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本編

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ドッシャーーーーン!
バシャァァンッ!!
「「「「「おおおおおーーーーー!!!」」

やって来たあの草原。
その先の断崖絶壁のその向こうの海では、巨大蛸と第5戦艦とが今まさに死闘を繰り広げていた。

第5所属の騎士…いや、剣士たちが各々の得物を手に、果敢に巨大蛸に向かっている。

ドォォォン!!

巨大蛸の足の1本が第5の甲板を襲えば、

「「「「「「ウオォォォーーー!!!」」

幾人もの剣士が各々の得物を巨大な足に突き立てる。

ザアァァァーーーンッ

巨大蛸の足の吸盤が第5に貼り付き、ひっくり返し転覆させようとすれば、

「「「「「「なんのこれしきぃぃ!! 第5はそんなにヤワに作っとらんけぇ!!!」」

第5の技術屋達が、機関室にて自らの筋肉に物を言わせ、ハンドルを力いっぱい開放し、

タタタンッ

巨大蛸の吸盤が次々剥がれ、怒った巨大蛸が今度は甲板目掛けて足を2本叩き付け、他の2本の足で第5を巻き付け締め付ける。

「「「「「「負けてたまるか!!」」
「今だ! 全て切り落としてやります!!」
「「「「「「「うぉぉぉぉー!!」」

ハンスの剣が煌めき、5本の足を胴体から切り離した。

ギュヤアアァァァーーー…

巨大蛸─タコチン─と、第5所属の面々との戦いは続く。






私は、断崖絶壁の上から見降ろしていた。

もちろん、見えているのは米粒大のわらわらと、新品の消しゴムサイズの船と飯蛸だ。

「おみゃーさんには見えのんか? 今タコちんの足がひーふーみー…5本、胴体から離れて…いや、うまくしよったのう、5本全て甲板に打ち込んどる。今年は大豊漁じゃて。」
「副団長様、目が良いのですね。」
「あぁ。ワシは老眼じゃて。近くより遠くのが得意なんじゃ。」
「そうなんですね。」

「お! あと2本もやりよったばい! じっちゃん!」
「ほうほう。ぁあー! 何をのんきに。ちゃっとやらんかね。だだくさ時間を使いよってからに!!」
「そぎゃん…ぐらしかよ!」

──どうやらお二人も転生者みたいね。どの方言なのかしら。全然わからないわ。

「わけくちゃわからんか?」
「え?」
「あぁ、何もわからないか?」
「そうですね。」
「おるがらはぁ~」
「へ?」
「俺達は、みんな第5から始めるからね。しかもタコちんとの死闘は第5の最終試験なんだ。じっちゃはもう、何十回と見てるからな。いつもこの場所で見とるらしい。」
「はぁ……」
「そっちじゃない? あぁ、言葉のこと? 俺達転生しても、ちょっと方言残っちゃうみたいなんだよ。
特に興奮してくるとね。辺境騎士団なんてそんなんの集まりだから、みんなのが交ざって何だかもうわからんくなってぇ~。」

副団長様の側近様は、困ったように頭を掻いた。

「そうなんですか。」
「おみゃーさん、わかっとらんかったんか。ワシはてっきり、戦いの行方が見えてないだけじゃと…」
「大丈夫ですよ。わかったところもありましたから。」
「はぁ…だんだん。」
「だんだ…?」
「あぁ、《ありがとう》って。じっちゃに気ぃつこうてくれたんやろ?」

私は、曖昧に笑った。


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