【完結】僕の覚醒

325号室の住人

文字の大きさ
上 下
2 / 3

  衝動

しおりを挟む

「そうなんですね。わかりました。とりあえず今日は…」

僕は立ち上がり、ドアに近付いた。
ちなみにここは僕の家(実家暮らし)の僕の自室(リビングの真上)だ。

ドアノブを回そうとして、でもできなかった。

「は?」
「どうしたの?」
「いや、開かなくて。」

タツさんもやってみてくれて、でもダメだった。


僕らが途方に暮れた時…

ピンコーン!

「「わっ、びっくりした…」」

鳴ったのは僕のスマホだった。

「えと…『タツと一緒に以下を読みなさい』って。」

ピンコーン

「『父さんと母さん、今日から1週間、温泉旅館に行ってもらうことになったから』…え?」
「は?」

ピンコーン

「『アユはタツと楽しんで。ちなみに』」
「うん。」

ピンコーン

「『その部屋、体温センサーがついてて、ある程度《アツく》ならないとドア開かないよ。がんばって励んでね~♪』だって。」

僕はとにかく、エアコンの温度を最高に上げた。
タツさんは、それを最後に姉ちゃんからの着メが来なくなったスマホをよくよく読んでいた。



ブォー…

エアコンは、暖房の30℃に向かってガンガンに温風を吐いている。

確か大学でもテニスサークルに所属していたタツさんは、僕より代謝が良いのか顔が上気してきた。

「ごめん。限界だ。」

冬なので着ていたセーターを脱いたタツさんの、第2ボタンまで開いたガーゼ素材のシャツが汗で体に貼り付いている。
首筋を、汗が流れて行く。

タツさんから例えようのない、でもいい匂いがしてきて、僕は導かれるようにタツさんに近付き、彼の胸に手を当てて鼻を近付けた。

彼の匂いを胸いっぱいに吸い込む。

「……んっ」

彼から色っぽい声が漏れ、タツさんは顔を背ける。
彼の右手が僕の左手を掴み、胸から引き剥がした。

僕の左手の下には、シャツ越しにぷくりと主張する、うっすらと黒く見える…なんだ?
僕は顔を近付け、目を凝らす。

その時、僕はタツさんに抱き締められた。

彼の膝に跨り、肩口に顎を乗せるような体勢になった僕の背中から、2本の腕でギューギューと僕を締め付けながら、タツさんの声が…

「それ以上になると、俺イッちゃうから、やめてぇ…」

耳元に囁かれた声は、僕の中の快感を求めたい欲望を、目覚めさせ…
僕はたまらなくなって彼の首筋に思いっきり噛み付いた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼女のお見合い相手に口説かれてます

すいかちゃん
BL
カラオケ店でアルバイトしている澤木陸哉は、交際している彼女から見合いをすると告げられる。おまけに、相手の条件によっては別れるとも・・・。見合い相手は、IT関連の社長をしている久住隆一。 だが、なぜか隆一に口説かれる事になる。 第二話「お見合いの条件」 麻里花の見合い相手と遭遇した陸哉。だが、彼には見合いをする気はないらしい。おまけに、麻里花に彼氏がいるのを怒っているようだ。もし、見合いが断られたら・・・。 第三話「交換条件」 隆一と食事をする事になった陸哉。話しているうちに隆一に対して好感を抱く。 見合いを壊すため、隆一が交換条件を提案する。 第四話「本気で、口説かれてる?」 ホテルの部屋で隆一に迫られる陸哉。お見合いを壊すための条件は、身体を触らせる事。 最後まではしないと言われたものの・・・。 第五話「心が選んだのは」 お見合い当日。陸哉は、いてもたってもいられず見合い会場へと向かう。そして、自分の手で見合いを壊す。隆一にも、2度と会わないつもりでいたが・・・。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

【完結】催眠なんてかかるはずないと思っていた時が俺にもありました!

隅枝 輝羽
BL
大学の同期生が催眠音声とやらを作っているのを知った。なにそれって思うじゃん。でも、試し聞きしてもこんなもんかーって感じ。催眠なんてそう簡単にかかるわけないよな。って、なんだよこれー!! ムーンさんでも投稿してます。

触手怪人が学園にやってきた!?

ミクリ21
BL
触手怪人の話。

23時のプール

貴船きよの
BL
輸入家具会社に勤める市守和哉は、叔父が留守にする間、高級マンションの部屋に住む話を持ちかけられていた。 初めは気が進まない和哉だったが、そのマンションにプールがついていることを知り、叔父の話を承諾する。 叔父の部屋に越してからというもの、毎週のようにプールで泳いでいた和哉は、そこで、蓮見涼介という年下の男と出会う。 彼の泳ぎに惹かれた和哉は、彼自身にも関心を抱く。 二人は、プールで毎週会うようになる。

司祭様!掘らせてください!!

ミクリ21
BL
司祭が信者に掘られる話。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

処理中です...