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詰め襟の騎士団員と

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そんな、ある日のことだった。

シャワー中、とある看守がいつも俺を見ていることに気付いた。

そいつはだんだん俺に近付いて来て、マスをかき始める。

その看守により懲罰部屋へ連れて行かれたのは、その次の晩だった。

腕は前で枷をつけられ、そこにつけられた鎖で懲罰部屋の天井へ固定された。
そして、体を弄られた。

挿れられはしなかったものの、何度かイかされた。

その次の昼には、拷問部屋へと連行された。

懲罰部屋と同様に天井へ腕を固定されると、そこへ入って来たのはあの王弟だった。

体を弄られ、握られて扱かれながら、何故この国へ侵入したのかと耳元で甘く囁かれた。

でも、俺にとっては最初こそジョンのためという気持ちがあったものの、今は脳内ではジョンに棄てられたことになっている。
だから、たまに吠えながら、すっかりエッチな体に仕上げられてしまった。





そんな日々が数週間続いた頃だった。

昼間、手枷を付けられて牢を出された俺は、普段拷問部屋へ向かうならば下へ向かう階段を上がらされた。

そして、久々に拝むお天道様。
眩しさに手枷が嵌まったまま腕で陽射しを遮れば、夢ではなくきちんと手のひらに陽の暖かさを感じた。

鎖が引かれまた足を動かせば、俺が連れて行かれたのは王宮の端にある客室だった。

そこで、貴族のご令嬢のように体を磨かれ髪も洗われ香油を塗られ…
それから、薬を盛られた。




目が覚めた時、俺はベッドで四つん這いになって喘いでいた。

それまでの記憶は全くなく、でも腰やナカに違和感がある。
それに今現在も後ろから激しく突かれていた。

なぜか、あの日のシャワールームでのジョンを思い出した。

「ぁんっ! あんっぁああ…もうダメ…もう…もぅ……」
「まだだ。」
「ぁっぐうぅ…ひぃん!」

そうしてイって、崩れる体を裏返された時だった。

「! ジョ…」

その名前を呼ぼうとした時、強引に唇を塞がれた。
イってすぐだったので苦しい。
けれど、入って来た舌や舌の辿るルートはジョンのソレで…徐々に俺の心身からは力が抜け、視界は暗転してしまった。






次に目が覚めた時、1番最初に視界に入ったのは白地に金銀の刺繍が入った豪奢な上着の背中だった。

その背景は、陽射しの暖かな貴族家のサロン。
白いピアノに白の猫足の肘掛け椅子の上には白いヴァイオリン、白い薔薇が白地に金の模様が描かれた花瓶に生けてある。
白いレースの天蓋、白いレース編みの枕カバー、白いフリルのついたシーツ…

すると、貴族に流行りの銀髪のヅラの、リボンで結った毛先が揺れた。

振り返った顔はジョン。

──意外と似合ってるな…

「フィン…」

ジョンのスラリとした指先が、俺の頬を撫でる。

「薬は抜けたようだな。良かった。」

俺はジョンの指先に頬を擦り付けながら笑む。

「本物…なのか?」
「そうだよ。あ、この服装か? コレは変装のため。」
「?」
「オレさ、拐われたこの国の前王の末王子だったらしい。」
「王子?」
「うん…………っていう、設定。どんどん騙されてくれてさ。いや、ここはそうして得た、オレの家だ。」

そうしてジョンが教えてくれたのは、俺の生まれ育った国とは別の大陸の、そのまた北の端にある国の名だった。
その国ではこんな服装の貴族が住んでいて、1年の半分以上が雪で覆われてしまうから、こんなガラスでできたサロンみたいな家が多い。
髪は銀や金に近い白が多く、瞳は氷のような水色で…

改めてジョンの本来の姿を思い出すと、そういえば瞳はそんな水色だったな…まさか本当に?


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