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終曲 先生と私のピアノ・フィナーレ 6
しおりを挟む「痛かったら言って…我慢しないでよ」
そう言うと乱暴な動きは収まり、中指だけがゆっくりと中心部に進んでいく。
以前に少しだけいじられたことはあったが、そもそもこんな触れ合いが久しぶりで彼女は身を固くした。
「力入れないで。息をつめちゃだめだ。ちゃんと呼吸して」
「うん…」
沢山いじることで生じたぬめりが、異物感を軽減してくれる。
ゆっくり、慎重に彼女の様子を見ながら進む指は、時々止まって周囲を慣らすように動いてから、また進んだ。
「んっ…んあ…」
「指、全部入ったよ。痛い?」
「せんせの指…あああっ」
また先生に戻ってしまい、彼は思わず指をくいっと動かした。キツい中がうごめき、きゅっと指を締め付けてくる。
「名前」
「う、うん…アフィ、あんまり痛くはないよ。凄く変な感じはするけど…嫌とかじゃなくて…」
「少し動かすよ」
彼女の反応をみつつ、最奥まで辿り着いた指がゆっくり引き抜かれる。
異物感が動く様子に、彼女は「あぁ…」と声を漏らす。
同時に、蜜も漏れた。
「あ、アフィの指…好き…」
「僕は君の声が好き。たくさん啼いてよ」
動かした指は、徐々に大胆になっていく。
内側の複雑に蠢く肉を探るように動き回り、まだ快楽に慣れない彼女の体が少しずつそれを受け入れていく。
だが指を2本に増やそうとすると、彼女は眉をしかめびくんと腰を逃がした。
なかなか2本の指は進んでくれない。
「痛い?」
「ちょっと…入る所が痛くて…」
「…今日はやめておく? すごく残念だけど君が傷つくのはよくない」
そう言うとノートヴォルトは指をすっと抜き取り、労わるように彼女を抱きしめその髪を撫でた。
強直はまだずっと張り詰めたままだが、進めるのはゆっくりでいい。この行き場のない熱は多少静めてもらう必要はあったが。
「…てほしいです」
「なに?」
腕の中で、か細い彼女の声が聞こえた。
「して欲しいです最後まで…痛くてもいいです」
不安そうな顔で自分を見つめてくる顔。
途端に諦めようと思っていた欲望が、再び燃え上がってくる。
「痛くていいわけないだろ。慣れるまで前みたいにーー」
「嫌です、今抱いてください。先生と一緒になったって体に教えてください」
また呼び方が“先生”に戻ってしまった。
切羽詰まったようにそう訴える彼女に、ドクンと己が反応する一方で「なぜ」という気持ちが湧いて来る。
「コールディア、どうしたの…? 我慢できないとは言ったけど、君が無理に受け入れることなんてない。ゆっくり進めればーー」
「先生がもう自由で、生きていて、自分のことも私のことも受け入れたって、教えて…」
「コールディア…」
ぎゅっと首にしがみつく細い体を、それ以上の力で抱きしめた。
「コールディア、不安にさせてごめん。もう僕は自由だ。好きな所で好きな事をしても誰も咎めない。死のうなんて思わないし、出来る限り長く君の傍にいたい。僕という人間を構築するのは血じゃない。それは僕が生きて積み上げて来たものだ。そしてコールディア、僕が生涯で愛することができる女は君ただ1人だ」
そっと、壊れ物を扱うようにキスをする。
彼女の唇は震えていて、必死に嗚咽を堪えていた。
ノートヴォルトはもう死と隣り合わせではないし、誰にも拘束されることはない。憎いと思っていた血を受け入れ、コールディアを人生の一部にしようとしているのだ。
それが嬉しくて、堪えていた感情が溢れて来てしまう。
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