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本編

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午後になり、捜索に参加するため砦からやって来た辺境伯騎士団員が辺境伯邸に挨拶に来た。

率いていたのは、休暇中のためマーロン様ではなく中隊長の方がお2人。他に騎士の方々が34人の計36人だった。
辺境伯家のお嬢様その2であるアスカ様は、3日間のお勤めを全うしてからこちらへやって来るのだそう。ご苦労さまです。

今日はこのまま、辺境伯邸のほぼ隣に位置する騎士寮へ1泊してから、辺境騎士団の詰所へ発つとのことだった。

私もお世話係にと呼ばれるかとも思ったけれど屋敷からは呼ばれず、辺境騎士団の寮の食堂のオバチャンからのヘルプで、皿洗い部隊としてお手伝いに参加した。



夕食タイムを終え、寮の裏口からごみ捨てに出た時のこと。

「お嬢さん、かわいいね。もしかして、フレリアちゃん? 《》?」

振り返るとそこには、ライド様やハンス様より線の細い若い男性が3人。

「やっぱりそうだ。モノホンのフレリアちゃんなんて、お兄さんたち滾っちゃってココがこんなで困っちゃ~う。」
「流石にさ、一応貴族のご令嬢なんだし、処女膜に穴は開けらんないけどさ。」
「その大き過ぎるお胸に挟んで、オレらのこれ、慰めてよ。」

男性の1人がこちらに手を伸ばしてきた時…

キュィィィーーーンッ

瞬間的に、剣精サマの結界が発動して、男性の手を弾いた。

「何だ? 結界?」
「魔導具かよ! 生意気だな。」
「オレ達がモブだからって、ヒロイン様は随分酷い手を使ってくるじゃん?」

そうして、3人に周りを囲まれた。

手首に巻いた魔術師の編んだ組紐を解いて握り締める。

「え、何? それで何するつもり?」
「鞭とか? いや~ん、女王様ぁ…」
「「「ガハハハハ……」」」

どうやら酔っている様子の3人。

その時だった。
急に足元が白くキラキラと光ると、下からスポットライトを浴びたように眩しく感じた。

『フレリア……』
──誰?

名前を呼ばれたような気がした瞬間、視界がぐるぐると回転した。

瞼を上げると、目の前に抹茶色の体毛、耳と耳の間にだけ生クリームを落としたように真っ白の毛が乗った狼なのか犬なのかが現れ、男達を蹴散らした。

男達のスボンのお尻を噛み千切った狼なのか犬なのかは、騎士団の寮と辺境伯邸をぐるりと回ると、また私の足元へ戻って来て白いキラキラと共に消えてしまった。

不思議なこともあったものだと思いながら、食堂のオバチャンに挨拶をしてから使用人寮のシュカの部屋へ向かう。

シュカは穏やかな表情ながら、眠ったままだった。

それにしても…
さっき私を助けてくれた生き物って、何だったのかしら。
あの色合いには心当たりがあるのだけど……?

そうして私は、今晩もまた、シュカのベッドに突っ伏して眠ってしまった。


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