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決め手はニオイでした  王子✕貧乏男爵令息

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「あっぢぃ…」

余興用の女装セットは3つ。
ヅラ、派手なドレス、長い手袋…だ。

ヅラは、金髪の背中まで。
派手なドレスは、赤いドレスに黒い縁取りフリル。
長い手袋は、白のレースで腋の下近くまである。



〈ご令嬢らのお喋り〉
「あの方…すごい意気込みですわね…」
「と言いますか、昼間の茶会に赤と黒は強すぎませんか?」
「あら、あちらにケーキが出ましたね。」
「ということは、アレン王子のテーブルがあそこかしらね。」
「他も見に行きましょう。」



ヅラは、外れないように自分の赤毛を巻き込むようにツインテにしてやった。



〈ご令嬢らのお喋り〉
「あの方、あんなに髪を上げて。襟元が丸見えて…」
「まだお若そうなのに、はしたないですわ。」
「あ、あちらには肉料理が運ばれて行きますわ。」
「ということは、あのテーブルはスレン王子のテーブルですね。」



そしてこの長い手袋は、もちろん腕の筋肉や腕毛を隠すため。



〈ご令嬢らのお喋り〉
「あの方、あんなグローブをされて!」
「あんな《婚姻式》をイメージさせるものなんて常識知らずすぎますわ!」
「1番向こうが王太子リューレン様のテーブルみたいですわ。国内各所のフルーツがたくさん!」
「わたくし、リューレン様よりもフルーツに興味がありますわ。」
「わたくしも。」



さっきから、他家のご令嬢のお喋りは聞こえて来ていた。
でも、このドレスも手ぶ…いや、グローブ?もツインテも、オレにはどうしようもできない。
たって、他にこの城内に入れるような服は無いんだから。

そうだ。オレも国内各地のフルーツを見に行こう。
他の食べ物は味を見ないと正体がわからないが、フルーツならばここで下見をしておけば帰りに各地の市場に寄ってみんなへの土産にもできそうだ。

そんなちょっとした理由から、オレは1番向こうのテーブルを選んだんだ。

今となっては後悔してもし足りない、オレの選択だった。


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