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しおりを挟む「冒険者アーリ…やっぱりアンリのことなのか?」
その日は、自室に戻ってからも仕事中も学ぶ間も、ポーラの思考は完全にアンリのことでいっぱいだった。
「アンリ……国王や王女に追われていたから、やっぱり捕まって……?」
──ならば、第2王子について行って、アンリを救出できないだろうか。
しかし、本当に王女の婚約者とはアンリなのだろうか。
ポーライルは、まずは情報収集として、実家である侯爵家と何か繋がりがありそうなマリーへ、アンリの無事を確かめる手紙を認めることにした。
一方、アンリは……
その日から、きちんと部屋に籠もって1日を過ごすことになった。
そんな数日後、父母から話があるからと父の執務室へ向かうことになった。
到着して入室し挨拶をすれば、指示があって父母と対面のソファに掛ける。
思えば、実家に戻って初めての対面だった。
気不味くて父母との間のローテーブルに置かれたお茶から立ち上る湯気を眺めていた。
「アンリ、顔を上げなさい。」
父からの指示に顔を上げると、父は怒った表情を、母は横を向いて頬を膨らませ、ブスッと不貞腐れていた。
アンリは首を傾げる。
「はぁ! アンリ、お前はどうして家でじっとしていられないんだ。
お前が帰ってきて、挨拶に来るかと思えば寝てる、説教しようにも不在、母さんが商人を呼んでお揃いのドレスを作りたいと呼びに行っても不在……お前という奴は! もう! どこから怒ったら良いのかわからん!!」
父の言い分はわかる。
けれど、先に軟禁したのはどっちだ。
今度は、静かに母へ視線を向けた。
「アンリちゃんが急に家出しちゃうんだもの。ママは心配したのよ?
なのに帰ってきたのに遊んでくれなくて!
ママだって…ママだって……アンリちゃんと一緒に、大冒険してバッタバッタと魔物をなぎ倒したかったぁーーー!!」
「ぐえぇぇぇ」
母は、辺境伯の血筋を受け継ぐ人間だ。
ただし、代々の辺境伯の筋肉に萌えた高位貴族や王女達が揃って美女ぞろいというのもあって、ものすごく可憐な見た目をしている。
けれど、中身としてはまんま歴代辺境伯なので、話す内容も付随する行動も、見た目と全く合わないのだった。
という訳で、現在は私と大冒険したかった母がスネてボヤきながら、父にヘッドロックを掛け…………
あ、父が白目になっている。
そろそろ止めるか?
「母様、そろそろ…………」
「ママって呼んで!!」
「ホイッと。」
「いやんっ」
「ゲホッゴホゴホゴホ…」
母が父から離れたので、父をこちら側へ回収した。
そう。私の外見や中身は、母が若い頃にそっくりだそうです。
ただ背だけは父似なので、私に可憐さは備わらなかったのだけど。
なので、父の回収も軽いモンなのだった。
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