあなたへ会いに行く 俺は5年前のあなたへ会いに行く ドアの向こうにいるあなたをもっと知りたい…… すみません、至らぬ点あるかもしれません……初めての執筆ですのでご容赦ください。温かい目で見て頂けると有り難いです(*´꒳`*) 完結しました!(2019/06/20) ※番外編完結しました!(2019/06/27)

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

私を抱かないと新曲ができないって本当ですか? 〜イケメン作曲家との契約の恋人生活は甘い〜

入海月子
恋愛
「君といると曲のアイディアが湧くんだ」 昔から大ファンで、好きで好きでたまらない 憧れのミュージシャン藤崎東吾。 その人が作曲するには私が必要だと言う。 「それってほんと?」 藤崎さんの新しい曲、藤崎さんの新しいアルバム。 「私がいればできるの?私を抱いたらできるの?」 絶対後悔するとわかってるのに、正気の沙汰じゃないとわかっているのに、私は頷いてしまった……。 ********************************************** 仕事を頑張る希とカリスマミュージシャン藤崎の 体から始まるキュンとくるラブストーリー。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...