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決め手はニオイでした 王子✕貧乏男爵令息
おわりに
しおりを挟む慌てて馬車に戻って、幌の中でまずはツインテを解いてヅラとグローブをぶん投げ、着てきた服に着替えようとドレスの背中のチャックに手を伸ばした時だった。
何故かチャックが勝手に下り、肩にあった襟が二の腕辺りまで下がるとギュッとオレの両腕をそのまま拘束した。
そしてどういう訳か背中から釣り上げられると、オレは空を飛んで城の外壁に沿って駆け登るように移動し、上から数えた方が早い窓から中へ入ると、軟らかなマットの上に投げ出された。
やっとこさ体の向きを変えて仰向けになると、そこが大きなベッドの上、天蓋の薄布の中で、何故か先程見た白髪の王子が筋肉美を見せつけながら、腕組みしてオレを見下ろして舌舐めずりをしていた。
──あ、これダメなやつだ……
オレが悟るのとほぼ同時、音もせずに跳び上がってオレの上に覆い被さるように着地した王子がオレの耳元に囁いた。
「お前に決めた。」
と。
それからのことは、あんまり記憶がない。
気付いた時には、快楽に身を任せて掠れた声で喘いでいた。
オレのナカには挿し込まれた塊が、持ち主の腰の動きに合わせて跳ねては中の壁を抉るようにして強い刺激を与えてくる。
膝はだらしなく開きっぱなしで、たぶん口も開きっぱなしで、全身力が入らなくて、されるがままになっていた。
何度目かにイッた時だった。
体の中がカッと熱くなったと思ったら、頭の先から手足の爪先までその熱が駆け抜けた。
それからおでこに熱が集まると、目の前の王子がソコに口づける。
「どうやらうまく孕めたようだな。これでこの国の神にも認められた。これからお前は俺の番だ。」
顔の汗を腕で拭いながら、目の前の王子が言う。
「はえ? おでは、おとこれ……」
王子の言葉に返事をしようにも、顎がガクガクしてうまく喋れないが、目の前の王子は優しい目をしてオレを見下ろす。
それから右手を伸ばしてオレの頬に触れると、
「ところで、俺の最愛の名は、なんと言うのか?」
「はでぅ。はでぅとでぃあ・とうあすと。」
「ハデュ?」
その後何度か説明したけれど、王子の口からオレの名が紡がれることはなかった。
「あぁ、俺も名乗っていなかったか。俺は、この国の第3王子のリュンという。」
「ぎゅん?」
相変わらずうまく喋れないオレを、微笑んで許してくれるリュン王子。
「無理をするな。孕んですぐは精力を吸われすぎて眠いはずだ。」
返事をしようとして口を開くと、再び深いキスが始まり、ナカでは再び…いや、ずっと固かった塊が暴れ出す。
「ぅっふ…ぁあんっ! ん…んん…うっ…」
頭のネジが何本もトンだように、馬鹿になって快楽しか追えなくなる。
「ここに…俺とお前との子が…。ふふふ…たくさん精力を与えないと、俺のように番を鼻で嗅ぎ分けることもできまい。覚悟をしろよ、ハデュ…」
「おでは、はでぅら!!!」
その後、たったの数ヶ月で体毛の白い仔犬を出産することになることも、その仔犬のために出産までリュンのイチモツを抜かずに過ごすハメになることも、その時のオレには想像できなかったのだった。
おしまい
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