15 / 22
協力者
しおりを挟む「…と、いう訳で母上。カイルの残念会をしましょう。」
母上は僕の方を不思議そうに見た。
「名も知らないけれど、ずっと一緒に居たいと思う娘がおります。
それが、やっと数年前に父親の家名がわかって、父上にお願いしたら………………」
「あら。あらあらあら、そうだったのね!」
「けれど現れたのは違う女性で、しかもカイルの初恋の女のコは…」
「そうだったのね。もしかして、テディって?」
「テディは僕のことです。ずっと部屋にあった白いテディベアに魔法で僕の意識を乗せて、野薔薇の迷路で迷子になっていた彼女を助けたのが出会いなので……」
「まあ! まあまあまあ!!」
「どうです?母上。カイルの初恋の彼女にお心当たりが?」
「えぇ。もちろんよ! その子は私の姪、アネットですもの。
スカーリー侯爵家の娘というのも正解。
けれど、先月婚約してしまったのも正解。」
母上はそこまで言うと、正面から僕を見据えた。
「実は今、探っている事があるの。あの子はとても優しいし、幸せになってもらいたいわ。
もし、カイルのアネットへの気持ちが消えないと言うなら……
どう? 待てる?」
「はい。僕は、彼女じゃないといやです。彼女が欲しい。彼女以外はいりません。
まだチャンスがあるなら、諦めません。待ちます!」
僕の宣言に、母上はゆっくりと頷いた。
「宜しい。カイルの覚悟はわかりました。《その時》を待ちなさい。」
あれから、どれほどの時をじれじれと過ごしたか。
派手で高飛車な、《王子妃》をブランドバッグか何かとでも思っているんじゃないかという、媚びたような……それを見る度に思い出すのは、彼女のあの純真さ。
まぁ僕だってわかってる。
あの純真さは、子どもだったからだろう…と。
けれど忘れられないんだ。
僕は彼女の笑顔が見たい。
彼女の1番近くで……
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された悪役令嬢はモフモフと幸せに暮らしたい
六角
恋愛
エリザベス・フォン・ローゼンバーグは、王国一の美貌と才能を持つ令嬢だった。しかし、彼女は自分が前世で読んだライトノベルの世界に転生していることに気づく。しかも彼女はその物語の悪役令嬢で、婚約者である王太子に裏切られて処刑される運命だった。エリザベスは自分の命を救うために、王太子に先手を打って婚約破棄を宣言する。そして彼女は自分の屋敷に引きこもって、愛する動物たちとモフモフとした生活を送ることを決める。しかし、彼女の平穏な日々は長くは続かなかった。王太子の弟である第二王子レオンが彼女に求婚してきたのだ。レオンはエリザベスに一目惚れしたと言い、彼女の屋敷に押しかけてくる。エリザベスはレオンのことが嫌いではないが、彼が本当に自分を愛しているのか疑問に思う。そして、王太子や悪意ある貴族たちも彼女に目をつけていることを知る。エリザベスは自分の幸せを守るために、レオンや動物たちと協力して様々な困難に立ち向かっていくことになる。
入れ替わった花嫁は元団長騎士様の溺愛に溺れまくる
九日
恋愛
仕事に行こうとして階段から落ちた『かな』。
病院かと思ったそこは、物語の中のような煌びやかな貴族世界だった。
——って、いきなり結婚式を挙げるって言われても、私もう新婚だし16歳どころかアラサーですけど……
転んで目覚めたら外見は同じ別人になっていた!?
しかも相手は国宝級イケメンの領主様!?
アラサーに16歳演じろとか、どんな羞恥プレイですかぁぁぁ———
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
王太子殿下の子を授かりましたが隠していました
しゃーりん
恋愛
夫を亡くしたディアンヌは王太子殿下の閨指導係に選ばれ、関係を持った結果、妊娠した。
しかし、それを隠したまますぐに次の結婚をしたため、再婚夫の子供だと認識されていた。
それから10年、王太子殿下は隣国王女と結婚して娘が一人いた。
その王女殿下の8歳の誕生日パーティーで誰もが驚いた。
ディアンヌの息子が王太子殿下にそっくりだったから。
王女しかいない状況で見つかった王太子殿下の隠し子が後継者に望まれるというお話です。
断罪されそうになった侯爵令嬢が頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるに至るまでの話。
あの時削ぎ落とした欲
恋愛
流されるままに生きていた侯爵令嬢エリスは、元平民の自由奔放な少女と出会うことで心を取り戻していく。
ショートショート『断罪されそうになった侯爵令嬢、頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるが二重の意味で周囲から同情される。』の前日譚です。
Lord of My Heart 〜呪われ伯爵は可愛い幼妻を素直に愛せない〜
泉野ジュール
恋愛
オリヴィア・リッチモンドは都会育ちのお嬢さま。
ふたりの出来すぎた兄と、絶世の美女の姉のすみっこで何不自由なく生きてきた十九歳。しかし二十歳を目前にして、いまだ夢見がちなオリヴィアに辟易した父は、彼女に究極の現実を突きつけた──ノースウッド伯爵エドモンド・バレット卿との結婚だ。
初対面から冷たい夫、ど田舎の領地、何だか妙に偉そうな老執事……かくして始まったオリヴィアの新婚生活は、信じられない混乱続き!
世間知らずで純朴なオリヴィアと、厳しい現実主義者エドモンドの結婚から始まる恋の行方。そして、バレット家に伝わる「呪い」とは?
【中近世英国風ヒストリカルロマンス。カクヨム・なろうにも掲載中】
すぐ怒り出す婚約者が、ある時怒った勢いで婚約破棄してきました。なのでこちらは復讐として彼の職を奪うことにしました。~そして彼は破滅する~
四季
恋愛
すぐ怒り出す婚約者が、ある時怒った勢いで婚約破棄してきました。なのでこちらは復讐として彼の職を奪うことにしました。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる