【本編完】しがない男爵令嬢だった私が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について A-side

325号室の住人

文字の大きさ
上 下
9 / 49
本編

  9

しおりを挟む

そんなこんなで、ライド様のご実家から辺境へ旅立つ日がやってきた。
移動には獣道のような森を進むこともあるため、野営ができるように馬車を使うことになった。
ライド様と向かい合い、楽しく話しながら移動し、夜は馬車の中で手を繋いで眠った。

成人前なのでケジメをつけたいだなんて、真面目な人だ。

そうして3日過ごした夜のこと。

何だかエッチな夢を見てしまってふと目を覚ますと、私の上には剣の精霊こと剣精サマがいらした。

『なぁフレリア、せぇへん?』

私の右手の先にはライド様が居るのに、剣精サマは胸の尖りを弄ってくる。

『ほら。もうわいは準備万端や。』

見せられたのは反り立つモノ。

『わいは精霊やから、突っ込んでも膜は破れへんねん。気を抜くと透過してしまうんやね。
それに膜があっても、その向こうまで弄ってあげられるし、こうして…』

夜着越しに下腹部に触れたはずの剣精サマの手が、孔の先、膜の向こうの奥を撫でた。

ドクンっ

「……あっ…ぁあっ…あん!」

『わぉ! キュンキュンしたん? 襞がうねってるのってホントなんやね。
やっぱ手より、わいのイチモツ突っ込みたいわ。
なぁ、ええやろ?』

すごく綺麗な男の人が甘えて強請ってくるギャップ萌えと、ナカの強い快楽に屈してしまいそうになった時…

ピクッ

右手の先が動いた。

『あがっ…何をするんや! わいはお前の持つ最強の剣の精霊、剣精サマやぞ!』

剣精サマはあっという間に髪型をパイナポーにされると、そのまま蕪でも抜くみたいに私から引き剥がされる。

『ぁぎやぁぁぁぁぁぁーーー!!』
チャキーンッ

魔王が討伐されての断末魔のような声で叫ぶと、鞘に収められた。

ライド様はそのまま、自分の髪を結っていた紐で剣精サマをぐるぐる巻きにしてポイっと放ると、私を抱き締めてくれた。

正直、ライド様の熱くて硬いものを服越しに感じてしまい、お腹の奥が疼く。

そんなライド様は、自分の体の状態が私にバレていないと思っているのかとぼけているのか、私を緩く抱き締めて背中を擦ってくれる。

でも、ライド様の腕の中はとても安心できて、朝まで安眠することができた。



馬車の窓、カーテンの隙間から漏れる光で目が覚めた。
衣服に乱れはなく、無事に朝を迎えられたことに安堵した。


「フレリア?」

右側から、寝起きのスカスカの声に呼ばれる。
右手の先へ顔を向けようとすれば、

『フレリアの相手はわい。』
と、左側から剣精サマにキスをされた。

「フレリア!」
右手を強く引かれる。

でも、唇を固く閉じていても剣精サマの舌は私の口内を嬲…ろうとしたのだろう。

しかし、

『痛たた…禿げるのはイヤや! やめぇ!』

ライド様にまたしても頭の天辺の髪を鷲掴みにされ、舌を突き出したままの剣精サマは、

チャキーンッ

ライド様の手により鞘に収められ、今度は、桐の箱に収められた魔術師により編まれた組紐でぐるぐる巻きにされ、窓から身を乗り出したライド様によって馬車の屋根の上にある荷台へ積まれてしまった。


「ハァッ…せいせいした。」

ライド様は手をパンパンと払いながら馬車の中へ戻ってきた。

窓の外からは小鳥のさえずりが聞こえるが、辺りはまだ静かだ。

車内を寝台スタイルから座席へと戻すと、掛けたライド様の膝へ迎えられる。
抱き締められると、ライド様は私の耳元へ囁いた。

「まだ早い。もう少し眠ると良い。」

柔らかで耳触りの良い低音に、穏やかな息遣い。
私はライド様の心音に耳を澄ませ、うとうとと再び眠りについた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

秋月一花
恋愛
 公爵令嬢のカミラ・リンディ・ベネット。  彼女は階段から降ってきた誰かとぶつかってしまう。  その『誰か』とはマーセルという少女だ。  マーセルはカミラの婚約者である第一王子のマティスと、とても仲の良い男爵家の令嬢。  いつに間にか二人は入れ替わっていた!  空いている教室で互いのことを確認し合うことに。 「貴女、マーセルね?」 「はい。……では、あなたはカミラさま? これはどういうことですか? 私が憎いから……マティスさまを奪ったから、こんな嫌がらせを⁉︎」  婚約者の恋人と入れ替わった公爵令嬢、カミラの決断とは……?  そしてなぜ二人が入れ替わったのか?  公爵家の令嬢として生きていたカミラと、男爵家の令嬢として生きていたマーセルの物語。 ※いじめ描写有り

根暗令嬢の華麗なる転身

しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」 ミューズは茶会が嫌いだった。 茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。 公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。 何不自由なく、暮らしていた。 家族からも愛されて育った。 それを壊したのは悪意ある言葉。 「あんな不細工な令嬢見たことない」 それなのに今回の茶会だけは断れなかった。 父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。 婚約者選びのものとして。 国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず… 応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*) ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。 同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。 立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。 一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。 描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。 ゆるりとお楽しみください。 こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

処理中です...