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気付いたら人間? 投稿日を1日間違えてしまったので短いお話を。
登場人物紹介を兼ねた、はじまり
しおりを挟む「暑い…」
──人間の服って、マジ何なんだよ! こんなことなら馬でよかったのに…
オレの名前はシスタ。いや! それは本当の名前で、今の名前はゲイルだ。
オレは、今は人間だが、つい数時間前までは馬だった。
オレの上に跨るのは、王立騎士であるゲイル。
暫く戦があった国境沿いで駆けずり回ってたが、たまに王都へ凱旋する時には若い女の子から老女に片足突っ込んだ熟女までにキャーキャー言われて…
どうやらイケメンらしい。
ま、オレから見たら人間の男なんてみんな同じなんだが…
国境沿いのキャンプに常駐するゲイルは、いや、それ以外の奴らもだな。
女が居ない環境に、誰でも何かしらの欲求を抱えていた。
『《〇〇軒》のスタミナ丼が食べたい』だの、
『女を抱きたい!』だの、
『アソコが痒い』だの。
《妹の写真》や《婚約者の(香水の匂いがついた)刺繍入りのハンカチ》、《幼馴染お手製の髪紐》は高値で売られ、『おひとり様』のネタとして使われる。
終いには男同士で交尾したり、確か、そんな時だった。
《裸馬の背で腰を振るのはイイ》
そんな噂が広まったのは。
で、早朝やら夕暮れ時、火の番の仮眠時間なんかに裸馬を引いて行って、そこらで『おひとり様』してる奴が増えた。
女からキャーキャー言われてイケメンだと噂のゲイルもまた、例外ではなかった。
とある、比較的暇な昼間だった。
ゲイルの愛馬だったオレは鬣を掴まれ、森の奥の湖の近くまでやって来た。
ゲイルはまず、裸になって水浴びをした。
そこでまず一発、シようと考えたらしい。
でも水が予想より冷たかったんだろう。
奴の思う通りにはイけなかったらしい。…と言うのか、はたまたソレを装っていたのか。
体の水分をなんとなく拭ったゲイルはシャツだけを羽織り、鞍のないオレの背中へ飛び乗った。
そして、腰を振り始めたんだ。
「あ…イイ…この体温、それにこのザラザラも…ぅっふ…くぅううーーー…」
大の男が前や後ろをオレの背中に擦り付けて…ハタから見たらただの変態だって、奴はわかっているんだろうか。
いや、わかってないだろうな。
「ひゃっふ…うっふ…」
そのうち、自分の指も駆使ししながら後ろに前にと忙しくなったゲイルは、いつの間にかそこに盗賊が数人囲っていることにも気付いてなさそうだった。
ついでに上空を、隣国の魔術師が作り上げた術で雷雲がすごい速さで迫ってるのにも気付いてなさそうだった。
ゲイルは腰をくねらせ、結構大きな声で喘いでいる。
ソレを見て、盗賊達も自分のイチモツを取り出して扱き始める。
雷雲は近付いて来る。
そして、その時が来た。
「ぁあああああーーーー!!!」
ピシピシドドドドーン
ピカッ
ピシピシピシ…
雷が落ちた。
ゲイルが昇天して背を反らせたその瞬間だったから、ゲイルの脳天からオレの胴体を通って蹄から地面へと、
ビリビリビリビリビリビリ…
痺れた感じと辺りが真っ白に光ったのが強烈過ぎて頭の中までもビカビカした。
で、オレは驚いて前足を上げてしまい、背中が軽くなって初めてゲイルの落下に気付き、振り返るとゲイルが白目で何の声も発さずに落ちて行くところだった。
シャツのボタンは真ん中の1つだけしか嵌めてなくて、下は丸出し。
オレ自身も気が遠くなりながら、
──ゲイル、あんな姿で昇天死なんて、あいつの家族が不憫でならねぇや。
目が覚めたらさっきの盗賊がオレを俯せに地べたに押し付けて、尻を持ち上げたところだった。
だからもちろん、後ろ足を振り上げて、力いっぱい蹴っ飛ばしてやったぜ。
けど、口にはもう、《臭くてきったねぇモン》が突っ込まれてたな。
もちろん、力いっぱい歯を閉じさせてもらったぜ。
そんなこんなで、盗賊らはギャーギャー言いながら逃げて行った。
「ケッ!」
オレは、逃げてく盗賊達の背中に向かっていつもみたいに唾を吐いてやった。
残り香が気持ち悪かったってのもある。
いつもより噴射の勢いが弱いように思うけど、その時のオレはまだ、自分を馬だと信じていた。
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