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しおりを挟む「そういう訳で、クラウス。」
「なんだ?」
「君にはもう、僕の所有物になってもらうことにしたよ。」
ウィルは言うと、俺の上に被さるように乗ってきた。
「何っ!」
「だって、この城下だってスウィールの手の者が紛れてるんだよ?城の中に居ないと…いや、城の中の僕の部屋の中に居ないと、性奴隷にされてスウィールに捧げられてしまうらしいじゃない?」
ウィルは俺が恥ずかしくて閉じていた膝を割る。
「うん…そうだな。」
「ならさ、もう誰からも文句が出ないほど、僕のものになってしまえよ。」
ウィルは俺の唇に唇を押し当てると、少しだけ離れて俺を見下ろす。
俺は返答に困りながら、視線を泳がせるしかない。
「そうだ。良いものがあるんだった!」
ウィルは、枕元にあった手のひらサイズの丸い缶を俺の鼻先へ突き付けた。
「これ、スウィールの親衛隊経由で取り上げたんだよ。」
ウィルは俺の腿の上に跨るように座ると、缶を上下から挟む。
すると、ザーッという音のあとに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「『殿下』『俺の』……」
「は?」
「もっと音量を上げようか。」
ウィルが更に力を入れて缶を挟むと、先程よりも大きな音で聞こえてきた。
「『殿下』『俺の』『初めて』『くれてやる』」
「『殿下、俺のハジメテくれてやる』って言ったよね? クラウスの声で。」
「……確かに。でもさ、『初めて』って何だ?」
「君の貞操のことさ。僕の返事はこうだ。『よろこんで。』」
ウィルは言うと、また覆い被さって口付けを始めた。
これまでの何倍も荒々しく、静かな室内にくちゅくちゅという水音が響く。
俺がウィルの背へ腕を伸ばして引き寄せれば、胸の突起同士が触れ合って、頭の天辺までもビリビリと響かせた。
そうこうしている間に、ウィルの唇がリップ音を響かせながら首筋を下りて行く。
舌が鎖骨を撫で、胸の突起まで辿り着くと、
「ぁあっ…アンッ…は、ぁあんっ……」
俺の口は言葉と言うには拙い音しか発せなくなってしまった。
両手の指を胸の突起に残したまま、ウィルの唇は、舌は、臍へ到達し、そのまま俺のペニスへ触れ…
「ぁああああああーーーーー!!!」
思いの外大きな声を上げてしまい、同時にビクビクと体が跳ね、寝台が軋む。
自分の体なのに静止させることもできず混乱していると、いたずらっ子のような表情のウィルが視界に入ってきた。
心細かった気持ちが少しだけ和らいだので、俺はウィルの両頬を引き寄せ唇を合わせ、吸った。
ブッ
唇が離れる時に全然可愛くないリップ音が響いて、2人で笑ってしまった。
一頻り笑うと、俺の腿の間に居たウィルが俺の両足を抱えて肩に担いだ。
そして、これまで出すことだけを生業としてきた後ろに固くて熱いのが押し当てられる。
普段の仕事とは逆の方へと、それは埋め込まれる。
押し広げられる違和感は熱さで幾分かマシではあるものの、腹の中のモノが本来の定位置を越えて上がってくるような恐怖に心細くなる。
俺は両手を伸ばしてウィルを捕まえると、口付けをしてその恐怖を拭い去ろうとした。
ナカのものが密度を増し、もうこれ以上は無理だと思ったところで、
「はいった…」
ウィルが呟き、達成感というようなキラキラした表情で俺を見下ろした。
俺は手を伸ばしてウィルの頭を撫でると、ナカのモノがもう1段大きくなり、そして、ナカを擦り始めた。
「んあっ…くっ!……は、ぁあっ…はぁんっ…」
密度の大移動は、行きも帰りも前進も後退も、予想のできないところを擦って刺激を与え、俺に何度も星を見せ、突き抜けるような快感と貪欲な欲求を俺の体に享受させる。
──もっと! 休まず、はげしく、力強く、長いストロークで、もっと早く、ソコ、そこが1番イイ、欲しい、もっとだ、もっと!………
いろいろと感じても、俺の口から出てくるのは、喘ぐような、気怠げな、鼻に抜けるような、甲高いような、苦しそうな、喘ぐような音ばかりだった。
そうこうしているうちに、ウィルから大量の汗の粒が降ってくるようになった。
同時に俺の方も、逆上せたように頭も体も熱く、昂って駆け昇って行った。
そうして、ウィルの指の先が俺のペニスに伸び、切っ先に爪の先が触れた時だった。
「ぐわあああぁぁぁぁーーーーー!!!!」
「ぁああああぁぁァァァーーー!!!」
同時に背を反らせると切っ先から何かが飛び出し、熱いものが吹き出して同時に果てた。
こうして、俺はウィルのものになった。
ウィルは王太子を弟に譲り、隣国と繋がっていたとされる辺境伯を退任させて自分が後釜に座った。
だから、とりあえず辺境へ行くことはできた。
けれど、傭兵団には入れなかった。
来る日も来る日も砦の塔の天辺にある辺境伯の秘密の小部屋にて、愛を注がれているからだ。
それから暫くして、スウィールは自国である魔法国の封印の塔に幽閉されたと、風の噂で聞いた。
どうやら、親衛隊がもろもろやりすぎてしまったらしい。
魔法国国王直属の兵が親衛隊の潜伏先に突入した時、スウィールを神とした祭壇の最上段には、あの日俺がくれてやったスゥの肖像が飾られてあったとかなかったとか…
ま、今となっては確かめるすべはない。
おしまい
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