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衝動
しおりを挟む「そうなんですね。わかりました。とりあえず今日は…」
僕は立ち上がり、ドアに近付いた。
ちなみにここは僕の家(実家暮らし)の僕の自室(リビングの真上)だ。
ドアノブを回そうとして、でもできなかった。
「は?」
「どうしたの?」
「いや、開かなくて。」
タツさんもやってみてくれて、でもダメだった。
僕らが途方に暮れた時…
ピンコーン!
「「わっ、びっくりした…」」
鳴ったのは僕のスマホだった。
「えと…『タツと一緒に以下を読みなさい』って。」
ピンコーン
「『父さんと母さん、今日から1週間、温泉旅館に行ってもらうことになったから』…え?」
「は?」
ピンコーン
「『アユはタツと楽しんで。ちなみに』」
「うん。」
ピンコーン
「『その部屋、体温センサーがついてて、ある程度《アツく》ならないとドア開かないよ。がんばって励んでね~♪』だって。」
僕はとにかく、エアコンの温度を最高に上げた。
タツさんは、それを最後に姉ちゃんからの着メが来なくなったスマホをよくよく読んでいた。
ブォー…
エアコンは、暖房の30℃に向かってガンガンに温風を吐いている。
確か大学でもテニスサークルに所属していたタツさんは、僕より代謝が良いのか顔が上気してきた。
「ごめん。限界だ。」
冬なので着ていたセーターを脱いたタツさんの、第2ボタンまで開いたガーゼ素材のシャツが汗で体に貼り付いている。
首筋を、汗が流れて行く。
タツさんから例えようのない、でもいい匂いがしてきて、僕は導かれるようにタツさんに近付き、彼の胸に手を当てて鼻を近付けた。
彼の匂いを胸いっぱいに吸い込む。
「……んっ」
彼から色っぽい声が漏れ、タツさんは顔を背ける。
彼の右手が僕の左手を掴み、胸から引き剥がした。
僕の左手の下には、シャツ越しにぷくりと主張する、うっすらと黒く見える…なんだ?
僕は顔を近付け、目を凝らす。
その時、僕はタツさんに抱き締められた。
彼の膝に跨り、肩口に顎を乗せるような体勢になった僕の背中から、2本の腕でギューギューと僕を締め付けながら、タツさんの声が…
「それ以上になると、俺イッちゃうから、やめてぇ…」
耳元に囁かれた声は、僕の中の快感を求めたい欲望を、目覚めさせ…
僕はたまらなくなって彼の首筋に思いっきり噛み付いた。
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